銘柄レポート

キオクシアホールディングス(285A)株価分析 電気機器

上場19ヶ月で株価78倍、そこから1ヶ月で半値。いま日本でいちばん売買され、いちばん注目されている銘柄。
急落の原因は業績ではない——業績はむしろ爆発していて、会社は「4〜6月の3ヶ月だけで昨年1年分の1.5倍を稼ぐ」見通しを出している。壊れたのは期待の値段のほう。急騰と急落の正体、そして8月の決算までに何を見ればいいかを、この1ページで整理する。

キオクシアの今と見どころ2026-07-21までの取引データで作成
執筆:2026-07-21
次回更新:7/25(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • 業績は過去最高。2026年3月期は営業利益8,704億円(+93%)、そして会社が示した4〜6月の見通しはこの1四半期だけで営業1.3兆円(前年同期の約29倍)。AIデータセンターがデータ保存用メモリ(NAND)を買い漁り、価格が急騰しているため。
  • 株価は上場時の1,455円から6/22の112,700円(取引時間中)まで急騰し、そこから1ヶ月で▼54%——7/17はストップ安の52,110円。主因は業績ではなく、韓国市場発の需給崩壊とAI相場全体の巻き戻し。7/21は+17.2%と急反発(この日の東証プライム上昇率1位)。
  • 焦点は7/31(金)15:30の1Q決算=「1.3兆円計画」に対する答え合わせ(会社IRカレンダーで確認済み・日銀会合の結果と同じ日)。株価の物差しは7/21の安値51,370円と25日線(83,074円・まだ▼26%下にいる)。
いまの状態
業績過去最高を更新中。会社は通期予想を出さない方針で、4〜6月だけの見通し=売上1.75兆円・営業1.3兆円(どちらも過去最高の四半期計画) 株価の流れ急落のあとの自律反発(高値から▼46%・1日の平均値幅が15.8%という異常な乱高下が続く) 需給信用倍率24.5倍=買いがはっきり重い。ただし1日の売買代金2〜4兆円という日本一級の商いが、買い残1,310万株を出来高の約0.3日分に薄めている 割安度実績PER 59.6倍。ただし会社の4〜6月見通しは1株あたり約1,590円の利益=昨年1年分(1,024円)を1四半期で超える計画で、「どの利益で測るか」自体が争点
読みたいところへ

📅 これからの予定 — キオクシア(285A)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、同業の決算や市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
照合済み・日本が結果を知るのは7/30の未明。東京市場は同日朝から反応
7/30(木)★マイクロソフト・メタ決算(AI設備投資の本丸)テーマ
日本時間 7/30早朝(米29日引け後)
東京が反応する日: 7/30(木)
報道ベース・AIデータセンター投資(capex)の増減はNAND需要の前提に直結
7/30(木)★日銀 金融政策決定会合市場全体
日本時間 結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
照合済み
7/29(水)SK hynix(半導体メモリ) 決算同業
東京が反応する日: 7/29(水)
報道ベース・メモリ市況の答えが自社決算の2日前に見える
7/31(金)★キオクシア(285A) 4-6月期(1Q)決算自社
15:30(取引終了後)開示
東京が反応する日: 8/3(月)
会社IRカレンダーで確認済み・「営業1.3兆円計画」の答え合わせ。日銀会合の結果と同じ日
8/6(木)SanDisk・ウエスタンデジタル決算(米メモリ大手)同業
東京が反応する日: 8/7(金)
報道ベース
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
照合済み
8/12(水)★米CPI(消費者物価・7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/13(木)
照合済み
速報直近の動き — キオクシア(285A)に関連するかもしれないニュース
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株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-01 → 07-21

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(10件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
61,060円
2026-07-21(+17.2%・この日の東証プライム上昇率1位)
上場来高値からの下落
▼45.8%
高値112,700円(2026/6/22・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/17▼16.1%7/21+17.2%
7/17はストップ安(52,110円)→連休明けに急反発
信用倍率
24.5倍
買い残1,310万株(7/10時点)=重い。ただし出来高の約0.3日分

3つの視点で見る(2026-07-21時点)

ファンダメンタルズ

業績に悪い数字は一つも出ていない。2026年3月期は営業+93%で着地し、会社の4〜6月見通しは1四半期で営業1.3兆円(昨年1年分の1.5倍)。争点は「悪くなるか」ではなく「この爆発的な水準がいつまで続くか」。それを市場は3ヶ月ごとの決算で確かめていく。

需給

信用倍率24.5倍=買い方に大きく傾いた重い需給。ただし1日の売買代金2〜4兆円という日本一級の商いがあり、買い残の絶対量(1,310万株)は出来高の約0.3日分。重さの質は「捌けない重さ」ではなく「振り落とされやすい重さ」——±10%超の日が7月だけで6回という乱高下の一因。

テクニカル

急落のあとの自律反発局面。7/21は大陽線・高値引け(+17.2%)だが、25日線(83,074円)はまだ▼26%も上。1日の平均値幅(ATR)は15.8%と普通の株の5倍動く。確認は ①7/21の安値51,370円を守る ②7/31の1Q決算 ③25日線への接近 で。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、業績最高なのに株価は1ヶ月で半値になったのか

悪い決算もIRも一つも出ていません。世界のAI・半導体株への資金集中という土台の上で、韓国市場の需給崩壊が引き金になり、機械的な売りが連鎖しました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台期待の乗りすぎ

上場19ヶ月で78倍、世界のAI資金の集中先に 2025〜2026年6月

  • 2024年12月に公開価格1,455円で上場(初値は公開価格割れの1,440円という静かなスタート)。NANDの値上がりとAIデータセンター需要で2025年秋から急騰が始まり、2026年6/22に112,700円(取引時間中)へ——19ヶ月で約78倍
  • 1日の売買代金は2〜4兆円と日本一級になり、日本のAI・半導体相場の旗艦銘柄になった。高値時点の実績PERは106倍(終値ベース)
  • 同じ頃、韓国では半導体大手2社に指数が極端に依存し、個別株の2倍レバレッジETFや信用取引が膨張——世界の半導体株が「資金集中×レバレッジ」の上に乗っていた
きっかけ韓国発の崩れ

6/23、韓国市場の急落から始まった 日本の事情ではない

  • 6/23に韓国市場が急落し、キオクシアも▼15.1%。以後、韓国の下げ(7/8・7/13)と歩調を合わせて下げる展開に——7/13は韓国の半導体大手が15%超下げて取引停止措置が出た日で、キオクシアも▼12.9%
  • 重要なのは順番:この時点で、後に話題になる中国製AI「Kimi K3」はまだ発表されていない(発表は7/17)。起点は韓国市場の需給だった
  • 日本側の固有の下げも大きかった——7/2はTOPIXが+0.1%とほぼ動かない日に▼13.5%。悪材料の開示はゼロで、これは「誰かが売らなければならなかった」動きに近い
増幅機械的な売り

「売りたいから売る」ではなく「下がったから売らねばならない」 業績とは無関係

  • 韓国ではレバレッジETFが下落時に機械的な売りを出す構造(倍率維持のためのリバランス)と、信用取引の追証・強制決済が連鎖したと指摘されている
  • 日本側も信用買い残が膨らんでいた(倍率24.5倍)。急落で高値づかみの投げが出るたびに下げが加速し、±10%を超える日が7月だけで6回という乱高下に
  • 値幅の大きさ自体が新たな売りを呼ぶ——1日の平均値幅15.8%は、レバレッジをかけた買い方が退場させられやすい環境
物語あとから来た説明

下げの「理由」は、下げの後からやってきた 順番に注意

  • 下落の途中から「メモリ価格はピークでは」「AI投資は回収できないのでは」「中国製AIで高価な米国AIの価値が下がる」といった弱気の物語が広がった。7/17発表の中国製AI「Kimi K3」はその象徴だが、急落の起点(6/23)より3週間以上あと——触媒ではあっても原因ではない
  • 同じ7/17には実際の悪材料も一つ出た:米国の特許訴訟で子会社に不利な陪審評決(賠償暫定約371億円)。ただし規模は昨年度純利益(5,545億円)の約7%で、会社は控訴を含め争う方針。▼16.1%(ストップ安)をこれだけで説明はできない——この日はTOPIXも▼2.7%の全面安だった
  • 「大株主の売りが原因では」という観測も流れた。実際、旧親会社側のベインキャピタル系ファンドは6/11の大口売却(1,852万株・市場外)を最後に保有をゼロにしていた(6/16提出の変更報告書)。ただし順番に注意——ベインが売り切ったあとも株価は上がり続け、6/22に上場来高値をつけてから崩れた。7月の急落を「ベインの売り」では説明できない(もう売る株を持っていない)(下の②で詳しく)
たしかめ業績ではない

「業績が悪化した」は当てはまらない 事実で確認

  • この下落期間中、会社の業績関連の開示は一つも悪化していない。最後に出た数字は5/15の「営業+93%着地・4〜6月は営業1.3兆円計画」で、それ以降の業績開示はない
  • 急落日の中身も市場全体では説明できない——7/2(▼13.5%)はTOPIX +0.1%、7/13(▼12.9%)はTOPIX▼0.7%の日
  • つまり壊れたのは業績ではなく、「将来の爆益がどこまで続くか」に付いていた値段(評価倍率)。実績PERは106倍→50倍まで縮んだ
いまの位置
この急落は業績の悪化が原因ではありません資金集中とレバレッジの巻き戻しが正体で、7/17にストップ安の52,110円をつけたあと、連休明けの7/21は+17.2%(この日の東証プライム上昇率1位)と急反発しました。ただし1日の平均値幅15.8%の乱気流はまだ続いており、25日線(83,074円)は遥か上。次の本物の答えは7/31(金)15:30の1Q決算——「営業1.3兆円計画」に対して実績がどう出るかです。それまでは業績ではなく需給とニュースで±10%動く日があり得る、という前提で見るのが安全です。
順番に注意 — この銘柄は「日本の事情」だけでは読めない

① 起点は韓国市場だった
急落の始まり(6/23)は韓国市場の崩れで、日本の悪材料ではありません。「なぜ下がったのか」を日本のニュースの中だけで探すと、存在しない理由を見つけてしまいます。

② 後から出たニュースを「原因」と勘違いしない
話題の中国製AI「Kimi K3」の発表は7/17——急落開始(6/23)の3週間以上あとです。下げの理由として語られる物語の多くは、下げの後から来ました。同じ日の特許訴訟の評決(賠償暫定371億円)も、米国時間7/16の評決を東京が知ったのは7/17の朝。「決定が出た日」「報じられた日」「市場が動いた日」は全部別です。

③ 決算は15:30開示→反応は翌営業日
キオクシアの決算は15:30(取引終了後)開示が基本。7/31(金)の1Q決算も、株価の答えが出るのは週明け8/3(月)です。当日の値動きだけを見ると読み違えます。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。キオクシアはNAND型フラッシュメモリ(データ保存用の半導体)の世界大手——スマホやPCの中の記憶装置、そしていま急拡大しているAIデータセンター向けの大容量SSDを作る会社です。前身は東芝のメモリ事業(2017年に分社)。四日市・北上の巨大工場を持ち、米SanDiskと生産を共同運営しています。数字の出どころは決算発表(適時開示)の実数です。

売上高
2兆3,376億
→ 4-6月だけで1兆7,500億(計画)
2026年3月期実績(+37%)→ 2027年3月期1Q会社見通し
営業利益
8,704億
→ 4-6月だけで1兆2,980億(計画)
実績+93% → 1四半期で昨年1年分の1.5倍を計画
純利益
5,545億
EPS 1,024円
実績(2026年3月期)。4-6月見通しは純利益8,690億円(1株あたり約1,590円)
配当
0円
時価総額 約33.3兆円
無配(2027年3月期の配当予想も未定)

上場からの歩みと、利益の中身(四半期営業利益)

  • 2024年12月静かな上場 ── 公開価格1,455円に対し初値1,440円の公募割れ。上場時の時価総額は約8,600億円で、市場の期待は低かった。
  • 2025年度の四半期加速の軌跡 ── 四半期の営業利益は449億円(4-6月)→859億円→1,427億円→5,968億円(1-3月)。年度後半、NAND価格の急騰で利益が文字どおり桁を変えた。通期8,704億円のうち69%を第4四半期だけで稼いだ
  • 2026年4-6月・会社見通し1兆2,980億円 ── 前年同期(449億円)の約29倍。この1四半期で昨年1年分の1.5倍を稼ぐ計画。強気の背景はAIデータセンター向けSSDの需要とNAND価格の上昇。

この利益の伸び方は「事業が29倍になった」のではなく、メモリの値段が上がると利益が何倍にもなる構造(固定費の大きい装置産業のテコ)によるものです。テコは逆にも働く——価格が下がる局面では利益は同じ勢いで縮みます。「メモリは景気循環株」という10年来の常識と、「AIで構造が変わった」という新しい説の衝突が、この株の毎日の値動きの正体です。

旧親会社側ファンドは「完全撤退」を終えていた ── 上場時に過半を握っていたベインキャピタル系ファンドは1年半かけて段階的に売却し、6/11の大口売却(1,852万株・市場外・当日の終値より約12%安い価格)を最後に保有ゼロになった(6/16提出の変更報告書。7月上旬には幹部が全株売却を表明したと報道)。注目すべきは順番で、売り切ったあとも株価は上がり続け、6/22に上場来高値をつけた——巨大な売り物を吸収してなお買われるほど需要が強かったということ。同時にこの時系列は「7月の急落はベインの売りが原因」という観測を打ち消す(急落が始まった時点で、もう売る株がない)。売り圧の源泉が消えたという意味では、需給の重しが一つ外れた状態でもある(各数値は開示書類より。下の出典参照)。

知っておきたい3つのこと

  • 1会社は通期予想を出さない(1四半期先だけ約束する)
    メモリ市況の変動が大きいため、業績見通しは次の四半期分だけ開示するスタイル。つまりこの銘柄の答え合わせは3ヶ月ごとにやってくる。7/31の1Q決算では「1.3兆円計画に対する実績」と「次の7-9月の計画」が同時に出る——どちらも株価の材料になる。
  • 2利益の源泉はNAND価格 × AIデータセンター
    AIはデータを大量に保存する。HDD(ハードディスク)の供給が追いつかず、大容量SSDへの置き換えが進み、NANDの値段が急騰した——これが爆益の仕組み。だから見るべきは自社より先に①メモリ価格の動向 ②米ハイパースケーラー(マイクロソフト・メタ等)のAI投資計画 ③同業(SanDisk・SKハイニックス等)の決算
  • 3注意点
    1日の平均値幅15.8%=普通の株の5倍動く。ストップ安(7/17)もストップ高級の反発(7/21)も日常 ②無配=配当が下値を支えるタイプではない ③米国の特許訴訟で不利な評決(賠償暫定371億円・会社は控訴方針・昨年度純利益の約7%規模) ④米国上場(ADS)を準備中と発表済み(時期・実施は未定)。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

AIデータセンター投資(米大手のcapex) 大容量SSD・ストレージ需要 NAND価格の上昇・高止まり 四半期利益の爆発(テコ) 1株利益の成長

この鎖のどこかが切れると、下の「前提」が崩れます。確認の場は3ヶ月ごとの決算(実績と次四半期計画)、同業の決算(自社より先に出ることが多い)、そして米大手のAI投資計画(7/30のマイクロソフト・メタ決算など)。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1NAND価格

メモリ価格が高止まりする(1.3兆円計画の大前提)

  • 4Qの営業5,968億円も4-6月の1.3兆円計画も、価格急騰が前提。数量より価格が利益を決める
  • 崩れるサイン:1Q実績が計画未達/次四半期計画が減速/メモリ現物価格の下落報道が続く
前提 2AI投資

米大手のAIデータセンター投資が続く

  • 需要の大元は米ハイパースケーラーのAI投資(capex)。7/30のマイクロソフト・メタ決算はこの前提の定期健診
  • 崩れるサイン:大手のAI投資計画の削減・先送り/「AI投資は回収できない」が物語から実績の話になる
前提 3供給規律

メーカー各社が増産を我慢し続ける

  • メモリの歴史は「儲かる→各社増産→供給過剰→暴落」の繰り返し。今回の爆益も各社の増産抑制が支えている
  • 崩れるサイン:大手の大型増産投資の発表/中国メーカーの供給拡大が数字に現れる
遠い脅威循環の宿命

いちばん怖いのは「今回も結局サイクルだった」という結末

  • 過去のメモリ好況は例外なくピークを打って反転してきた。「AIで構造が変わった」が本物かどうかは、まだ誰にも証明できていない
  • 先に効くのは四半期ごとの次四半期計画の傾き——爆益の「水準」ではなく「方向」が変わった瞬間が、この前提の答え合わせになる
3

いまの株価は割高か、割安か(PERの推移)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です。キオクシアは会社が通期予想を出さないため、直近の本決算の実績1株利益で計算しています。

PERの推移(実績ベース・日次) 2025-05 → 2026-07-21

計算:その日の終値 ÷ 直近の本決算で公表済みの実績1株利益(2025年5月の本決算以降)。引け後の開示は翌営業日から反映——2026/5/15の本決算(実績EPS 1,024.07円)は5/18から分母に適用。会社予想は非開示のため使っていません。

いま
PER 59.6倍
2026-07-21(実績ベース・終値)
高値の日(2026/6/22)
106倍
期待がいちばん膨らんだ瞬間(終値ベース)
1年前は4倍前後
3.8〜106倍
この銘柄のPERが動いてきたレンジ(実績ベース)

読み方 ── メモリ株のPERは市況の鏡です。1年前、株価2,000円前後でPERが4倍だった頃、市場は「利益はもうピーク」と見ていました。実際は逆で、利益はそこから桁違いに伸びた——メモリ株は「PERが低いから割安」が通用しにくい典型例です。いまの59.6倍は「爆益がさらに続く」を織り込んだ値段。一方、会社の4-6月見通し(1株あたり約1,590円)は昨年1年分(1,024円)を1四半期で超えます。この四半期ペースで測れば株価の見え方はまったく変わる——ただし「1四半期の計画が続く」と仮定すること自体が、この銘柄をめぐる最大の賭けです。どの利益で測るかの選択が、そのまま強気と弱気の分岐になっています。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの61,060円(実績PER 59.6倍)は、「1.3兆円計画をほぼ達成し、その先も高い利益水準が続く」という前提を織り込んだ値段です。前提のくわしい中身は上の②で見た3つ。

崩れる合図──7/31の1Q決算で実績が計画を明確に下回る/同時に出る7-9月計画が減速を示す/メモリ価格の下落報道が続く/米大手のAI投資計画が削減される。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

4

テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-07-21

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 赤い点線=直近の安値 51,370円(7/21・取引時間中)7/17のストップ安(52,110円)の下、7/21の朝につけた底。ここを終値で割ると「反発失敗」のサイン
━ 青い線=25日線(83,074円)急落が速すぎて、株価は25日線の▼26%も下にいる。この距離(かい離)は「売られすぎ」の度合いを示すが、戻るとしても道は長い
↓印=窓を開けた下落7月の急落は窓を開けながら進んだ。窓は戻り局面での「上値の節」になりやすい
━ 灰色の点線=5月の安値 36,050円(5/1・取引時間中)5/15の本決算「1.3兆円計画」が出る前の水準。ここまで戻ると決算の好材料が帳消しの意味になる(現在値からは▼41%下で、まだ遠い)
200日線はまだ株価の下=長期の上昇構造は残る急落しても、1年かけて上がってきた長期トレンドの線(200日線)はまだ割っていない。短期は下降・長期は上昇という「ねじれ」の位置(フル指標版で確認できます)
1日の平均値幅(ATR)=15.8%普通の大型株の5倍前後。この銘柄の「±5%」は他の銘柄の「±1%」くらいの日常。値幅に慣れていないと判断を誤りやすい
上場来高値 112,700円(2026/6/22・取引時間中)大きな上の節。現在値はそこから▼45.8%の位置

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-07-10

左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)株価の急騰とともに積み上がり、1,310万株(7/10時点)。金額にして約8,000億円分の「借金で買われた株」で、急落時の投げ売り(強制決済)が下げを増幅した
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)54万株と買い残に比べ極端に少なく、信用倍率は24.5倍(15倍以上で「買いが重い」の目安)。ただしこの銘柄は1日の出来高が約4,400万株(直近20日平均)あり、買い残は出来高の約0.3日分——「捌けない重さ」ではなく「乱高下の燃料」と読むのが正確
棒グラフ=売買代金1日2〜4.7兆円と日本一級。市場全体の売買代金の2割前後、多い日は3割近くをこの1銘柄が占め、キオクシアの値動きが市場全体を揺らす段階に入っている

まとめ ── 需給は「重いが流動性で捌ける」という特殊な状態。値幅15%の乱高下は、信用の投げと買い直しが日本一の商いの中でぶつかり合っている姿。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

5

総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:業績に悪い数字はなく、会社は「1四半期で昨年1年分の1.5倍」の計画を提示中/需給:信用倍率24.5倍と重いが、日本一級の売買代金が捌いている。乱高下の構造は継続/テクニカル:ストップ安からの自律反発。ただし25日線は▼26%上で、1日の平均値幅15.8%。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反発が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 7/21の安値51,370円を割らずに7/31の1Q決算を迎える
  • 7/31の1Q決算(15:30開示→反応は週明け8/3)で実績が計画(営業1.3兆円)に届き、同時に出る7-9月計画も高水準を維持する
  • 同業の決算が2日先に答えを見せる——7/29のSK hynix決算でメモリ市況の強さが確認できる
  • 7/30の米大手決算(マイクロソフト・メタ)でAIデータセンター投資の継続・増額が確認できる
  • 信用買い残の減少と、±10%級の日の減少(乱気流の沈静化)

⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)

  • 7/21の安値51,370円を終値で割り込む(=ストップ安の水準も守れない)
  • 1Q実績が計画を明確に下回る/7-9月計画が減速を示す(この銘柄最大の下方リスク)
  • メモリ現物価格の下落報道が続く/大手の増産投資発表(供給規律の崩れ)
  • 韓国市場の再崩落・米半導体株の下落(需給連鎖の再点火)
  • 特許訴訟の続報(控訴の帰趨・賠償確定額の拡大)

📅 次に見るカレンダー

  • 7/29:SK hynix決算——メモリ市況の答えが自社決算の2日前に見える
  • 7/30:FOMC+マイクロソフト・メタ決算(AI投資の前提の定期健診)
  • 7/311Q決算(15:30開示・会社IRカレンダーで確認済み)——「1.3兆円計画」の答え合わせと、次の7-9月計画。この銘柄の最重要イベント。日銀会合の結果と同じ日で、株価の反応は週明け8/3
  • 8/6:SanDisk・ウエスタンデジタル決算(米メモリ・ストレージ大手)
  • 毎週:信用残の公表(買い残の増減=乱高下の燃料の量)
  • 随時:メモリ価格の動向・中国AI/中国メモリの報道・特許訴訟の続報

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — キオクシア(285A)

読み込み中…
6

出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

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キオクシアの適時開示(一次情報)

  • 2026/5/15 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)──実績(売上2兆3,376億・営業8,704億・純利5,545億・EPS 1,024.07円)・2027年3月期1Q見通し(売上1兆7,500億・営業1兆2,980億・純利8,690億)・無配(2027年3月期予想は未定)の出典
  • 2026/5/15 米国預託株式(ADS)の米国上場準備に関するお知らせ──時期・市場・方法は未定と明記
  • 2026/7/17 当社子会社に対する訴訟の陪審評決に関するお知らせ──Viasat社との米国特許訴訟・賠償暫定約2.29億ドル(約371億円)・控訴を含め争う方針の出典
  • 2025/10/27・12/4・2026/2/26 主要株主(筆頭株主)の異動に関するお知らせ──ベインキャピタル系ファンドの段階的な保有低下の出典
  • 2026/6/16 変更報告書(大量保有報告・提出者:BCPE Pangea Cayman2ほか・EDINET)──市場外の大口処分(4/16に1,170万株・6/4に327万株・6/11に1,852万株)と保有割合0%(完全撤退)の出典。全株売却の幹部発言(2026/7上旬)は報道(Bloomberg)
  • キオクシアホールディングス 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・財務数値・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース
  • PER・移動平均・平均値幅(ATR)等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
  • 上場時の公開価格(1,455円)・初値(1,440円)・7/21の市況(東証プライム上昇率1位・TOPIX +2.4%):当時の報道(日本経済新聞ほか)
  • 韓国市場の急落(6/23・7/8・7/13)とレバレッジETF・信用取引による増幅の構図:当時の報道に基づく整理。「後から出たニュースを原因と誤認しない」時系列の検証はアルミナの分析

決算数値は適時開示の実数(IFRS)。会社見通しは2026/5/15公表の1Q見通しで、実績は8月の決算で確定します。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。

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