ALUMINA STOCK NOTE 285A
キオクシアの株価は今後どうなる?NANDの将来性と上昇・下落の材料
AI向けSSDの需要拡大は、キオクシアの利益をどこまで支えるのか。最新の材料・ニュース・適時開示を追いながら、メモリ価格、東芝の保有株、信用買い残、決算の中身から今後の見通しを考えます。
情報確認日

01 / OUTLOOK
キオクシアのこれから
需要の強さと、投資の負担UPSIDE
キオクシアの上昇シナリオ
AI向けSSDの需要が、売上と利益の成長につながる。
データセンターで扱う情報が増えるほど、大容量の記憶装置が必要になります。キオクシアはAI推論向けのSSDを成長分野に置き、新製品の評価用サンプル出荷を進めています。
需要の拡大が販売単価や出荷量に表れ、利益と現金の創出が続く展開が上昇側のストーリーです。ただし、新製品のサンプル出荷は量産・受注の確定ではなく、業績の成長と株価の上昇は同じではありません。
ただし、好業績でも大株主の売却や信用買いの手じまいが重なると、株価の上昇は抑えられます。東芝の保有株と信用買い残は、業績とは別に確認したい需給の懸念です。
SSD新製品の発表へDOWNSIDE
キオクシアの下降シナリオ
AI投資の資金負担や、NANDの市況反転が重なる。
CoreWeaveの社債安は、AIインフラを買う側の資金調達への懸念です。顧客が設備投資を見直す展開では、将来のSSD需要にも影響が及ぶ可能性があります。
需要の鈍化や競合の増産で販売単価が下がれば、高い利益率は縮みやすくなります。金利への警戒による株価評価の低下と、会社の実際の受注・業績悪化は分けて捉える必要があります。
CoreWeaveの材料へ02 / TIMELINE
キオクシアを動かす材料・ニュース・適時開示の時系列
8月〜10月13日の材料会社IRと株主の動きを開く
材料・自社IR時刻の記載なし
8月3日公表:特許訴訟の判決情報
米国の連邦地方裁判所は7月31日(米国時間)、Viasat社が起こした訴訟で、キオクシアの子会社に約229百万米ドル(1ドル=160円での会社換算で約366億円)の損害賠償金の支払いを命じました(2026年8月3日 適時開示)。会社は7月16日(米国時間)の陪審評決を受け、必要と認めた金額を第1四半期決算で訴訟損失引当金に計上済みです。製品・サービスの提供に影響はないとし、控訴を含む法的手段を講じる方針を示しています。
次に見ること
法的手続き、引当金と実際の支払い、事業への影響に関する続報。
材料・自社IR時刻の記載なし
:CXL対応メモリ拡張モジュールXL1
フラッシュメモリをサーバーのメモリ拡張に使う「KIOXIA XL1シリーズ」の参考出展と、8月中の業界パートナー向け評価用サンプル出荷予定を発表しました(2026年8月3日 ニュースリリース)。開発段階の製品の発表です。
次に見ること
顧客の評価、採用・量産への進展を示す続報。
材料・自社IR時刻の記載なし
:約8,000億円の自己株式取得が終了
7月31日の取締役会決議に基づき、8月3日から10日にかけて東京証券取引所で市場買付を行いました。取得価額の総額は約8,000億円(799,997,689,000円)で、8月10日に取得を終了しています(2026年8月10日 適時開示)。この取得枠に基づく買い付けは終了しています。第2四半期末の配当予想は0円です。
同じ7月31日には、1株を3株に分ける株式分割も決議され、10月1日に効力が発生しました(2026年7月31日 適時開示)。投資単位当たりの金額を引き下げて投資家層を広げることが目的と説明されています。
次に見ること
新たな還元策に関する会社発表。
材料・自社IR時刻の記載なし
:サンディスクと両社合計約5兆円の投資見込み
両社は政府からの支援を前提に、2032年までに日本で総額約5兆円の投資を見込むと発表しました(2026年8月27日 ニュースリリース)。対象は四日市工場と北上工場です。両社合計の見込み額で、キオクシア単独の確定額ではありません。期間や主体が違うため、年間約4,700億円の設備投資計画と足し合わせないよう注意が必要です。
次に見ること
政府支援の条件、設備の稼働と投資額、需要の伸びに対する供給能力を確認。
材料・自社IR時刻の記載なし
:米国預託株式(ADR)の上場準備
会社は、米国の証券取引所へのADR上場準備を行っていることは事実だと説明しました(2026年9月15日 IRニュース)。一方で、時期・市場・方法は未定で、上場しない可能性もあるとしています。
次に見ること
上場の決定、時期、市場、方法に関する会社発表。
材料・株主動向
東芝の保有割合低下が報じられる
報告義務発生日は10月1日
株探は、東芝が10月8日に提出した変更報告書について、キオクシア株の保有割合が低下したと伝えました。
キオクシアへの
影響
大株主の売却は、会社の売上とは別に株式の需給へ影響します。報告の提出日と実際の取引日を分けて読み、残りの保有株がいつ・どの方法で売却されるかは決めつけないことが大切です。
需給面の懸念
材料・自社IR時刻の記載なし
・:データセンター向けSSDの新製品サンプル
10月13日、企業向けSSD「KIOXIA CM9シリーズ」に、液体で直接冷やす方式のサーバーに対応したモデルを追加しました(2026年10月13日 ニュースリリース)。AI向けなど消費電力が増える環境を想定した製品です。
10月9日には、限られたサーバーの空間に多くの容量を収める高密度SSD「KIOXIA LD4シリーズ」の開発を発表しました(2026年10月9日 ニュースリリース)。
どちらも限定顧客向けのサンプル出荷を始めた段階で、サンプルは機能評価用です。量産や受注、売上への寄与を示すものではありません。6月に示したデータセンター重視の戦略が、具体的な製品として前に進んでいることを示す発表です。
次に見ること
顧客による評価・採用や、量産の開始に関する続報。
材料・自社IR時刻の記載なし
:S&Pの格付けがBBBに
ニュースの読み解き
信用力の改善を示す材料です。株価の上昇や個々の借入条件の改善を保証するものではありません。
関連銘柄・材料の見方
信用力の改善を示す材料です。株価の上昇や個々の借入条件の改善を保証するものではありません。
実際の市場反応
発表後の15日前場には大幅安と報道されました。ただし、格付け発表直後だけの反応や、この発表の効果を測ったものではありません。
公表後の振り返りです。事前予想の記録はなく、的中率の採点には含めません。
会社の発表を詳しく読む
S&Pグローバル・レーティングの長期発行体格付けがBBBへ格上げされ、見通しはポジティブとなりました(2026年10月13日 IRニュース)。会社は、強い収益力とネットキャッシュの実現が評価されたと受け止めています。格付けは債務を返す力についての評価で、株価とは別の物差しです。
次に見ること
決算で現預金・有利子負債の動きと、資金調達条件を確認。
マクロ
ニュースの読み解き
金利への警戒は、成長期待の大きい半導体株の評価を押し下げる要因になります。
実際の市場反応
10月15日10:49、FISCOはキオクシアの大幅続落を報道。CPIの上振れと、米半導体株安を背景に挙げました。
公表後の振り返りです。事前予想の記録はなく、的中率の採点には含めません。
材料・他社/業界
報道の要点
株探は15日9:34、CoreWeaveの社債利回りが一時15%台となり、AI関連株への売りが広がったと報じました。
ニュースの読み解き
半導体・データセンター関連をまとめて売る動きが、会社固有の好材料より強くなる場合があります。
社債利回り15%台は倒産確率ではなく、すべての借入金利を指す数値でもありません。
実際の市場反応
15日9:34の報道では、キオクシアやイビデン、フジクラが大幅安。キオクシア1社だけの売りではありませんでした。
公表後の振り返りです。事前予想の記録はなく、的中率の採点には含めません。
マクロ
ニュースの読み解き
米長期金利の低下で米株が反発し、成長株を中心に投資家心理が改善して日本株にも追い風になりうる
カレンダーの現在地
ここから先は、本日以降の予定です。
本文の情報確認日は2026年10月16日。予定は共通カレンダーの掲載内容を表示しています。
掲載元:Alumina カレンダー(キオクシア)↗予定データ 2026-10-16
03 / POSITIONING
東芝の保有株と信用買い残が株価に与える影響
東芝の売りは、業績が良くても残る需給の懸念
大株主が株を売るとき、キオクシアの売上や利益が同時に減るわけではありません。それでも市場で買い手が必要になるため、売却の規模や方法によって株価の重荷となります。
会社の大株主一覧は2026年3月31日時点の情報です。その後の動きとして、10月8日の変更報告書に関する報道では、東芝の保有割合低下が伝えられています。過去の大株主一覧を、現在の残高として読むことはできません。会社の大株主一覧 ↗/10月8日の変更報告書に関する報道 ↗
売却が進めば将来の売り圧力が小さくなる可能性はあります。ただし、売り切る日や引き受け手が決まったと確認できるまでは、「決算の前に全部終わる」「特定の日を過ぎれば必ず上がる」とは考えない方がよいでしょう。
信用買い残は、将来の返済売りにつながる
信用買いは、借りた資金で株を買う取引です。買い残が積み上がっていると、利益確定や損失拡大の回避に伴う返済売りが出やすくなります。好材料が出ても上値が重い場面では、業績だけでなく、こうした買い手側の事情も関係します。
信用倍率は買い残を売り残で割った値です。倍率が高いだけで下落は決まりません。売り残が少ないために倍率が高くなる場合もあり、買い残の絶対量、増減、日々の売買高に対する大きさを合わせて見る必要があります。公開された信用残の合計から、買い手をすべて個人投資家と決めることもできません。
下の「信用残」で対象週と公表日をそろえて確認できます。東芝の売却、信用取引の返済売り、会社自身の資金調達は別の動きです。混同せずに見ると、業績が良いのに株価が伸びない理由を整理しやすくなります。
04 / NAND OUTLOOK
NAND市場の見通しと2030年以降の将来性
AI需要の成長と、メモリ価格の上昇が続く期間は別に考えます。
NANDとSSDはどう違うのか
NAND型フラッシュメモリは、電源を切ってもデータを保存できる半導体です。SSDは、そのNANDに制御用のコントローラーやソフトウェアなどを組み合わせた記憶装置です。キオクシアを見るときは、NANDの販売量・単価だけでなく、企業向けSSDの製品構成や採用の進み方も関係します。
AIサービスの利用が増えると、学習用のデータだけでなく、検索や推論で読み出す情報も増えます。ただし、SSDの用途はAIだけではありません。スマートフォンやパソコン向けの需要が弱ければ、データセンター向けの強さを一部打ち消すこともあります。
足元は企業向けSSDが強い。ただし用途ごとに温度差
TrendForce / 2026年9月30日
TrendForceは、2026年10〜12月のNAND契約価格が前四半期比15〜20%上昇すると予測しました。一方、PC向けでは在庫とコスト上昇が需要を抑えるとしています。調査会社の公表内容 ↗
この数値は市場全体の予測で、キオクシアの実際の販売単価や利益予想ではありません。企業向けSSDが伸びても、製品の構成、長期契約の価格条件、生産コストによって会社の収益への反映は変わります。
半導体のスーパーサイクルはいつまで続くのか
「スーパーサイクル」は長い需要拡大を表す言葉として使われますが、終了日が決まった現象ではありません。NANDは、出荷量が増えていても供給がそれ以上に増えると、販売価格が下がることがあります。
TrendForce / 2026年7月21日
同社の7月時点の見通しでは、製造工程の更新による生産量増加と民生需要の弱さから、2027年後半にNANDの供給不足が緩むとされています。2027年の需給見通し ↗
AI向けの需要が消えるという意味ではありません。需要が増え続けても品不足が和らげば、価格上昇による利益の押し上げは弱くなり得ます。逆に、供給の拡大が遅れたり、需要が予測を上回ったりすれば、強い市況が長引く余地もあります。7月に公表された予測なので、その後の会社決算や調査の更新と照らして読む必要があります。
2030年以降もNAND需要は伸びるのか
TRENDFOCUS John Chen氏 / 2026年7月24日の講演概要
IDEMA JAPANが公開した概要には、企業向けストレージ投資の調整時期を2029〜2031年に置く複数のシナリオがあります。需要の長期拡大と、途中の投資調整を同時に扱ったものです。主催者の公開概要 ↗
これは企業向けストレージ全体のシナリオであり、2030年のNAND価格やキオクシアの株価を予測したものではありません。TrendForceのNAND全体の需給見通しとも、対象市場と前提が違います。
長期で需要が増えても、競合の増産、顧客の設備投資の見直し、技術更新に必要な費用によって、利益の伸び方は変わります。「2030年まで需要が増えるから、今の利益率もそのまま続く」とは言えません。
積層数の競争だけでは利益は決まらない
キオクシアは6月2日のInvestor Dayで、NANDの過度な高積層化は工程や設備投資を増やし、ウエハーの製造コスト、消費電力、信頼性に課題を生むと説明しました。容量を増やす技術だけでなく、保存容量あたりのコストや電力効率も競争力を左右します。会社のInvestor Day説明原稿 ↗
キオクシアの将来性を考えるうえでは、市場が拡大するかに加え、その市場で採算のよい製品を供給し続けられるかが焦点です。NAND価格が落ち着いても、コスト削減や製品構成の改善で利益を残せるか。決算では、この点を売上と利益率、投資額の推移から追っていきます。
05 / COMPANY & FINANCIALS
キオクシアの決算と会社の基礎情報
利益の大きさだけでなく、現金の増減、借入金の返済、次の投資に使える資金を確認します。
キオクシアの決算実績と会社予想
直近の実績は、2026年7月31日に発表された2027年3月期第1四半期決算です(第1四半期決算短信)。下の表の「今期1Q」は2026年4〜6月、「前期1Q」は2025年4〜6月の3か月間です。金額は億円単位に丸めています。
表は左右にスクロールできます。
| 項目 | 今期1Q | 前期1Q |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆7,671億円 | 3,428億円 |
| 営業利益(IFRS) | 1兆2,700億円 | 449億円 |
| 営業利益率 | 約71.9% | 約13.1% |
| Non-GAAP営業利益 | 1兆3,262億円 | 452億円 |
売上収益は前年同期比415.5%増でした。営業利益率は営業利益を売上収益で割った値で、売上のうち本業の利益として残った割合を表します。表の利益率は、同じIFRS基準の数値から当サイトが計算しました。
同じ4〜6月の比較で、利益率は約13.1%から約71.9%へ変わりました。1年でこれだけ動いたということは、市況が変われば逆方向にも大きく動きうるということです。約71.9%が今後も続く前提にはできません。
Non-GAAP営業利益は、本来の収益力を見やすくするために非経常的な項目などを調整した会社の社内指標で、IFRSの営業利益とは別物です。監査法人の監査や期中レビューを受けた数値ではないと注記されています。
会社予想は4〜9月の累計
同じ決算短信で示された第2四半期(中間期)の予想は、2026年4月1日から9月30日までの累計です。売上収益は約4兆1,571億円、IFRS営業利益は約3兆1,600億円で、通期の予想ではありません。
7〜9月の3か月単独については、決算短信の添付資料に会社見通しとして売上収益約2兆3,900億円、IFRS営業利益約1兆8,900億円が示されています。会社はデータセンター向けの需要が引き続き旺盛と予想し、4〜6月に比べて増収増益を見込んでいます。
年度計画値は記載されていないため、通期の姿は決算ごとに更新される会社予想で確認していくことになります。
財務面の変化
第1四半期末(2026年6月末、8月の自己株式取得より前)の資産合計は約4兆7,305億円です。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に近い指標)は、2026年3月期末の37.9%から50.8%へ上がりました。この期間には、借入金の繰上返済などで長期借入金の返済に4,332億円を支出しています。
手元の現預金が借入金などの有利子負債を上回る状態を、ネットキャッシュといいます。会社は10月13日の発表で、ネットキャッシュ状態を実現したと説明しています(2026年10月13日 IRニュース)。
利益は実際の現金につながっているか
2026年4〜6月の営業キャッシュフローは8,663億円でした。利益計上に加えて、実際に事業から現金を生み出したことを示します。ただし、営業債権の増加は資金流出要因となっており、売上と入金のタイミングも確認が必要です。
| 項目 | 2026年4〜6月 | 読み方 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | +8,663億円 | 事業から得た現金 |
| 投資キャッシュフロー | −1,173億円 | 設備・金融資産などへの支出 |
| 財務キャッシュフロー | −4,304億円 | 借入金の返済など |
| 現金・現金同等物 | 7,910億円 | 2026年6月末の残高 |
投資キャッシュフローの支出総額を、そのまま工場の設備投資額と読むことはできません。この四半期には金融資産の取得も含まれています。また、6月末の現金残高は8月の自己株式取得より前の数値であり、現在の手元資金を表すものではありません。第1四半期決算短信・キャッシュフロー ↗
市況が良い時期に得た現金で借入金を減らせれば、次の調整期の資金負担を抑えやすくなります。一方、投資や株主還元が増えれば現金は減ります。高い利益率が続くかだけでなく、次の決算で現金と負債がどう変わったかも、財務の余力を判断する材料になります。
キオクシアの将来性を支える材料
会社は2026年6月2日のInvestor Dayで、AIの使われ方が「学習」から「推論」へ移って推論の処理が大きく増えるという見方を示しました(2026年6月2日 ニュースリリース)。あわせて、ストレージをGPUの拡張メモリとして使う動きが加速しているとも説明しています。
そのうえでAI推論向けのSSD製品群を挙げました。たとえばCMシリーズは、推論の効率を上げるKVキャッシュ(過去の計算結果)の保存に適したSSDと位置づけられています。
事業構造では、中長期的にデータセンター・企業向けの売上比率を60%以上に引き上げることを目標にしています。あくまで目標で、現時点の実績ではありません。
LTAは、顧客と複数年にわたる売買を取り決める契約です。会社はLTAの締結を進めることで、売上の確度と利益の質を高めると説明しています。ただし、LTAが広がってもすべての需要や価格が固定されるわけではありません。
6月2日に示した投資計画では、同発表時点からの3年間で設備投資に年間約4,700億円、研究開発投資に年間約2,300億円を充てるとしています。株主還元については、この時点では余剰累積フリーキャッシュフローから検討するとしていましたが、その後8月に自己株式の取得を実施しました。
需給と利益の関係は条件付きです。需要が供給を上回る状態が続けば単価が保たれやすく、高い利益率を維持しやすくなります。一方、各社の増産や需要の鈍化で供給が上回れば、利益率は下がりやすくなります。
キオクシアの見通しが悪化するリスク
- 市況の反転:需給が緩んで販売単価が下がると、高い営業利益率は縮みやすくなります。
- 競争:決算短信は、半導体業界の激しい競争を業績予想の不確実性の一つに挙げています。他社が増産すると、価格の下押し要因になります。
- データセンター投資の減速:AI関連の設備投資が鈍ると、成長の中心に置く需要が弱まります。
- 大型投資の負担:設備を発注したときに需要が強くても、生産設備が稼働するころに市況が悪化すれば、投資回収が難しくなるおそれがあります。
- 特許訴訟:子会社に対する損害賠償判決と、訴訟損失引当金の計上があります。8月3日の開示と経緯
10月30日のキオクシア決算で確認したいこと
2027年3月期第2四半期の決算発表は、に予定されています。発表では次の点を見ると、状況をつかみやすくなります。
- 4〜9月累計の実績が、会社予想(売上収益約4兆1,571億円、IFRS営業利益約3兆1,600億円)に届いたか
- 7〜9月単独の営業利益率が、第1四半期の約71.9%からどう動いたか
- 利益の変化が販売単価と出荷量のどちらによるものか
- データセンター・企業向け売上の動きと、LTAの進み具合
- 次の期間の業績予想の水準
- 営業キャッシュフロー、設備投資、現預金と有利子負債の差
- サンプル出荷中の新製品の採用状況や、特許訴訟・ADRの続報
保有している人・購入を検討している人の見方
すでに保有している人は、まず7〜9月の結果が会社見通しに沿ったかを確かめましょう。次の期間の予想で増収増益の流れが続くか、販売単価の説明が弱まっていないかも大事な変化の目印です。
購入を検討している人は、10月30日の決算で次の期間の会社予想と需要の説明を確認しましょう。そのうえで、その内容が今の株価にどこまで織り込まれているかを自分の投資期間に照らして考え、判断し直すのが順序です。
決算短信や決算説明資料は、公式IRページの「IRライブラリー」から確認できます(キオクシアホールディングス IRライブラリー)。
キオクシアは何で稼ぐ会社か
キオクシアグループは、NANDフラッシュメモリを主力とする企業です。NANDフラッシュメモリは、電源を切ってもデータが消えない記憶用の半導体です。SSDは、NANDフラッシュメモリを利用してデータを読み書きする記憶装置です(キオクシアの製品とテクノロジー)。キオクシアは、メモリそのものとSSD製品の両方を販売しています。
決算短信では、売上収益を用途別に次の3つに分けています(第1四半期決算短信)。
- SSD & ストレージ:PC、データセンター、企業向けのSSDなど
- スマートデバイス:スマートフォン、車載、産業機器などに組み込むメモリ
- その他:SDメモリカードなどのリテール向け製品や、製造合弁会社3社を通じたサンディスク(Sandisk)グループ向けの売上など
利益を大きく動かすのは、販売単価と出荷量の組み合わせです。需要が強い局面では両方が同時に伸びて利益が急拡大しやすい一方、需給が緩むと利益が減る方向に働きます。
サンディスクとは長年の合弁パートナーで、フラッシュメモリの開発と前工程の生産で協業しています。8月27日の発表によると、両社は2026年1月に四日市工場の合弁会社契約期間を2034年12月まで延長しました(2026年8月27日 ニュースリリース)。

