ALUMINA STOCK NOTE 5801
古河電工の株価は今後どうなる?光通信・冷却の成長と利益の見方
古河電工の好業績は、光ファイバーだけでは説明できない。データセンター関連では、通信をつなぐケーブルや接続部品に加え、熱を逃がす冷却製品や光半導体も伸びている。2027年3月期第1四半期の営業利益は約255億円と、前年同期の約3倍になった。ただし、9月の中間純利益予想の引き上げは別の話だ。保有株式の売却時期を前倒しした効果であり、本業の成長や通期予想の追加増額と混同しないことが大切になる。
情報確認日

01 / OUTLOOK
古河電工のこれから
会社を見る軸は、光ソリューションと情報コンポーネントの増益が、増産投資の負担を上回って続くかどうか。営業段階の成長と、有価証券売却による一時的な利益を分けて追いたい。
古河電工の上昇シナリオ
上向きのシナリオは、データセンター向けの需要増が、光ケーブル・コネクターと、放熱・冷却製品の両方で売上と利益を伸ばす展開だ。第1四半期の光ソリューションは営業利益92億円と、前年同期の赤字から改善。情報コンポーネントも74億円と、前年同期比で約2倍になった。
8月の通期計画では、両事業の営業利益をそれぞれ430億円、510億円へ引き上げた。高密度の光接続や水冷モジュールなど、需要の強い製品を供給できれば、単に販売量を増やすだけでなく製品構成の改善も期待できる。増設設備が計画どおり稼働し、顧客への販売が伴うことが、このシナリオの条件になる。
古河電工の下降シナリオ
下向きのシナリオは、積極的な設備投資の後に顧客の発注時期がずれ、固定費の増加に見合う販売量を確保できない展開だ。会社は通期設備投資を1,500億円と、前期の567億円から大幅に増やす計画を維持する。成長余地がある反面、稼働率や立ち上げ時期が収益に与える影響も大きくなる。
データセンター関連の強さを全社へ一律に当てはめることもできない。第1四半期のメタルソリューションは売上が55.0%増えた一方、営業利益はほぼ横ばいだった。銅価格や為替で売上が増えても、加工事業の利益が同じ割合で増えるわけではない。特別利益が大きい期ほど、本業の利益率が維持できているかを見たい。
02 / TIMELINE
古河電工の材料・ニュース・適時開示
材料・自社
光・情報コンポーネントの伸びで通期営業利益予想を増額
通期営業利益予想を950億円から1,230億円へ引き上げた。
- 事業には追い風
- データセンター関連の需要増を売上拡大へつなげた。
- 短期と業績の見方
- 下期の販売増と増産設備の立ち上がりが計画達成の条件になる。
- 実際に確認できたこと
- 第1四半期は光ソリューションの黒字転換と情報コンポーネントの増益を計上。通期利益は予想であり、確定した成果ではない。
確認日 2026-10-16
材料・自社
UACJ株式の売却を実行、特別利益は約217億円
前日発表した保有株式の売却を実行した。
- 影響は両面
- 成長資金の確保と政策保有株式の削減につながるが、製品販売による利益ではない。
- 短期と業績の見方
- 中間純利益予想への反映と、本業の営業利益は分けて読む必要がある。
- 実際に確認できたこと
- 売却益は中間期の修正予想に織り込み済みで、通期予想は変更していない。
確認日 2026-10-16
カレンダーの現在地
ここから先は、本日以降の予定です。
本文の情報確認日 2026-10-16
予定の確認日 2026-10-16
03 / MARKET POSITION
供給の焦点はケーブルの量だけでなく接続と放熱
8月の説明資料では、データセンター関連製品の需給がタイトだとする。光ソリューションでは、多数の光ファイバーを束ねるローラブルリボンケーブルや、小型・高密度の接続に使うMTフェルール、VSFFコネクターなどの開発・増産・拡販を重視している。
情報コンポーネントでは、水冷モジュール、光半導体関連製品の増産、高周波基板用銅箔への製品構成の転換を進める。供給力を増やす対象は一つではない。顧客が必要とする仕様に合った製品を、必要な時期に量産できるかが、設備投資額そのものより重要になる。
04 / INDUSTRY
データセンターの高密度化が、通信と熱の課題を増やす
AI向けの計算設備を増やすには、演算用の半導体を並べるだけでは足りない。機器同士を高速に接続し、限られた空間に配線を収め、大きくなる発熱を処理する必要がある。古河電工は、光通信と放熱の両方に製品を持つため、データセンター投資を複数の場所で受ける事業構成になっている。
光ケーブルは通信の経路を作る。接続部品は、その経路を機器や他のケーブルへつなぐ。多くの接続を小さい場所へ収めるほど、ケーブルの密度やコネクターの小型化が重要になる。一方、冷却製品はデータの伝送量ではなく、機器の発熱と設備設計に応じた需要になる。同じデータセンター向けでも、採用の条件と納入時期は異なる。
会社が高付加価値品の増産と製品構成の転換を掲げるのは、量だけでなく、こうした要求の変化に対応するためだ。通信と熱の課題が難しくなるほど、対応できる製品の販売機会は広がる。ただし、新しい技術が紹介されたことと、大量の商用採用が決まったことは同じではない。新製品の期待は、事業別の売上と利益に現れる段階を見て判断したい。
もう一つの注意点は、会社全体がデータセンター専業ではないことだ。自動車向け、電力インフラ、金属加工にもそれぞれの需要がある。ある分野の好況が、別の分野のコスト増や数量減を隠す場合もある。業界の将来性を考える際は、データセンター投資の拡大と、既存事業が利益を維持できるかを分けて見る必要がある。
05 / FINANCIALS
本業の増益と、9月の純利益予想修正を分ける
2027年3月期第1四半期は2026年4〜6月の連結実績。通期予想は8月6日公表値で、9月の開示でも変更されていない。金額は億円、実績は四捨五入。純利益は親会社株主に帰属する利益を示す。
| 項目 | 第1四半期実績 | 通期会社予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,652 | 15,300 |
| 営業利益 | 255 | 1,230 |
| 経常利益 | 310 | 1,430 |
| 純利益 | 222 | 1,050 |
第1四半期は売上高が前年同期比24.3%増、営業利益が205.4%増。経常利益には、営業段階の利益に加え、持分法投資利益の増加も寄与した。営業利益と経常利益の差まで含め、何が改善したかを区別したい。
9月24日には、中間純利益予想を425億円から580億円へ引き上げた。UACJ株式の売却を第3四半期以降から第2四半期へ前倒ししたためで、中間売上高7,200億円、営業利益495億円、経常利益605億円は据え置き。翌25日には売却実行を公表し、売却金額は約283億円、売却益は約217億円となった。約220億円という前日の見込み額ではなく、実行後の額を押さえたい。
6月末の現金及び預金は約607億円で、前期末の約692億円から減少した。借入金・社債・コマーシャルペーパーの残高は約3,528億円と、前期末比362億円増加。受取手形・売掛金・契約資産や棚卸資産も増え、販売拡大に伴って資金が必要になっている。自己資本比率は38.6%で、前期末から0.5ポイント低下した。
9月の株式売却は成長資金の確保を目的に含むが、6月末の残高にはまだ反映されていない。通期1,500億円の設備投資計画は、同時期の現預金を上回る規模だ。利益計画だけでなく、資産売却、借入、本業からの資金回収を組み合わせて増産を進められるかが財務上の確認点になる。
06 / BUSINESS
五つの事業を、売上規模と利益貢献の違いから理解する
古河電工は、光ソリューション、情報コンポーネント、エネルギーインフラ、自動車電装システム、メタルソリューションを持つ。2027年3月期第1四半期から区分方法を変更しており、会社は前年同期も新しい区分へ組み替えて比較している。以前の部門名や数値を、そのまま今の区分につなげないことが大切だ。
光ソリューションにはLighteraを中心とする光ファイバー・ケーブルなどが含まれ、情報コンポーネントには放熱・冷却、光半導体、高周波基板用銅箔などが含まれる。データセンター関連が二つの部門にまたがるため、片方だけで成長を判断すると、もう片方の改善を見落としやすい。
対照的に、メタルソリューションは第1四半期売上高が1,217億円と大きいが、営業利益は8億円だった。光ソリューションは売上高600億円に対し営業利益92億円。売上の大きさだけでは、全社利益への貢献は分からない。自動車電装システムも営業利益64億円、エネルギーインフラも30億円を稼いでいる。成長部門の増益と、これらの既存事業の収益を合わせて把握したい。
主な出典
- 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026-08-06公表)
- 2027年3月期 第1四半期決算プレゼンテーション資料(2026-08-06公表)
- 有価証券売却見込み・中間連結業績予想修正(2026-09-24公表)
- 投資有価証券売却益(特別利益)の計上(2026-09-25公表)
