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JX金属(5016)株価分析 非鉄金属
2025年3月上場の「銅と半導体材料」の大手——上場直後の安値650円から1年で9倍の5,828円まで買われた。 いまは高値から▼35% の3,770円。買われた物語は「AI×半導体材料」だが、営業利益1,750億円の土台にあるセグメント利益(調整前・合計2,104億円)のうち66%は銅価が主役の基礎材料 で、半導体材料は19%。銅の感応度と半導体材料の成長力を、利益の中でどう分けて測るか ——決算当日に頂点をつけて翌日▼16.7%という実例も含めて、この1ページで整理する。
JX金属の今と見どころ 📊 株価データ:2026-07-24終値 ✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新) 次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
ENEOSグループから2025年3月に上場した銅と半導体材料の大手 。半導体用スパッタリングターゲット(世界高シェア)・圧延銅箔・チタン銅などの機能材料と、チリの銅鉱山権益・製錬(基礎材料)を併せ持つ。前期は売上8,846億円(+23.7%)・営業利益1,750億円(+55.6%) と、銅価の史上最高値(1/29・628セント)とAI需要の両追い風で急拡大。
株価は上場直後の安値650円から1年で9倍の5,828円(5/11) へ。ただしこの頂点は決算当日の取引時間中 につけたもので、引け後の中身(来期+12%予想)が期待に届かず翌日▼16.7%の暴落 。いまは▼35%の3,770円。注意すべきは利益の構造——セグメント利益の66%は銅価が主役の基礎材料で、AIの物語の主戦場(半導体材料)は19% 。
焦点は8/6の1Q決算=銅の追い風と半導体材料の成長を分けて確かめる初回点検 。株価の物差しは25日線(4,157円)・押し安値3,361円(7/17)・戻りの壁4,000円台。
いまの状態
業績 売上8,846億(+23.7%)・営業益1,750億(+55.6%)・純益1,046億。セグメント営業益=基礎材料1,395億/半導体材料395億/情報通信材料315億。来期は営業益1,900億・EPS 125.97円(+12%)予想(前提:銅520セント・150円/ドル)
株価の流れ 安値650円(25/4)→5/11高値5,828円→翌日▼16.7%→6/16ストップ高(InP増産報道)→7/17安値3,361円→荒い往来
需給 信用買い残2,225万株=出来高の1.0日分。上場2年目で浮動株に短期資金の比率が高く、±4%超の日が頻発
割安度 予想PER 29.9倍。「銅の会社」なら高く「半導体材料の会社」なら普通 ——どちらで測るかが評価の分かれ目
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)
📌 今週の要点: このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に3,361円まで売られ、高値からの下げは▼42%まで拡大。その後7/23+4.6%→7/24▼4.5%と、±4%超の日が交互に来る荒い値動きのまま3,770円で週を終えた。1Q決算は8/6(会社IRカレンダーで確定) 。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。
① 新しく分かったこと
➡️ 7/23、韓国拠点のターゲット加工能力を約2倍にする投資を発表
韓国JX金属(京畿道平澤市)に約40億円を投じ、半導体用スパッタリングターゲットの加工能力を2025年度比約2倍へ。自動加工機の導入で下工程を効率化し、稼働は2027年度下期から段階的(会社発表)。
→ 解釈:短期の利益にはまだ効かないが、AI×半導体材料の物語の本体=半導体材料の供給力増強が続いていることを示す一次情報。ひたちなか工場・InP増産報道に続く能力投資。
➡️ 決算への警戒と期待が同居している
5/11の前回決算では、取引時間中に上場来高値5,828円→翌日▼16.7%という「期待で頂点・中身で暴落」を経験済み。1Qは昨年、開示と同時に通期を上方修正した(62.47→75.49円)。
→ 解釈:この会社の四半期は「銅価の追い風がどれだけ利益に出たか」と「半導体材料の成長が続いているか」の2つを分けて読むのが本筋。前者は市況次第、後者が物語の本体。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし (開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。
③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)
(a) 8/6の1Q決算 (会社IRカレンダーで確定・開示は引け後の見込み=反応は翌営業日)で、半導体材料セグメントの増益が続いているか・通期予想(EPS 125.97円)の修正方向
(b) 押し安値3,361円(7/17)を終値で維持できるか
(c) 4,000円台(7月前半の攻防帯)を出来高を伴って回復できるか
④ 📅 次に見るもの ——8/6 1Q決算 ・銅のLME価格(会社前提520セント)・7/30 FOMC/日銀(ドル円150円前提)。
📅 これからの予定 — JX金属(5016)に関連するもの
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
7/30(木) ★FOMC(米金融政策) 結果発表 市場全体 日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見。ドル円と銅価(利下げ観測=銅高要因)の両方に効く 東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木) ★日銀 金融政策決定会合 市場全体 結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30。円高は輸出採算の逆風(前提150円/ドル) 東京が反応する日: 7/31(金)
8/6(木) JX金属(5016) 1Q決算発表 自社 会社IRカレンダー記載の確定日。前年は15:30(引け後)開示=反応は翌営業日から。昨年は初回から通期上方修正を出した
8/7(金) ★米雇用統計(7月分) 市場全体 日本時間 21:30。米景気=銅需要の土台 東京が反応する日: 8/10(月)
随時 銅のLME価格・米国の銅関税報道 市況シグナル 会社前提は通期平均520セント。1月に史上最高値628セントの前歴。セグメント利益の66%を占める基礎材料の生命線
速報 直近の動き — JX金属(5016)に関連するかもしれないニュース
終値
3,770円
2026-07-24(前日比▼4.5%・TOPIX騰落率との差▼3.4pt)
上場来高値からの下落
▼35.3%
高値5,828円(2026/05/11・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23+4.6% 7/24▼4.5%
直近2営業日の前日比
信用倍率
35倍
買い残2,225万株/売り残64万株(7/17公表・週次)
3つの視点で見る(2026-07-24時点)
ファンダメンタルズ
営業利益1,750億円(+55.6%)の内訳は、基礎材料1,395億(銅価の追い風)・半導体材料395億・情報通信材料315億。 セグメント利益(調整前・合計2,104億円)の66%は銅価しだいの部分で、AIの物語の主戦場は合わせて34% ——株価のテーマと利益の主役がずれている。EPS予想は62.47→125.97円と1年で2倍に修正の連打が続いたが、その相当部分は銅の史上最高値(628セント)が作った。来期前提は銅520セント・150円/ドル。
需給
信用買い残2,225万株は出来高の1.0日分。 上場2年目で需給がまだ落ち着いておらず、ストップ高(6/16)と▼16.7%(5/12)が同じ四半期に起きる ほど短期資金の出入りが激しい。自己株式の公開買付け(6月実施)などENEOSグループとの資本関係の整理も需給イベントとして続く。
テクニカル
5/11高値5,828円→7/17安値3,361円(▼42%)の調整を経て、3,400〜4,000円の荒い往来。 いまの3,770円は25日線(4,157円)の-9.3%下。確認は ①押し安値3,361円(7/17)を守るか ②4,000円台の回復 ③8/6の1Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
1
なぜ、上場1年で9倍になり、▼35%沈んだのか
650円→5,828円→3,770円という新規上場株らしからぬ振れ幅は、「銅」と「AI」という2つの別の物語が同じ株に乗っている ことから来ています。層ごとに分解します 。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
土台 銅と材料の複合体
ENEOSから独立上場した「銅の川上から半導体の川下まで」 構造的な地位
2025年3月19日、ENEOSホールディングスからの売出しで東証プライムに上場。チリの銅鉱山権益・製錬(基礎材料)と、半導体用スパッタリングターゲット・圧延銅箔・チタン銅(機能材料) を併せ持つ
スパッタリングターゲット(半導体の配線膜の原料)は世界高シェア 。AI半導体の生産が増えるほど使われる消耗材
上場直後は関税ショックに巻き込まれ、2025年4月7日に安値650円 ——ここが全ての起点になった
きっかけ 銅の史上最高値
銅438→628セント——利益の最大部門に商品市況の追い風 営業益+55.6%
銅のLME価格は期初438セントから上昇を続け、2026年1月29日に史上最高値628セント (期平均491・前期比+66セント)。米国の銅関税を巡る思惑・供給不安・投機資金の流入が重なった(短信明記)
この追い風を最も受けたのが基礎材料セグメント——営業利益1,395億円(前期比+649億円)はセグメント利益合計の66%
EPS予想は62.47→75.49→85.22→100.35円と四半期ごとに上方修正。修正の連打の主因は銅価 だった
二の矢 AI材料の物語
ひたちなか新工場・InP「10倍増産」——半導体材料の成長物語 ストップ高の燃料
2026年3月、先端材料の中核拠点ひたちなか工場を開業 。HBM等の先端メモリ・ロジック向けスパッタリングターゲットの供給力を強化(短信明記)
6/16には光通信用のリン化インジウム(InP)基板に約1,200億円を投じ、生産能力を最大10倍へ引き上げる と報じられ、ストップ高+18.6%。3営業日で+42%
AIサーバ用チタン銅・圧延銅箔も採用拡大——「銅の会社」が「AI材料の会社」として語り直された のが株価9倍の後半戦
増幅 期待の暴走と反動
決算当日の取引時間中に頂点→翌日▼16.7% ▼42%の調整
5/11、決算開示(16:10・引け後)を待たずに日中+5.6%まで買われ、取引時間中に上場来高値5,828円 。ところが中身の来期予想は+12%——銅前提を保守的(520セント)に置いた予想は、期待に届かなかった
翌5/12は▼16.7%(出来高6,270万株)の暴落。1週間で高値から▼35%まで下げた
6月のストップ高ラリーも6/23▼11.3%で反転。期待で買われた分だけ、反動も大きい ——上場2年目の浮動株構造がこの振れ幅を増幅している
たしかめ 固有か地合いか
「銅の日」と「AIの日」を分けて読む 2つの温度計
この株が動く日は2種類ある——銅価・関税の日 (4/8+13.6%は銅関税の巻き戻し)と、AI材料の日 (6/16のInP報道)。どちらの物語が動いたかで意味が全く違う
市場全体の急落日(6/23・7/17)には▼7〜11%と人一倍反応する——高値警戒と浮動株の軽さの合わせ技
御三家(フジクラ・古河・住友電工)とは「非鉄・AI」の物色で連動しやすいが、利益構造は銅市況への依存が最も深い 点が違い
いまの位置
9倍の上げは①銅の史上最高値 ②AI材料の成長物語 ③上場2年目の軽い浮動株 の三段重ねでした。いまの3,770円(PER 29.9倍)は、決算失望と全体調整で期待の上澄みが剥げた後の値段。銅価が主役のセグメント利益66%と、成長物語の本体34%を分けて測る ——次の答えは8/6の1Q決算。半導体材料セグメントの増益が続いているかが、物語の本体の点検になります 。
順番に注意 — この銘柄は「決算は引け後・利益は二階建て」
① 開示は15:30〜16:30、反応は翌朝から 決算は引け後開示が定例です。5/11の悲劇——日中に期待で高値をつけ、引け後の中身で翌日暴落——は、この時間差が生んだもの。決算当日の日中の上げは「まだ何も確定していない」 ことを覚えておくべき銘柄です。
② 上方修正の「中身」を必ず分解する EPS予想が1年で2倍になった主因は銅価です。同じ上方修正でも、銅価由来(市況・一過性寄り)か、半導体材料の増販由来(構造・持続性)かで価値が違う 。セグメント別営業利益まで見て初めてこの株は読めます。
③ 銅の前提(520セント)との差を見る 会社予想は銅520セント/150円ドルが前提。足元の銅価がこれより上なら上振れ余地、下なら未達リスク ——LME価格は決算を待たずに読める主要な先行指標です。ただし会社前提は通期平均であり、権益銅の販売時期・為替・製錬の買鉱条件悪化(減産検討・短信明記)・税効果などの一過性要因が間に挟まるため、スポット価格だけで業績は決まりません。
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会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。JX金属は半導体材料(スパッタリングターゲット等)・情報通信材料(圧延銅箔・チタン銅・タツタ電線)・基礎材料(銅鉱山権益・製錬・リサイクル) の3セグメント。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信の実数です。
売上高
8,846億
前期比+23.7%
2026年3月期実績。銅価上昇と主力製品の増販
営業利益
1,750億
+55.6%
来期は1,900億(+8.6%)を会社が予想
純利益
1,046億
+82.9%
親会社帰属分。非支配持分241億が別にある
EPS(1株利益)
112.94円
→ 予想 125.97円
来期+12%予想・配当は下限20円(自己株取得優先)
利益はどこから来ているか——3部門の内訳
基礎材料 売上4,079億(+33%)・営業益1,395億(+649億) ── チリ銅鉱山(MLCC等)の権益・製錬・リサイクル。セグメント利益の66%。最大の追い風は銅価 。ただしカセロネス(チリ銅鉱山)の繰延税金資産計上=税効果+190億円という一過性の持分法利益を含み、製錬は買鉱条件の悪化で減産検討(短信明記)
半導体材料 売上1,772億(+20%)・営業益395億(+128億) ── スパッタリングターゲット世界高シェア。AIの物語の本丸だが利益の19% 。ひたちなか新工場で供給力強化へ
情報通信材料 売上3,187億(+20%)・営業益315億(+64億) ── 圧延銅箔・チタン銅(AIサーバ採用拡大)・タツタ電線。スマホ回復も追い風
読み方 ── 成長物語(半導体・情報通信)は合計710億円=利益の34%で、3部門とも増益という点は健全 。ただし増益の最大部分は基礎材料の+649億円(3部門合計+841億円に対し、全社調整等の悪化で連結の増益は625億円)。しかもその中身は銅価だけでなく、カセロネスの税効果+190億円(来期は反転▲190億円の計画・決算説明資料)という一過性要因を含む 。来期の営業益1,900億円(+8.6%)が、銅前提520セント(実績平均491より上)とAI材料の増販のどちらでどれだけ稼ぐ計画かを、四半期ごとに分解して見るのがこの株の読み方。
知っておきたい3つのこと
1 ENEOSとの資本関係の整理が続く 上場はENEOSの売出しによるもので、2026年6月には自己株式の公開買付け(5,730万株・最大2,500億円)を実施 し、その資金はゼロクーポンの転換社債(CB)2,500億円で調達した。転換で交付される株式数は取得株数を下回る設計でEPSは向上見込み(会社説明・転換価額の調整で変わる余地あり)だが、将来のCB転換による希薄化の芽は残る。株主還元方針も「配当性向25%・下限20円、ただし自己株取得を優先」へ変更。需給・EPS・株式数を同時に動かす資本政策イベント が当面続く。
2 財務は健全・投資は拡大期 自己資本比率48.3%・ネットD/E 0.36倍。営業CF 1,075億円に対し設備投資が膨らむ局面(ひたちなか・InP増産1,200億円報道)で、「稼いだ分を成長に回す」段階 。配当利回りより成長投資で読む株。
3 注意点 ①銅価の反落 ——セグメント利益の66%が市況部門。前提520セントを下回る局面は未達リスク ②製錬の採算悪化 ——買鉱条件の著しい悪化で減産検討中(短信明記) ③円高 ——前提150円/ドル ④上場2年目で値動きが荒く、決算またぎのリスクが大きい(5/12▼16.7%の実例)。
この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)
AI半導体の増産(外部環境) →
ターゲット・銅箔・チタン銅の増販(四半期で確認) →
半導体・情報通信の利益比率の上昇(いま34%) →
「銅の会社」から「AI材料の会社」への評価の切り替え →
PER 29.9倍の物差しの再定義
この鎖の面白さは、銅価が高いうちは鎖の進捗が「銅の利益」に隠れて見えにくい こと。だからこそセグメント別の実数(半導体材料の営業利益)が、物語の本体の唯一の計器になる——確認の場は四半期決算(引け後開示)とLME銅価格 です。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります 。
成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1 銅価の水準
銅のLME価格が会社前提(520セント)近辺以上で推移する
セグメント利益の66%(基礎材料)の生命線。史上最高値628セント(1/29)からの調整が深くなるかが最大の外部変数
崩れるサイン :LME銅価の500セント割れ定着/中国需要の減速/米銅関税の需要破壊
前提 2 AI材料の増販
スパッタリングターゲット・チタン銅・InPの需要拡大が続く
成長物語の本体。ひたちなか工場・InP増産投資はこの前提への賭け
崩れるサイン :半導体材料セグメントの増益が止まる/AI投資減速で先端ロジック・HBMの生産調整/増産投資の回収遅れ
前提 3 製錬の持ちこたえ
買鉱条件の悪化を減産・効率化で吸収できる
製錬(銅精鉱を地金にする工程)の採算は世界的に悪化中で、会社も減産検討を明言。基礎材料の内側のリスク
崩れるサイン :減産の実施と収益悪化の顕在化/買鉱条件のさらなる悪化
遠い脅威 評価軸の宙づり
「銅の会社」と「AI材料の会社」、どちらの物差しに落ち着くか
資源会社ならPER10倍前後、半導体材料の専業なら20〜30倍。現在の利益構成(66:34)で単純に加重すれば10倍台半ばの計算だが、実際の29.9倍はそれよりかなり上——市場はすでに将来の構成転換をかなり先取りしている。半導体・情報通信の利益比率(いま34%)が実際に上がり続けるかが、この評価の生命線
逆に銅価が崩れてセグメント利益の66%が痩せれば、物差しの議論の前に分母(EPS)が縮む——二階建ての両方を見続けるしかない銘柄
3
いまの株価は割高か、割安か(二階建ての値段)
PER =株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている 状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算)。
PERの推移(上場後の予想開示以降・日次)
2025-05 → 2026-07-24
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。開示は一貫して引け後(15:30〜16:30)のため、翌営業日から分母に反映。上場後最初の通期予想(2025/5/9開示)からの系列。
いま
PER 29.9倍
2026-07-24(終値ベース・会社予想EPS 125.97円)
上場以降の中央値
26.4倍
およそ12〜57倍のレンジで推移
参考:評価軸の両端
10倍/25倍
資源/半導体材料の物差し。66:34で単純加重すると10倍台半ば——29.9倍はその上
読み方 ── 上場1年目のPERは13.1倍→高値時58倍→いま29.9倍 と大きく振れてきました。EPS予想が1年で2倍(62.47→125.97円)になった一方、株価は9倍——つまりこの株の上げの大半は「EPSの成長」でなく「物差しの切り上がり」 で、AI材料の物語が評価をどこまで引き上げるかの実験が続いている状態です。セグメント利益の66%を占める銅部門を資源会社の物差し(10倍前後)、34%の材料部門を成長株の物差し(25倍前後)で単純に加重すると、計算上は10倍台半ばにしかなりません。いまの29.9倍はそれを大きく上回る——つまり市場は現在の利益構成ではなく、半導体・情報通信の利益比率が上がっていく将来の構成転換を相当に先取りした評価 です。だからこそ、半導体材料の増益が止まると物差しごと崩れやすい構造です。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの3,770円(予想PER 29.9倍)は、「銅価が520セント前後を保ち、半導体材料の成長が続く」という二階建ての前提を織り込んだ値段 です。InP増産・ひたちなか工場という成長投資への期待も一部乗っている。
崩れる合図 ──8/6の1Q決算で半導体材料セグメントの増益が止まる/銅価の500セント割れ定着/製錬減産の収益影響が想定超。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
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テクニカルと需給の現在地
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
下値の目安とサイン(日足75本)
〜2026-07-24
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
━ 青い線 =25日線(4,157円)荒い往来の中心線。いまの3,770円は線の-9.3%下
━ 赤い点線 =押し安値(3,361円・7/17)7月の急落の底。ここを終値で割ると調整の第2段階入り(強い警戒)
上の節① 4,000円前後(7月前半の攻防帯) 7/2〜7/15に何度も往来した帯。出来高を伴って超えると戻りの形が見えてくる
上の節② 4,700〜5,400円(6月の急騰帯)→ 5,828円(5/11高値) ストップ高ラリーで商いを集めた帯は戻り売りの在庫が厚い
下の節 3,341円(6/10安値) 7/17安値3,361円と並ぶ2度目の下値。ここも割れると6月安値圏の支えを失う
200日線は3,180円 上場2年目で急騰した分、まだ株価のかなり下。長期の物差しはフル指標版 で
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
信用残(週次)と売買代金
2025-07 → 2026-07-17
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
━ 赤い線 =信用買い残(あとで売る予約)いま2,225万株 (7/17公表)=出来高の1.0日分。急騰急落の過程で積み上がった短期資金の在庫
━ 青い線 =信用売り残(あとで買い戻す予約)64万株。売り残が極端に少ないため倍率は35倍と大きく出るが、買い残の絶対量は出来高1.0日分——偏りは強いものの、直ちに消化不能な規模ではない
棒グラフ=売買代金 1日平均約1,197億円 (直近60日)。時価総額 約3.5兆円に対して回転が速い=短期資金の比率が高い
まとめ ── 7/17の3,361円でいったん下げ止まり、3,700円前後の荒い往来。6/10安値3,341円と7/17安値3,361円に下値が2度集まった形(二重底の候補——確認には4,000円台の回復が必要)。8/6の1Q決算と銅価の推移が次の方向を決める 公算。全体の結論は最終章「総合判断」 へ。
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総合判断と、今後の注目点
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ :3部門とも増益で健全。ただしセグメント利益の66%は銅価しだいで、AI物語の本体は34%/需給 :上場2年目の不安定な需給+信用買いの偏り=振れ幅大/テクニカル :▼42%調整から下値2度(3,341円・3,361円)の支えを試す位置。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」 を置いておきます。
✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)
8/6の1Q決算 で、半導体材料セグメントの増益継続と通期上方修正(昨年パターンの再現)が確認できる
4,000円台(7月前半の攻防帯)を出来高を伴って回復する
銅のLME価格が520セント(会社前提)を上回って推移 ——上振れ方向の追い風
InP増産・ひたちなか工場の進捗が具体化する(能力・受注の数字が出る)
⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)
押し安値3,361円(7/17)・6/10安値3,341円の下値帯を割り込む
銅価の500セント割れ定着——セグメント利益の66%が痩せる方向
半導体材料セグメントの増益が止まる ——成長物語の本体の失速
製錬減産の収益影響が想定を超える/買鉱条件のさらなる悪化
決算またぎの急変動(5/12▼16.7%の前歴)——イベント前のポジション過熱に注意
📅 次に見るカレンダー
8/6 :第1四半期決算(会社IRカレンダーで確定)——二階建て(銅とAI材料)の初回分解点検(開示は引け後の見込み→反応は翌営業日)
毎日 :銅のLME価格——会社前提520セント(通期平均)との差が主要な先行指標
随時 :米国の銅関税・ドル円(前提150円)・ENEOSとの資本関係のニュース
11月中旬 :第2四半期決算(前年は11/11)
🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — JX金属(5016)
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出典・参考資料
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
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JX金属の適時開示(一次情報)
2025/5/9 2025年3月期 決算短信(上場後初の本決算)——2026年3月期予想(EPS 62.47円)の出典
2025/8/5〜2026/2/10 四半期決算短信——EPS 75.49→85.22→100.35円と修正を重ねた出典
2026/5/11 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕——売上8,846億円(+23.7%)・営業利益1,750億円・セグメント別実数(半導体材料1,772億/395億・情報通信材料3,187億/315億・基礎材料4,079億/1,395億)・銅LME価格の推移(438→史上最高値628セント〔2026/1/29〕→期平均491セント)・ひたちなか工場開業・製錬減産検討・2027年3月期予想(売上9,300億・営業益1,900億・EPS 125.97円・前提:銅520セント/150円ドル)・株主還元方針変更(配当性向25%・下限20円・自己株取得優先)の出典
2026/6/10〜6/26 自己株式の消却・自己株式の公開買付けの結果・株式交換端数処理に関するお知らせ——資本関係整理の出典
2026/7/23 ニュースリリース「韓国JX金属における半導体用スパッタリングターゲットの加工能力増強について」——約40億円・2025年度比約2倍・2027年度下期稼働の出典
JX金属 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)
データの出典
株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(2025/3/19の上場以降。同コードの旧会社時代のデータは除外)
PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
6/16のInP基板増産(約1,200億円・最大10倍):市場報道(2026/6/16)
「スパッタリングターゲット世界高シェア」:会社公表資料に基づく公知の事実
決算数値は適時開示の実数。銅価・セグメント記述は決算短信の記載に基づく記述です。