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古河電気工業(5801)株価分析 非鉄金属
年初1,001円(2025年末終値)→半年で6.2倍の6,241円(場中)→いまは▼46%の3,388円——電線御三家で最も急騰し、最も深く沈んだ株。 売上はフジクラより大きいのに、営業利益は約3分の1(638億円 vs 1,887億円)。それでも買われたのは「水準」ではなく「変化率」 ——EPS予想を511円→767円→実績1,030円と塗り替え続けた勢いだった。フジクラとの差はどこで生まれ、剥げる時は何が起きるのか ——1:10分割直後の需給まで含めて、この1ページで整理する。
古河電気工業の今と見どころ 📊 株価データ:2026-07-24終値 ✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新) 次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
光ファイバ・電力ケーブル・自動車部品・銅材を手がける電線御三家 (フジクラ・住友電工・古河電工)の一角。AIデータセンター向けの光ファイバと電力インフラの需要を追い風に、株価は年初の1,001円(2025年末終値・調整後)から半年で6.2倍の6,241円(5/27・取引時間中) まで買われた——燃料はEPS予想を511円→767円→実績1,030円(分割前)と塗り替え続けた上方修正の連打 。
ただし利益の構造はフジクラと大きく違う。AIで沸く光・電力(インフラ部門)の営業利益は214億円=3事業部門合計の約30%。最大の利益源は自動車部品・銅材(電装部門)の339億円(約48%) 。営業利益率4.9%はフジクラ(16.0%)の3分の1以下で、買われたのは「水準」でなく「変化率」だった。なお実績EPS 1,030円には投資有価証券売却益など一過性の利益も含まれ、持続性を測る物差しは営業利益とインフラ部門の利益 になる。いまは高値から▼46% の3,388円と、御三家で最も深い調整。
焦点は8/6の1Q決算(会社発表の予定日・14:00場中開示)=変化率の物語(営業益+49%予想)が続いているかの初回判定 。株価の物差しは25日線(4,066円)・押し安値3,079円(7/17)・戻り高値4,015円(7/3)。
いまの状態
業績 売上1兆3,075億(+8.8%)・営業益638億(+35.8%)・純益725億(+117.4%)。来期は営業益950億(+49%)・EPS 116.6円(+13%)を会社が予想
株価の流れ 2/9の上方修正で2日+48%→5/12決算で2日+33%→5/27高値6,241円→7/17安値3,079円(▼51%)→3,300〜3,500円の攻防
需給 信用買い残2,133万株(分割換算)は5月中旬の約1,310万株から下落局面で増加=難平の積み上がり。6/29の1:10分割で商いは約4倍に
割安度 予想PER 29.1倍(高値では54倍)。フジクラ33倍・住友電工24倍の中間=「変化率プレミアム」の残り分
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)
📌 今週の要点: このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に3,079円まで売られ、高値6,241円からほぼ半値をつけた。週明けに3日で+7%戻したが、7/24は▼3.6%の3,388円と、値動きの荒さが続く。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。
① 新しく分かったこと
➡️ 市場の目線が「8月頭の決算」に移り始めた
7/22に「電線株の復調を探る投資家、AI相場は半導体一極から多極化へ——決算転機」(Bloomberg)と報じられ、同日+3.1%。急落の続いた7月から、決算で答え合わせをする局面へ。
→ 解釈:この銘柄を買い上げた「変化率の物語」(EPS修正の連打)が続くかどうかは、8/6の1Q決算で最初の判定が出る。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし (開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。
③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)
(a) 8/6の1Q決算 (会社発表の予定日・14:00場中開示)で、インフラ部門(光ファイバ・電力)の利益の伸びと、営業利益950億円(+49%)予想への進捗
(b) 押し安値3,079円(7/17)を終値で維持できるか
(c) 4,000円台(7/3戻り高値4,015円)を出来高を伴って回復できるか
④ 📅 次に見るもの ——7/31 住友電工1Q→8/6 自社1Q(会社発表の予定日)→8/7ごろ フジクラ1Q と御三家の決算が続く。ほか7/30 FOMC/日銀。
📅 これからの予定 — 古河電気工業(5801)に関連するもの
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
7/30(木) ★FOMC(米金融政策) 結果発表 市場全体 日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見 東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木) ★日銀 金融政策決定会合 市場全体 結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30 東京が反応する日: 7/31(金)
7/31(金) 住友電工(5802) 1Q決算(会社IRカレンダー掲載・15:00開示予定) 同業・予定 御三家の先頭打者=光・電力の需要コメントが自社決算の先行指標になる
8/6(木) 古河電気工業(5801) 1Q決算発表 自社・予定 会社発表の予定日・14:00開示予定(時刻は前後する可能性あり)=反応は当日午後から
8/7(金)ごろ フジクラ(5803) 1Q決算(予測日) 同業・予測 評価の物差し(御三家のPER差)を動かす最大の比較対象。5/27の天井のきっかけもフジクラの決算だった
8/7(金) ★米雇用統計(7月分) 市場全体 日本時間 21:30 東京が反応する日: 8/10(月)
速報 直近の動き — 古河電気工業(5801)に関連するかもしれないニュース
終値(調整後)
3,388円
2026-07-24(前日比▼3.6%・TOPIX騰落率との差▼2.5pt)
上場来高値からの下落
▼45.7%
高値6,241円(2026/05/27・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23▼0.3% 7/24▼3.6%
直近2営業日の前日比
信用倍率
17倍
買い残2,133万株/売り残122万株(7/17公表・週次)
3つの視点で見る(2026-07-24時点)
ファンダメンタルズ
営業益638億円(+35.8%)・純益725億円(+117.4%)と急拡大し、来期は営業益950億円(+49%)を会社が予想。 ただしAIで沸く光・電力の営業利益は3事業部門合計の約30%で、最大の利益源は自動車部品・銅材(約48%) ——「AI銘柄」という物語と利益の実態には距離がある。営業利益率4.9%はフジクラの3分の1以下。買われたのはEPS修正の連打という変化率 で、それが続くかを四半期ごとに確かめる局面。
需給
信用買い残2,133万株(分割換算)は、5月中旬の約1,310万株から下落局面で増えた =高値から半値の過程で難平買いが積み上がった形。6/29の1:10分割で出来高は2,000万株台へ約4倍になり、個人が参加しやすくなった直後に7/1▼8.0%・7/2▼8.6%——買いやすさは、下げの速さでもある 。
テクニカル
5/27高値6,241円→7/17安値3,079円(▼51%)の調整を経て、3,300〜3,500円の攻防。 いまの3,388円は25日線(4,066円)の-16.7%下。確認は ①押し安値3,079円(7/17)を守るか ②戻り高値4,015円(7/3)超え ③8/6の1Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
1
なぜ、半年で6.2倍になり、半値に沈んだのか
同じ電線御三家でも、フジクラは年初比2.7倍・住友電工は2.3倍。古河だけが6.2倍 ——この差の正体を層ごとに分解します 。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
土台 電線御三家の一角
光ファイバ・電力ケーブル・自動車・銅材——「電気を通す」インフラの総合企業 構造的な地位
1884年創業の非鉄・電線の名門。光ファイバ(データセンター)・電力ケーブル(再エネ・送電網)・ワイヤハーネス(自動車)・銅材(半導体) と、「電気と情報を通す」領域を広くカバーする
コロナ期の2020年には162円(調整後)まで売られ、2025年末でも1,001円——長く「成熟した重厚長大株」の値段 だった
AIデータセンターの建設ラッシュで光ファイバと電力インフラの需要が急増し、フジクラが先導する形で「電線株」が2025年からテーマ化した
きっかけ 利益の変曲点
2/9の3Q決算——EPS予想を511円→767円(+50%)へ塗り替えた日 2日で+48%
2026/2/9(14:00・場中)、通期EPS予想を511.1円→767.0円(分割前)へ大幅上方修正。当日+20.7%・翌日+22.9%と2日でほぼ5割高
牽引したのはインフラ部門——光ファイバ(ローラブルリボンケーブル・MTフェルール等の高付加価値品)と電力ケーブルで、部門営業利益は前期比+276%の214億円 へ(通期実績)
「利益成長が変曲点を迎えた」という証券会社の評価も報じられ(日経)、年初1,001円の「安い電線株」が変化率で買われ始めた
二の矢 修正の連打
5/12の本決算——実績1,030円は修正後の予想すらさらに上回った 2日で+33%
5/12(14:00・場中)、通期実績EPS 1,030.17円(分割前)=2月に上げたばかりの予想767円を大幅に上回る着地 。純利益は725億円(+117.4%)
同時に来期営業利益950億円(+49%)予想と1:10の株式分割を発表 。当日+16.1%・翌日+15.3%——「予想を出せば超えてくる」という期待が値段になった
511→767→1,030円。この「修正の連打」こそが、利益率の低さ(4.9%)を脇に置いて株価を6.2倍にした燃料
増幅 過熱と剥落
頂点のきっかけは自社ではなくフジクラの決算だった ▼51%の調整
5/27、フジクラの慎重な業績見通しに電線株全体が失望売り——古河はこの日取引時間中に上場来高値6,241円をつけてから▼6.7%反落 。年初比6.2倍の頂点で梯子が外れた
6月は乱高下:6/10▼11.7%、6/19+15.1%→6/23▼15.5%と、材料の続かない急騰と急落が交互に来る不安定な相場 に
6/29権利落ちの1:10分割で商いは約4倍に増えたが、買いやすくなった直後の7/1▼8.0%・7/2▼8.6%——7/17に3,079円(高値からほぼ半値)まで下げた
たしかめ 固有か地合いか
御三家を並べると「古河だけ振れ幅が大きい」——変化率相場の宿命 3社比較
2025年末を起点に揃えると(分割調整後):古河6.2倍→▼46%/フジクラ2.7倍→▼42%/住友電工2.3倍→▼33% 。上げも下げも古河が最大
利益率の水準で買われたフジクラ(16.0%)に対し、古河は修正の連打という「変化率」で買われた分、期待の膨張も収縮も激しい ——これが差の正体
7/17(TOPIX▼2.7%)に▼6.1%と、地合いの急落にも人一倍反応する。テーマ・地合い・需給の3つが同時に効く状態が続く
いまの位置
6.2倍の上げは①AIデータセンター×光・電力という追い風 ②EPS修正の連打 ③分割・低位株効果による個人資金 の三段重ねでした。いまの3,388円は高値からほぼ半値、予想PER 29.1倍とフジクラ(33倍)より低い位置。変化率で買われた株は、変化率が止まった瞬間に物差しを失う ——次の答えは8/6の1Q決算、営業利益+49%予想への進捗が試されます 。
順番に注意 — この銘柄は「決算は昼・物語は変化率」
① 開示は14:00、反応は当日の午後から 決算は14:00(場中)が定例です。2/9の+20.7%も5/12の+16.1%も、当日の午後にそのまま出た反応でした。決算日は「引け後に考える」余裕がない銘柄です。
② 「良い決算」の基準が普通と違う この株を動かしてきたのは増益そのものではなく「予想の塗り替え」 です。1Q決算が計画線どおりでも、修正がなければ「変化率の物語が止まった」と受け取られ得る——期待の高い局面では、計画どおり=失望になることがあります。ただし1Q時点で通期予想を据え置く会社は多く、据え置き自体は珍しくありません。見るべきは修正の有無だけでなく、部門利益の伸びと利益率が計画達成の根拠を示しているかです。
③ 御三家3枚セットで読み分ける 古河だけ下がる日は「変化率プレミアムの剥落」、3社とも下がる日は「電線テーマ全体の資金流出」。5/27のようにフジクラの決算が古河の天井のきっかけになる ことすらあります(フジクラ・住友電工のページもあります)。
2
会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。古河電気工業はインフラ(光ファイバ・電力ケーブル)・電装エレクトロニクス(自動車部品・銅材)・機能製品(放熱・半導体製造用テープ等) の3部門+開発部門。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信の実数です。
売上高
1兆3,075億
前期比+8.8%
2026年3月期実績。海外売上比率50.6%
営業利益
638億
+35.8%・率4.9%
来期は950億(+49%)を会社が予想
純利益
725億
+117.4%
投資有価証券の売却益等も寄与。ROE 19.1%
EPS(1株利益)
103.0円
→ 予想 116.6円
分割調整後。+13%予想・配当22円予想
利益はどこから来ているか——「AI銘柄」の中身
インフラ 売上3,709億(+20.0%)・営業益214億(+276%) ── 光ファイバ(ローラブルリボンケーブル・MTフェルール・DFBレーザ)と電力ケーブル。伸び率は圧倒的だが、3事業部門合計の約30%
電装エレキ 売上7,651億(+3.9%)・営業益339億(+3.9%) ── ワイヤハーネスと無酸素銅など銅材。実は3事業部門合計の約48%を占める最大部門 。伸びは緩やか
機能製品 売上1,611億(+9.6%)・営業益154億(+8.9%) ── 放熱・冷却製品、半導体製造用テープ(新工場稼働)、電解銅箔。データセンター関連の第二戦線
※3事業部門の利益合計は707億円(インフラ約30%・電装約48%・機能製品約22%)。ここから研究開発などを担うサービス・開発等部門の損失67億円等を差し引いたものが連結営業利益638億円です。
読み方 ── 株価を6.2倍にした物語(AI×光ファイバ)の主役インフラ部門は、利益の残高ではまだ3割。ただし増益の中身は別で、前期比の全社増益168億円のうち約157億円はインフラ部門の増益 だった——利益の土台(ストック)は電装が支え、利益の増加分(フロー)はインフラが作っている。来期の営業益950億円(+49%)予想の実現も、インフラの伸びがどこまで利益に落ちるかに懸かっている 。会社は「データセンタ市場は活況継続」を前提に置き、中東情勢の影響は予想に織り込んでいない(短信明記)。
知っておきたい3つのこと
1 利益率4.9%はフジクラ(16.0%)の3分の1以下 売上は古河の方が大きい(1兆3,075億 vs 1兆1,824億)のに、営業利益は638億 vs 1,887億。光の高付加価値品に利益を集中させたフジクラと、自動車・銅材の比重が大きい古河の事業ミックスの差 がそのまま利益率の差になっている。なお売上には銅地金価格の高騰で膨らむ低マージン部分も含まれるため(短信明記)、売上の大きさ=付加価値の大きさではない。
2 純利益とキャッシュのねじれ 純利益725億円に対し、営業キャッシュフローは281億円(前期比▼317億円)。増収に伴う売掛金・棚卸資産の増加(運転資本・計約500億円)がお金を吸っている ほか、純利益には投資有価証券売却益193億円・退職給付制度改定益194億円(計387億円)といった一過性の特別利益も含まれる。増収局面の運転資本増は必ずしも悪材料ではないが、一時的なものか恒常的に資金を食う構造かは、今後の四半期の営業CFで確認したい。
3 注意点 ①銅価格と為替 ——原材料の銅地金高騰は転嫁に時間差が出る ②中東情勢は予想に不織り込み (会社が短信で明記) ③情報通信・機能製品の一部資産に減損の兆候検討の注記 (約41億円) ④有利子負債3,167億円・自己資本比率39.1%と、財務は改善途上。
この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)
AIデータセンター投資の持続 →
光ファイバ・電力の受注と増産 →
インフラ部門の利益率改善(+276%の持続) →
営業益950億(+49%)の達成 →
PER 29.1倍という物差しの正当化
この鎖は「修正の連打」で信用を積み上げてきた ——511円→767円→1,030円のEPS実績がその証拠です。逆に言えば、初めて「計画どおり」で終わった四半期が、物語の転機になり得る 。確認の場は四半期決算(14:00開示)です。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります 。
成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1 データセンター投資
AIデータセンターの建設ラッシュと光ファイバ需要が続く
インフラ部門+276%の利益急伸の源泉。会社の来期予想も「データセンタ市場は活況継続」が前提(短信明記)
崩れるサイン :米ハイパースケーラーの投資減速報道/光ファイバの供給過剰・価格下落/フジクラ・住友電工の決算での需要減速コメント
前提 2 電装部門の安定
利益の約半分を占める自動車部品・銅材が崩れない
ワイヤハーネスは国内需要が堅調。話題にはなりにくいがこの部門の339億円が全社の利益の土台 で、AI物語の裏で全体を支えている
崩れるサイン :自動車生産の減速(関税・北米市場)/銅価格の急変動/電池子会社非連結化のような構造変化の再発
前提 3 採算の改善
営業利益率4.9%→6.5%(来期予想)への改善が実際に進む
来期の営業益950億円は利益率6.5%への改善を意味する。高付加価値品へのシフトと増産効果が計画どおり出るかが試される
崩れるサイン :四半期の利益率が伸び悩む/運転資本の膨張が続き営業CFが細いまま/減損兆候の注記が実際の減損になる
遠い脅威 変化率の物語の終わり
「予想を出せば超えてくる」という期待そのものの持続性
この株の評価は業績の水準でなく修正の連打の記憶 の上に立っている。修正が止まれば、物差しは利益率相応(御三家最下位)へ戻る引力が働く
逆に、インフラ部門の利益が伸び続けて事業ミックスが変われば、「フジクラ型の利益構造」への進化として物差しが切り上がる可能性もある——それを決めるのは四半期ごとの部門利益の実額
3
いまの株価は割高か、割安か(変化率プレミアムの値段)
PER =株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている 状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2026年6月末の1:10分割は調整済み)。
PERの推移(直近2年・日次)
2024-05 → 2026-07-24
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。決算開示は2025年5月以降14:00(場中)のため当日から、それ以前(15:00台の引け後開示)は翌営業日から分母に反映。
いま
PER 29.1倍
2026-07-24(終値ベース・会社予想EPS 116.6円)
直近2年の中央値
19.7倍
およそ9〜61倍のレンジで推移
参考:御三家
33倍/24倍
フジクラ33倍前後・住友電工24倍前後——古河は中間
読み方 ── この2年のPERは22.2倍→高値時54倍→いま29.1倍 。面白いのは、株価が6.2倍になる過程でPERはそこまで上がっていない こと——株価の上昇と同じ速さでEPS予想も上方修正され続けたからです(511→767→1,030円)。つまりこの株の高値は「PERの膨張」より「EPSの膨張を信じた前借り 」で作られた。いまの29.1倍は利益率最下位(4.9%)の会社としては御三家中間のまだ高い位置で、来期+49%の営業増益が計画どおり進む前提が織り込まれています 。なお、実績EPS 1,030円(分割前)には投資有価証券売却益193億円・退職給付制度改定益194億円(計387億円)といった一過性の特別利益も含まれます。持続性を測る物差しはEPSより営業利益とインフラ部門の利益で、過去中央値19.7倍との比較も、分母の質が同じでない分だけ幅を見て読む必要があります。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの3,388円(予想PER 29.1倍)は、「データセンター需要が続き、営業利益950億円(+49%)への改善が計画どおり進む」という前提を織り込んだ値段 です。フジクラより低くても、利益率の差(4.9% vs 16.0%)を考えれば「変化率プレミアム」はまだ残っている。
崩れる合図 ──8/6の1Q決算で利益率の改善が止まる/上方修正の連打が途切れる/御三家の決算でデータセンター需要の減速が語られる。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
4
テクニカルと需給の現在地
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
下値の目安とサイン(日足75本)
〜2026-07-24
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円・分割調整後)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
━ 青い線 =25日線(4,066円)7月の急落で線の下へ。いまの3,388円は線の-16.7%下——戻りの最初の壁
━ 赤い点線 =押し安値(3,079円・7/17)高値からほぼ半値の位置。ここを終値で割ると調整の第2段階入り(強い警戒)
上の節① 4,015円(7/3) 分割直後の急落を一度止めた戻り高値。ここを出来高を伴って超えると底打ちの形が見えてくる
上の節② 4,870円(7/1)→ 6,241円(5/27高値) 5〜6月に商いを伴った5,000〜6,000円台は戻り売りの在庫が厚い帯
下の節 3,000円関係 7/17安値3,079円のすぐ下は心理的な3,000円。その下は価格の節が少なく、次の目安は200日線(2,654円)、さらに下は2月の急騰起点(1,750円前後)の価格帯
200日線は2,654円 急騰相場の名残でまだ株価のかなり下。長期の物差しはフル指標版 で
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
信用残(週次)と売買代金
2025-07 → 2026-07-17
左目盛:万株(線・1:10分割前は10倍換算で連続表示)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
━ 赤い線 =信用買い残(あとで売る予約)いま2,133万株 (7/17公表・分割換算)=出来高の1.1日分。5月中旬の約1,310万株→7月2,133万株と、下落の過程で増えた =難平買いの積み上がり。戻り局面では「やれやれ売り」の在庫になる
━ 青い線 =信用売り残(あとで買い戻す予約)122万株・倍率17倍。売り残は7月に減少=急落で買い戻しが進んだ
棒グラフ=売買代金 1日平均約1,826億円 (直近60日)。6/29の分割以降、出来高は2,000万株前後と分割前の約4倍の商いに。時価総額 約2.4兆円
まとめ ── 7/17の3,079円でいったん下げ止まり、3,300〜3,500円の攻防。分割で個人が入りやすくなった分、値動きは軽く荒い。信用買い残の積み上がりは戻りの重さとして効きやすく、8/6の1Q決算が次の方向を決める 公算。全体の結論は最終章「総合判断」 へ。
5
総合判断と、今後の注目点
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ :営業益+49%予想への進捗が全て。ただし最大の利益源は自動車・銅材で、AI物語との距離に注意/需給 :分割で商い4倍・信用買い残は下落局面で増加/テクニカル :高値から半値の3,079円で下げ止まり、方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」 を置いておきます。
✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)
8/6の1Q決算 で、インフラ部門の利益の伸びが続き、営業益950億円(+49%)への進捗が確認できる——さらに言えば上方修正の連打の再開
戻り高値4,015円(7/3)を出来高を伴って超える ——分割後の下げの形の否定
7/31住友電工・8/7ごろフジクラの決算 で、データセンター需要の強さが3社共通で語られる
信用買い残の減少に転じる(難平在庫の消化)
⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)
押し安値3,079円(7/17)を終値で割り込む ——下の節は薄く(次の目安は200日線2,654円)、下落が加速しやすい
1Q決算が「計画どおり」止まりで、部門利益の伸びや利益率にも新しい根拠がない——据え置き自体は珍しくないが、変化率で買われた株には失望になり得る
利益率の改善が止まる・営業CFの細さが続く ——変化率の物語の土台が揺らぐ
御三家の決算でデータセンター需要の減速・価格下落が語られる(5/27の実例:フジクラの見通しが天井のきっかけになった)
銅価格の急変動・中東情勢の悪化(会社予想に不織り込み)
📅 次に見るカレンダー
7/31ごろ :住友電工 1Q決算——御三家の先頭打者。光・電力の需要コメントが先行指標
8/6 :自社 第1四半期決算——変化率の物語の初回判定(会社発表の予定日・14:00場中開示→当日午後に反応)
8/7ごろ :フジクラ 1Q決算——評価の物差しを動かす最大の比較対象
随時 :銅価格・ドル円・米ハイパースケーラーの設備投資報道
11月上旬 :第2四半期決算(前年は11/10)
🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 古河電気工業(5801)
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出典・参考資料
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
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古河電気工業の適時開示(一次情報)
2024/5/13 2024年3月期 決算短信──2025年3月期予想(分割調整後EPS 18.45円)の出典
2024/11/7・2025/2/12 中間・第3四半期決算短信──EPS 31.22円→42.57円への上方修正の出典
2025/5/13 2025年3月期 決算短信──2026年3月期予想(EPS 51.08円)の出典
2026/2/9 2026年3月期 第3四半期決算短信(14:00開示)──通期予想の+50%上方修正(分割前EPS 511.1円→767.0円)の出典
2026/5/12 2026年3月期 決算短信──売上1兆3,075億円・営業利益638億円(率4.9%)・純利益725億円・部門別(インフラ3,709億/214億・電装エレクトロニクス7,651億/339億・機能製品1,611億/154億)・営業CF281億円・2027年3月期予想(売上1兆4,600億・営業益950億・EPS 116.6円)・「データセンタ市場は活況継続」「中東情勢は予想に不織り込み」の記載・減損兆候検討の注記の出典
2026/5/12 株式分割および定款一部変更に関するお知らせ──1:10分割(6月末権利落ち)の出典
古河電気工業 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)
データの出典
株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価・出来高・信用残は2026/6末の1:10分割・2016/10の株式併合を調整済み)
PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
フジクラ・住友電工との比較(株価倍率・PER・営業利益率):当サイトの両社ページと同一基準日・同一方法で算出
「電線株の復調を探る」報道:Bloomberg 2026/7/22。「利益成長が変曲点」の証券会社評価:日本経済新聞の報道
決算数値は適時開示の実数。部門構成・製品名(ローラブルリボンケーブル等)は決算短信の記載に基づく記述です。