銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

住友電気工業(5802)株価分析 非鉄金属

売上5兆1,102億円は電線御三家で最大——AIで沸く光配線も、電力ケーブルも、自動車のワイヤハーネスも、全部持っている会社。株価は年初1,581円から2.3倍の3,712円(6/3)まで買われ、いまは▼33%の2,469円。古河(6.2倍→▼46%)ほど急騰も急落もしていない。
事業の広さは、振れ幅を抑える安定装置なのか。それとも評価を薄める要因なのか——御三家で最も低い予想PERの意味まで、この1ページで整理する。

住友電気工業の今と見どころ📊 株価データ:2026-07-24終値
✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • ワイヤハーネス(自動車の配線)で世界大手、電力ケーブル・光ファイバ・電子材料・超硬工具まで手がける電線御三家の最大手。前期は売上5兆1,102億円・営業利益4,182億円(+30.4%)と過去最高。AIデータセンター向けの情報通信部門は増収+46.3%・営業利益ほぼ4倍と急伸中だが、利益の43%は自動車部門という構造。ただし今期の会社計画では情報通信の営業利益が774億→1,300億円(+68%)へ拡大し、セグメント利益の約3割へ昇格する——利益構成が入れ替わる年。
  • 株価は年初1,581円→6/3高値3,712円(2.3倍)→いま2,469円(▼33%)。古河(6.2倍→▼46%)・フジクラ(2.7倍→▼42%)より上げも下げも小さい——事業の広さが振れ幅を抑えた可能性がある(因果は3社1局面の比較では確定できない)。一方で予想PER 24.1倍は御三家で最も低い=広さが評価を薄めている側面も同時にある。
  • 焦点は7/31の1Q決算=御三家の先頭打者。昨年は初回から上方修正を出した会社。株価の物差しは25日線(2,691円)・押し安値2,151.5円(7/17)・戻り高値2,624円(7/10・取引時間中)。
いまの状態
業績売上5兆1,102億(+9.2%)・営業益4,182億(+30.4%・過去最高)・純益3,695億(+90.7%・住友電設売却の特益込み)。来期は営業益4,250億(+1.6%)・純益は特益剥落で▼13%予想 株価の流れ2/3+12.5%(セクター高)→5/12決算→6/3高値3,712円→7/17安値2,151.5円(▼42%)→2,400〜2,500円台の攻防 需給信用買い残1,145万株(分割換算)は5月中旬の約900万株から下落局面で増加。6/29権利落ち(7/1効力発生)の1:4分割で商いは急増 割安度予想PER 24.1倍——フジクラ33倍・古河29倍より低い御三家最低。本稿ではこの評価差を便宜上「広さの割引」と呼ぶ(要因は事業分散だけとは限らない)
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)

📌 今週の要点:このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に2,151.5円まで売られたが、翌週は3日続伸で2,500円台を回復し、2,469円で週を終えた。7/31に1Q決算=御三家の先頭打者。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。

① 新しく分かったこと

➡️ 市場の目線が「決算での答え合わせ」に移り始めた
7/22に「電線株の復調を探る投資家、AI相場は半導体一極から多極化へ——決算転機」(Bloomberg)と報じられ、同日+4.9%。御三家の中で最初に決算を出すのがこの会社で、光・電力の需要コメントはフジクラ・古河の先行指標にもなる。
→ 解釈:昨年の1Q(2025/7/31)は開示と同時に通期予想を上方修正した。今年は当初計画自体がかなり強い(情報通信 営業利益1,300億円)ため、修正の有無より「計画の前提が強まったか」を見る——それでもテーマ全体の温度を最初に測る体温計であることは変わらない。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし(開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。

③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)

(a) 7/31の1Q決算(前年は7/31・15:00引け後開示=反応は翌営業日)で、情報通信部門が年間計画(売上5,000億・営業利益1,300億円)へ向かう速度と利益率、全社営業利益4,250億円予想への進捗・修正の有無
(b) 押し安値2,151.5円(7/17)を終値で維持できるか
(c) 2,600円台(7/10の取引時間中高値2,624円・終値は2,582円)を出来高を伴って回復できるか

④ 📅 次に見るもの——7/31 自社1Q→8/6 古河1Q→8/7ごろ フジクラ1Qと御三家の決算が続く。ほか7/30 FOMC、7/30〜31 日銀(結果公表・総裁会見は7/31)。

📅 これからの予定 — 住友電気工業(5802)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木)〜31(金)★日銀 金融政策決定会合市場全体
結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
7/31(金)住友電気工業(5802) 1Q決算発表(会社IRカレンダー掲載・15:00開示予定)自社・予定
15:00開示=本格反応は翌営業日から。御三家の先頭打者
8/6(木)古河電工(5801) 1Q決算(会社発表の予定日・14:00開示)同業・予定
御三家2番手=自社決算の答え合わせと相互比較の材料
8/7(金)ごろフジクラ(5803) 1Q決算(予測日)同業・予測
利益率最高の比較対象。3社の決算が出そろうと電線テーマの温度が確定する
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
速報直近の動き — 住友電気工業(5802)に関連するかもしれないニュース
読み込み中…
株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-06 → 07-24

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(9件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
2,469円
2026-07-24(前日比▼1.7%・TOPIX騰落率との差▼0.7pt)
上場来高値からの下落
▼33.5%
高値3,712円(2026/06/03・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23+2.5%7/24▼1.7%
直近2営業日の前日比
信用倍率
12倍
買い残1,145万株/売り残98万株(7/17公表・週次)

3つの視点で見る(2026-07-24時点)

ファンダメンタルズ

営業利益4,182億円(+30.4%)は過去最高。AIデータセンター向けの情報通信部門は増収+46.3%・営業利益ほぼ4倍と急伸中。前期実績では情報通信は売上の6.4%・利益の18.5%、利益の43%は自動車部門。ただし今期会社計画では情報通信の営業利益が1,300億円(+68%)=セグメント利益の約31%へ拡大する——看板と実態の距離は、計画どおりなら今期急速に縮まる。来期の純益▼13%予想は住友電設売却の特益剥落が主因(売却益を除く実力ベースでは会社は実質増益を見込む)で、営業利益は+1.6%と横ばい予想。

需給

信用買い残1,145万株(分割換算)は5月中旬の約900万株から下落局面で増加=逆張り・難平とみられる買いの積み上がり。6/29権利落ちの1:4分割で出来高は2,000万株台へ増え、個人が入りやすくなった直後の1週間で▼14%——買いやすさは下げの速さでもあるのは古河と同じ構図。

テクニカル

6/3高値3,712円→7/17安値2,151.5円(▼42%)の調整を経て、2,400〜2,500円台の攻防。いまの2,469円は25日線(2,691円)の-8.2%下。確認は ①押し安値2,151.5円(7/17)を守るか ②戻り高値2,624円(7/10・取引時間中)超え ③7/31の1Q決算 で。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、御三家で「最も上げず、最も下げなかった」のか

2025年末を起点にすると、古河6.2倍・フジクラ2.7倍に対して住友電工は2.3倍。調整も▼33%と最も浅い——この「真ん中にいない、いちばん端の穏やかさ」を層ごとに分解します。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台御三家最大の総合力

自動車・電力・情報通信・電子・素材——5部門の「電気を通す」総合企業 構造的な地位

  • 住友グループの中核企業。ワイヤハーネス(自動車の配線)で世界大手、電力ケーブル・光ファイバ・FPC(フレキシブル基板)・超硬工具まで、売上5.1兆円は御三家最大(古河の約3.9倍)
  • コロナ期の2020年には240円(調整後)まで売られ、2025年末でも1,581円と、長く「バリュー株」の値段に置かれていた
  • 5部門のどれかが崩れても他が支える構造が、この会社の値動きの「重さ」と「粘り」の両方を作っている
きっかけAIと電力の追い風

情報通信部門が増収+46.3%・営業利益ほぼ4倍——ただし全社利益の18.5% 部門急伸

  • 生成AIのデータセンター建設ラッシュで光配線製品・光ケーブル・光デバイスの需要が急増。情報通信部門は売上3,266億円(+46.3%)・営業利益774億円(前期199億円のほぼ4倍)
  • 環境エネルギー部門(電力ケーブル・受変電設備)も送電網・再エネ投資で売上1兆1,788億円(+9.0%)と堅調
  • ただし前期実績では情報通信は売上の6.4%・営業利益の18.5%——テーマの主戦場が、会社全体では「一部門」である点が御三家他社との最大の違い(今期会社計画では売上の9.4%・セグメント利益の約31%へ拡大する計画。詳細は決算の章で)
二の矢過去最高益と中計

2/3の+39%上方修正→5/12の過去最高益・分割・中計2028の三点セット 評価の切り上げ

  • 2026/2/3(15:00・引け後)、通期EPS予想を+39%上方修正。面白いのは当日すでにセクター全体の上げで+12.5%動いており、開示翌日の反応は+2.3%と静かだったこと——この会社は自社の修正より「御三家全体の温度」で動く
  • 5/12の本決算は営業利益4,182億円(+30.4%)と過去最高。1:4の株式分割と、中期経営計画2028(2028年度に売上6兆円・営業利益6,000億円・税引前ROIC15%)を同時発表
  • 税引前ROICは9.3%→14.7%へ改善。「バリュー株」から「成長も語れる会社」への評価の切り上げが進んだ
増幅テーマの波と剥落

頂点は御三家で最後——「出遅れ物色」の終着点だった ▼42%の調整

  • 高値の日付を並べるとフジクラ5/14→古河5/27→住友電工6/3。テーマ相場の物色が本命→2番手→出遅れへ回り、最後にこの株が3,712円(年初比2.3倍)をつけた——結果的には、物色が出遅れまで広がった後に3社そろって調整する、典型的なテーマ循環として読める形になった
  • 6/8▼6.7%・6/10▼11.7%とセクターごと崩れ、6/19+10.5%→6/23▼6.7%の乱高下も古河と同じ波形=個別よりセクター連動
  • 6/29権利落ちの1:4分割で商いが急増した直後、7/2〜7/8の1週間で▼14%。7/17に2,151.5円(高値から▼42%)まで下げた
たしかめ固有か地合いか

広さは「安定装置」でもあり「評価を薄める要因」でもある——両方が実測できる 3社比較

  • 安定装置の見方:上げ2.3倍・最大下落▼42%(高値→現在は▼33.5%)と、御三家で最も振れ幅が小さかった。AIテーマの外にある自動車部門(利益の43%)という別の重心が値動きを抑えた可能性がある——ただし年初の割安度や時価総額の大きさも影響し得るため、この因果は3社1局面の比較だけでは確定できない
  • 評価を薄める見方:予想PER 24.1倍はフジクラ(33倍)・古河(29倍)より低い御三家最低。本稿ではこの評価差を便宜上「広さの割引」と呼ぶ——ただしPER差には、AIの伸びが全社に占める割合の小ささだけでなく、自動車部品事業の景気循環性や利益率の違いも映っている可能性がある
  • 7/17(TOPIX▼2.7%)に▼6.2%と、地合いの急落には他社同様に反応する。少なくともこの日については、事業の広さが市場全体の下げを防いだとは言えない
いまの位置
2.3倍の上げは①AI×光配線と電力の部門急伸 ②過去最高益と中計2028 ③御三家への出遅れ物色の重なりでした。いまの2,469円は高値から▼33%、予想PER 24.1倍は御三家最低。広さの割引を剥がすのは、情報通信部門の利益拡大(今期計画は774億→1,300億円)で事業ミックスが実際に変わること——次の答えは7/31の1Q決算。御三家の先頭打者として、光・電力の需要の温度を最初に語る立場です
順番に注意 — この銘柄は「決算は引け後・主役はセクター」

① 開示は15:00、反応は翌営業日から
決算は15:00(引け後)が定例です。古河(14:00場中)と違い、当日の株価は決算を織り込んでいません。決算の夜にPTS・ADRを見て、翌朝の寄りで答えが出る——2/3の上方修正も、翌日の反応は+2.3%と静かでした。

② 「減益予想」の中身を分けて読む
来期の純利益▼13%予想は、住友電設の株式売却益(特別利益)の剥落が主因です。売却益を除く実力ベースの前期純利益は2,993億円(会社開示)なので、予想3,200億円は実質増益。本業の営業利益は4,250億円(+1.6%)と横ばい予想——ただし中身は情報通信+526億・環境エネ▼466億(住友電設除外)の入れ替えです。見出しの「減益」だけで判断すると、本業の温度を読み違えます。

③ 御三家の先頭打者として読む
1Q決算は御三家で最初(7/31)に出ます。この会社の光・電力の需要コメントは、1週間後のフジクラ・古河の決算の先行指標。3枚のページを並べて、テーマ全体の温度を測るのが電線株の読み方です(フジクラ・古河のページもあります)。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。住友電気工業は自動車(ワイヤハーネス・防振ゴム)・環境エネルギー(電力ケーブル・受変電)・情報通信(光配線・光デバイス)・エレクトロニクス(FPC)・産業素材(超硬工具・ダイヤ製品)の5部門。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信の実数です。

売上高
5兆1,102億
前期比+9.2%
2026年3月期実績。御三家最大(古河の約3.9倍)
営業利益
4,182億
+30.4%・率8.2%
過去最高。来期は4,250億(+1.6%)予想
純利益
3,695億
+90.7%
住友電設売却の特益込み。税引前ROIC 14.7%
EPS(1株利益)
118.4円
→ 予想 102.57円
分割調整後。特益剥落で▼13%・配当39円予想

利益はどこから来ているか——5部門の内訳

  • 自動車売上2兆9,372億(+7.4%)・営業益1,797億 ── ワイヤハーネス・防振ゴム。利益の43%を占める最大部門。売上の57%
  • 環境エネ売上1兆1,788億(+9.0%)・営業益906億 ── 電力ケーブル・モーター用平角巻線・受変電設備(日新電機)・電気工事。送電網・再エネ投資の受け皿
  • 情報通信売上3,266億(+46.3%)・営業益774億(ほぼ4倍) ── データセンター向け光配線・光ケーブル・光デバイス。伸びは最速、ただし売上の6.4%
  • その他2部門エレクトロニクス395億・産業素材314億 ── FPC・超硬工具など。合わせて利益の17%

読み方 ── 株価のテーマ(AI×光)と利益の主役(自動車)がずれている。ただし今期の会社計画では、この構成が大きく入れ替わる。決算説明資料のセグメント予想は、情報通信が売上5,000億円・営業利益1,300億円(前期774億円から+68%)=セグメント利益の約31%へ昇格。一方、環境エネルギーは住友電設の連結除外(前期利益906億円のうち256億円が住友電設分)で440億円へ縮み、自動車は1,840億円とほぼ横ばい。全社営業利益「+1.6%の横ばい」の中身は、利益構成の入れ替えだ。中計2028は売上6兆円・営業利益6,000億円・税引前ROIC15%——うち情報通信の目標は2,400億円で、6,000億円への増益の中心も情報通信に置かれている。

知っておきたい3つのこと

  • 1「減益予想」は特益剥落のみかけ
    純利益3,695億円には住友電設株の売却益が含まれる。来期予想3,200億円(▼13%)はこの一過性の剥落が主因——売却益を除く実力ベースの前期純利益は2,993億円(会社開示)で、3,200億円は実質増益の計画。営業利益も+1.6%と横ばい予想。なおフリーCF 2,503億円には住友電設売却の収入も含まれるため、恒常的な実力はやや割り引いて見る(営業CF 4,252億円が実力に近い)。
  • 2利益率8.2%は御三家の真ん中
    フジクラ16.0%>住友電工8.2%>古河4.9%。利益率と株価の振れ幅がきれいに並ばないのは、住友電工だけ「自動車という別の重心」を持つから。PERも33倍>29倍>24倍と、テーマ純度の順になっている。
  • 3注意点
    自動車部門の外部環境——米関税・北米生産の動向が利益の43%に直結 ②中東情勢・原材料高——会社が「予断を許さない」と明記 ③住友理工の防振ゴム事業の吸収分割(2026/6発表)など事業の組み替えが続く今期の設備投資計画3,500億円(前期実績2,432億円から+44%・うち情報通信720億円)——成長投資が利益に転化する前は償却負担が先行する。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

データセンター+送電網+自動車の3つの需要 情報通信の増収増益(今期計画:売上5,000億・営業益1,300億=四半期で速度確認) 営業益4,250億(+1.6%)の達成と上振れ 中計2028(営業益6,000億)への道筋 PER 24.1倍という「広さの割引」の解消

この鎖の面白さは最後の輪だけ市場の気分次第なこと。業績が計画どおりでも「広さの割引」が残ればPERは低いまま——逆に情報通信の利益比率が高まれば、割引が剥がれて業績以上に株価が動く余地がある。確認の場は四半期決算(15:00開示)です。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1自動車部門の安定

利益の43%を占めるワイヤハーネスの需要が崩れない

  • この部門の1,797億円が全社の錘であり土台。世界の自動車生産と北米市場の動向がそのまま効く
  • 崩れるサイン:米関税の負担増・転嫁の失敗/自動車生産の減速/電動化シフトでの受注構成の悪化
前提 2AI・電力の投資

データセンターと送電網への投資が続く

  • 情報通信(+46.3%増収)と環境エネルギーの成長前提。中計2028の「デジタル・AI」「エネルギー」注力もこの上に立つ
  • 崩れるサイン:米ハイパースケーラーの投資減速/光製品の価格下落/送電網投資の遅延。7/31の自社決算コメントが毎四半期の定点
前提 3中計2028の実行

営業利益4,182億→6,000億円(2028年度)への道筋が見え続ける

  • ROIC重視(税引前15%目標)と資産効率の改善(政策保有株の圧縮など)が評価切り上げの土台。進捗は四半期の営業利益率とROICで測れる
  • 崩れるサイン:中計初年度からの未達/投資負担が先行して利益率が下がる/事業組み替えの停滞
遠い脅威広さの評価

「広さの割引」(御三家最低PER)が続くのか、剥がれるのか

  • 市場が5部門の総合力を「安定」と読めば割引は縮み、「散漫」と読めば残る。情報通信の利益比率(いま18.5%)の推移が、この評価を決める最も分かりやすい数字
  • 逆風時はこの割引が防具になる(調整▼33%は御三家最浅)——広さは強気相場で重く、弱気相場で軽い。この非対称性ごと理解して見るべき銘柄
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いまの株価は割高か、割安か(「広さの割引」の値段)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2026年7月1日効力発生(6/29権利落ち)の1:4分割は調整済み)。

PERの推移(直近2年・日次) 2024-05 → 2026-07-24

計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。開示は一貫して15:00(引け後)のため、翌営業日から分母に反映。

いま
PER 24.1倍
2026-07-24(終値ベース・会社予想EPS 102.57円)
直近2年の中央値
14.8倍
およそ8〜34倍のレンジで推移
参考:御三家
33倍/29倍
フジクラ33倍前後・古河29倍前後——住友電工が最低

読み方 ── この2年のPERは13.3倍→高値時36倍→いま24.1倍。この会社もEPS予想の上方修正を続けてきた(分割調整後44.88円→102.57円と2年で2.3倍)ため、株価が2.3倍になってもPERの上昇は緩やかでした。いまの24.1倍は御三家で最も低い水準——「AIの会社」としては安く、「自動車部品の会社」としては高め、という評価差(本稿でいう広さの割引。ただし要因は分散だけでなく、利益純度・景気循環性・利益率の違いも含む)が数字になっています。この物差しが動くとすれば、きっかけは情報通信部門の利益比率の変化——今期計画どおりなら約31%まで上がります。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの2,469円(予想PER 24.1倍)は、「自動車が安定し、AI・電力の伸びが計画どおり続く」という前提を、御三家で最も控えめな物差しで織り込んだ値段です。期待の乗り方が小さい分、失望にも強い——それが▼33%(御三家最浅)という調整の実測に出ています。

崩れる合図──7/31の1Q決算で情報通信の増収が鈍る/自動車部門の利益が関税で崩れる/中計初年度から計画未達の気配。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

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テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-07-24

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円・分割調整後)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(2,691円)7月の急落で線の下へ。いまの2,469円は線の-8.2%下——戻りの最初の壁
━ 赤い点線=押し安値(2,151.5円・7/17)高値から▼42%の位置。ここを終値で割ると調整の第2段階入り(強い警戒)
上の節① 2,624円(7/10・取引時間中高値)分割直後の急落を一度止めた戻り高値(終値は2,582円)。ここを出来高を伴って超えると底打ちの形が見えてくる
上の節② 2,900円前後 → 3,712円(6/3高値)5〜6月に商いを伴った2,900〜3,500円台は戻り売りの在庫が厚い帯
下の節 2,151.5円の下実測の節は2月の急騰起点(1,900円前後)まで薄い。急落時に支えが少ない区間
200日線は2,139円急騰前の安い価格帯を長く含むため大きく遅行し、現在の業績水準の妥当価格を示すものではない。長期の物差しはフル指標版

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-07-17

左目盛:万株(線・1:4分割前は4倍換算で連続表示)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま1,145万株(7/17公表・分割換算)=出来高の0.5日分。5月中旬の約900万株→7月1,145万株と、下落の過程で増えた=逆張り・難平とみられる買いの積み上がり。戻り局面では「やれやれ売り」の在庫になる
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)98万株・倍率12倍。時価総額約7.8兆円の大型株で、需給の主役は機関・海外勢の資金フロー
棒グラフ=売買代金1日平均約745億円(直近60日)。6/29の権利落ち以降、出来高は2,000万株前後に増加

まとめ ── 7/17の2,151.5円でいったん下げ止まり、2,400〜2,500円台の攻防。御三家の中で最も浅い調整だが、信用買い残の積み上がりは戻りの重さとして効きやすい。7/31の1Q決算(御三家の先頭打者)が次の方向を決める公算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

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総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:過去最高益・前期は利益の43%が自動車、今期は情報通信が営業益1,300億円(+68%)=約31%へ昇格する計画。来期の「純益減益予想」は特益剥落が主因で実質増益計画/需給:分割で商い増・信用買い残は下落局面で増加/テクニカル:▼42%調整から2,400円台で方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 7/31の1Q決算で、情報通信が年間計画(売上5,000億・営業利益1,300億円)へ向かう速度を保ち、投資増(今期計画3,500億円)を吸収しながら利益率を維持している——上方修正の有無より、この計画の前提が強まったかが本筋(昨年同様の初回からの上方修正が出ればなお強い)
  • 戻り高値2,624円(7/10・取引時間中)を終値で超え、出来高も伴う——分割後の下げの形の否定
  • 8月頭の古河・フジクラの決算でも、データセンター需要の強さが3社共通で語られる
  • 情報通信部門の利益比率が高まり、「広さの割引」(御三家最低PER)が縮み始める

⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)

  • 押し安値2,151.5円(7/17)を終値で割り込む——下の実測の節は薄く、下落が加速しやすい
  • 1Q決算で情報通信の増収が鈍る・自動車部門の利益が関税負担で崩れる
  • 御三家のどこかの決算でデータセンター需要の減速が語られる——セクター連動が強く、他社の失望も直撃する(6月の実例)
  • 中計2028の初年度から計画未達の気配・投資負担の先行
  • 信用買い残の増勢が続く(逆張り・難平とみられる在庫の積み増し)

📅 次に見るカレンダー

  • 7/31:自社 第1四半期決算——御三家の先頭打者(会社IRカレンダー掲載・15:00開示→本格反応は翌営業日)
  • 8/6:古河電工 1Q決算(会社発表の予定日)——相互比較の材料
  • 8/7ごろ:フジクラ 1Q決算——3社出そろいで電線テーマの温度が確定
  • 随時:米関税・自動車生産の報道/銅価格・ドル円/米ハイパースケーラーの設備投資報道
  • 10月末〜11月頭:第2四半期決算(前年は10/31)

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 住友電気工業(5802)

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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

出典をすべて見る(タップで開く)

住友電気工業の適時開示(一次情報)

  • 2024/5/10 2024年3月期 決算短信──2025年3月期予想(分割調整後EPS 44.88円)の出典
  • 2024/8/1〜2025/2/4 四半期決算短信──EPS 46.48→48.09→51.29円と修正を重ねた出典
  • 2025/5/13 2025年3月期 決算短信──2026年3月期予想(EPS 60.91円)の出典
  • 2026/2/3 2026年3月期 第3四半期決算短信(15:00開示)──通期予想の+39%上方修正(分割調整後EPS 73.73円→102.58円)の出典
  • 2026/5/12 2026年3月期 決算短信──売上5兆1,102億円・営業利益4,182億円(+30.4%・過去最高)・純利益3,695億円(住友電設売却の特益込み)・部門別実数(自動車2兆9,372億/1,797億・環境エネルギー1兆1,788億/906億・情報通信3,266億/774億・エレクトロニクス4,091億/395億・産業素材3,884億/314億)・税引前ROIC 14.7%・フリーCF 2,503億円・2027年3月期予想(売上5兆3,000億・営業益4,250億・純益3,200億)の出典
  • 2026/5/12 株式分割及び定款一部変更に関するお知らせ──1:4分割(6/29権利落ち・7/1効力発生)の出典/「中期経営計画2028」の策定に関するお知らせ──売上6兆円・営業利益6,000億円・税引前ROIC15%目標の出典
  • 2026/5/22 決算説明会資料(業績説明・補足資料)──セグメント別の今期予想(情報通信 売上5,000億・営業利益1,300億/環境エネルギー440億〈住友電設除外〉/自動車1,840億ほか)・実力ベース純利益2,993億円・設備投資計画3,500億円(うち情報通信720億円)・中計2028のセグメント別目標(情報通信2,400億円ほか)の出典
  • 2026/6/26 住友理工との会社分割(簡易吸収分割)契約締結に関するお知らせ──事業組み替えの出典
  • 住友電気工業 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価・出来高・信用残は2026/7/1効力発生の1:4分割を調整済み)
  • PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
  • フジクラ・古河電工との比較(株価倍率・PER・営業利益率・高値日):当サイトの両社ページと同一基準日・同一方法で算出
  • 「電線株の復調を探る」報道:Bloomberg 2026/7/22

決算数値は適時開示の実数。「ワイヤハーネス世界大手」等の事業上の位置づけは公知の事実に基づく記述です。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。