銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

多摩川ホールディングス(6838)株価分析 電気機器

12月の661円から半年で3.7倍——そこから1ヶ月半で▼44%。防衛・官公庁向けの無線通信機器という本物の実力成長の上に、シンガポール上場株の評価益という「見かけの利益」が乗り、新株予約権で株数が+39%増えた——見かけのPER6.6倍を分解し、二度のストップ高と長い上ヒゲが何だったのかを、この1ページで整理する。

多摩川HDの今と見どころ📊 株価データ:2026-07-27終値
✍ 見立て・本文:2026-07-27執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • 防衛・官公庁向けの無線通信・高周波機器(子会社の多摩川電子)と再生可能エネルギー(太陽光・蓄電所)の2本柱。昨年12月の安値661円から半年で3.7倍の2,446円(6/4終値)まで急騰し、いま1,365円=この高値から▼44%の調整中。
  • 今期の純利益予想18.35億円のうち、約7割はシンガポール上場Addvalue社の株の「評価益」(四半期ごとに時価で洗い替え=下がれば消える)。一方で本業も本物に伸びている——事業利益は前期2.8億→今期予想8.2億円と3倍、中期計画の2028年目標をすでに前倒しで上回る見込み。
  • この間に新株予約権の行使で株数が+39%増えた(658万→918万株)。見かけのPERは6.6倍だが、評価益を除いた事業だけなら約22倍(アルミナ試算)。焦点は9月中旬の3Q=評価益の洗い替えが数字になる日と、押し安値1,300円。
いまの状態
業績事業利益 2.8億円→予想8.2億円(3倍)=中計の2028年目標761百万円を進行期で前倒し超過。純利益予想18.35億円は評価益込みの「見かけ」で、実力と分けて読む必要がある 株価の流れ12/18安値661円→2/19の上方修正で発火→3/17と6/16に2度のストップ高→6/17の2,490円(取引時間中)が天井→1ヶ月半で▼45%の1,365円 需給信用買い残97万株=発行済の11%・1日の出来高の3.5日分と重い。売り残はゼロ(貸借銘柄でない=空売りの買い戻しという下支えがない) 割安度見かけPER 6.6倍 ⇔ 評価益を除く事業ベースなら約22倍(アルミナ試算)。「安く見える数字」の中身の確認が先
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📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)

📌 今週の要点:このページは今回が開設。6月の高値圏(年初来高値は6/3の2,496円・取引時間中)から1ヶ月半で▼45%の調整が続いたが、7/17の押し安値1,300円以降は1,340〜1,400円台の横ばいに移り、下げの速度は止まっている。次の数字の答え合わせは9月中旬の3Q決算=保有するシンガポール株の評価益を7月末の株価で「洗い替え」した結果が出る日。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。

① 新しく分かったこと

➡️ 好材料に反応しなくなった(7/8の蓄電所連系完了に無反応)
計画どおりの完了報告という「良い開示」が出ても翌日+0.3%止まり。急騰局面で買った信用買い残(97万株=発行済の11%)の整理が先、という需給の局面。
→ 解釈:材料の中身より「誰が売り終わるか」で値段が決まる期間。テーマ(防衛・蓄電池)の再点火か、9月の3Qが次の転機候補。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし(開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。

③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)

(a) 押し安値1,300円(7/17)を終値で維持できるか
(b) 9月中旬の3Q決算(前年は9/16・16:00引け後)で、①評価益の洗い替えの向き ②電子・通信用機器の事業利益の進捗 ③蓄電所の売電収益の initial 計上——の3点
(c) 信用買い残(毎週火曜ごろ公表)が90万株を下回ってくるか

④ 📅 次に見るもの——毎週の信用残・Addvalue Technologies(SGX上場)の株価水準・9月中旬 3Q決算

📅 これからの予定 — 多摩川HD(6838)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/31(金)★日銀 金融政策決定会合 結果発表市場全体
結果は昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8/12(水)★米CPI(消費者物価・7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/13(木)
9月中旬多摩川HD(6838) 3Q決算発表(予測日)自社・予測
前年は9/16の16:00引け後開示(=反応は翌営業日)。保有するAddvalue株の評価益を7月末時価で洗い替えた結果が出る。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
速報直近の動き — 多摩川HD(6838)に関連するかもしれないニュース
読み込み中…
株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-07 → 07-27

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(9件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
1,365円
2026-07-27(前日比+0.7%・TOPIX騰落率との差▼0.6pt)
年初来高値からの下落
▼45.3%
高値2,496円(2026/06/03・取引時間中)からの調整
直近2日の値動き
7/24▼3.6%7/27+0.7%
直近2営業日の前日比
信用買い残
97万株
発行済の10.5%・出来高の3.5日分(売り残0・7/17公表)

3つの視点で見る(2026-07-27時点)

ファンダメンタルズ

本業は本物に伸びている。主力の電子・通信用機器(官公庁向けが売上の半分以上)は量産フェーズ入りで、上期のセグメント利益は9.0億円(前年同期比+187%)。事業利益の通期予想8.2億円は、中期計画の2028年目標(7.6億円)を2年前倒しで上回る水準。ただし純利益予想18.35億円の約7割はシンガポール上場Addvalue社株の評価益(四半期ごとに洗い替え)——実力と見かけを分けて読むことが、この銘柄では特に重要。

需給

急騰の代償が2つ残っている。①新株予約権(第13〜17回)の行使で株数が+39%(658万→918万株)——うち第15〜17回だけで約12.7億円を調達し、工場増設と蓄電所投資に回る。②信用買い残97万株=発行済の11%・出来高の3.5日分と重く、売り残ゼロ(非貸借)なので買い戻しの下支えもない。好材料への無反応(7/8)はこの整理途上のサイン。

テクニカル

6月の高値圏(6/3の2,496円・6/17の2,490円=いずれも取引時間中)が二つの天井になり、1ヶ月半で▼45%。いまの1,365円は25日線(1,632円)の16.3%下。確認は①押し安値1,300円(7/17)を終値で守るか ②25日線の回復 ③9月中旬の3Qで。12月安値からの上げ幅の半値押し(約1,550円)はすでに割っている。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、半年で3.7倍になり、なぜ1ヶ月半で▼45%になったのか

一つの好材料で上がったのではありません。希薄化を嫌気した12月の安値を起点に、「時価評価差額」という新しい利益の柱(2月)、四半期決算のたびのストップ高(3月・6月)が順に重なり、6/17の長い上ヒゲで反転しました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台二度の祭りの記憶

防衛・官公庁向けの無線機器メーカー——過去に二度、テーマで急騰した株 2013年上場

  • 中核子会社の多摩川電子(1968年創業・神奈川県綾瀬市)は、官公庁向けの無線通信・電波応用機器が主力。売上の半分以上が官公庁向けで、防衛関連の国家予算に業績が連動する体質
  • 株価には二度の祭りの記憶がある——2014年(上場翌年)の調整後4,570円(いまも上場来高値)と、2019〜20年の5G祭りの3,960円。どちらも祭りのあとは長い調整に入った
  • 2025年秋までは700〜800円台。この銘柄は「テーマが点火したときの倍率」と「祭りのあとの静けさ」の振れ幅が大きい——今回の急騰と調整も、この型の3度目として読むのが出発点
前夜12月の三点セット

中計+新株予約権12.7億円——市場の第一反応は「売り」だった 12/4→12/18で▼20%

  • 12/4(引け後)に①中期経営計画(2030年に売上111億円・経常13億円=約2倍)②第15〜17回新株予約権(行使価額修正選択権付・約12.7億円調達・Cantor Fitzgerald Europe割当)③業績予想の修正を同時発表
  • 市場の第一反応は希薄化への警戒。株価は12/4の824円から12/18の661円まで▼20%——ここが今回の物語の最安値になった。市場は最初、この話を信じなかった
  • 12/15の本決算でIFRS(国際会計基準)の任意適用を表明。このとき出た来期予想は売上62.7億・純利益2.38億円(EPS 36円)——のちに半年で7.7倍に化ける数字だが、この時点で買った人はほぼいない
きっかけ2/19の発火

「時価評価差額の計上を含む」上方修正——純利益予想が3倍になった日 当日+9.5%・出来高10倍

  • 2/19の14:40(取引時間中)、純利益予想を2.38億→7.3億円(+207%)に修正。中身は2つ——①電子・通信用機器の量産移行で事業利益3.69億→5.6億円(実力)②海外子会社が保有するシンガポール上場Addvalue社株の評価益4.95億円を金融収益に計上(見かけ・IFRS移行の効果)
  • 株価は当日+9.5%の953円・出来高95万株(平時の10倍)。「時価評価差額」という耳慣れない言葉が、この銘柄の新しいエンジンとして市場に認知された日
  • このときすでに会社は「四半期ごとに評価損益で洗い替え、変動があれば都度修正する」と明記していた——上にも下にも振れる利益だと、最初から書いてあった
二の矢3月のストップ高

1Qで通期予想をほぼ達成——翌日ストップ高で値付かず 3/17 S高1,369円

  • 3/16(引け後)の1Q決算で純利益7.41億円——2月に上げたばかりの通期予想7.3億円を、1四半期でほぼ達成。翌3/17は買いが殺到しストップ高の1,369円で値付かず(比例配分)
  • 並行して、防衛費増額・系統用蓄電池という2つの国策テーマが点火。3/5と2/13に太陽光発電所の受注、3/30に第二工場用地の取得と、開示も続いた
  • この間、第15〜16回新株予約権の行使(=新株の供給)が毎週のように開示されたが、買いの勢いが供給を上回り続けた——4月中旬の1,268円の踊り場を挟んで、5月には2,000円台へ
三の矢と天井6月のクライマックス

2Qで純利益18.3億円——2度目のストップ高の翌日、2,490円まで戻して長い上ヒゲ 出来高170万株

  • 6/15(引け後)の2Q決算で中間純利益18.32億円・通期予想を7.3億→18.35億円へ再上方修正・増配(5円→10円)。Addvalue株の評価額は4月末で22.54億円(1月末比+11.78億円)に膨らみ、評価益15.9億円が中間利益の主成分になった
  • 翌6/16は2度目のストップ高2,280円で値付かず——ただし約定はわずか2.7万株。本当の需給の答え合わせは6/17に持ち越され、寄り後の2,490円——6/3の年初来高値2,496円まであと6円——から引けの2,153円まで長い上ヒゲ・出来高170万株(平時の5倍超)。ストップ高の翌日でも決算前の高値を超えられなかった——高値圏で買い手と売り手が総入れ替えになった
  • ここが天井だった。5/18までに第15〜17回新株予約権の行使が完了(並行した第13・14回も合わせ、株数は658万→918万株・+39%)しており、「良い数字が出たら売る」側の準備は整っていた
たしかめ固有か地合いか

上げも下げも「この会社の開示」で動いた——ただし7月の下げだけは需給 材料の株

  • 大きく動いた日はほぼすべて開示日——2/19(+9.5%)・3/17(S高)・6/16(S高)。地合いでなく固有材料で動く銘柄であることは、日付の対応で確認できる
  • 逆に7月は、7/8の蓄電所連系完了という好開示に翌日+0.3%と無反応。材料が効かないのは、急騰局面で積み上がった信用買い残(ピーク4月・136万株)の整理が先だから——下げの主因は材料でなく需給
  • 同期間の電気機器セクター指数は1ヶ月▼7.6%。多摩川の▼30%(6/26比)はセクター調整では説明できない固有の需給整理として読むのが正確
いまの位置
この3.7倍は実力の成長(事業利益3倍)と、見かけの利益(評価益)と、テーマ(防衛・蓄電池)の三段重ねを、株数+39%の供給をこなしながら織り込んだ結果です。いまの1,365円は高値から▼45%・25日線の下——見かけの部分が剥がれ、実力の値段を探している局面。次の答えは9月中旬の3Q=評価益の洗い替えが「下」にも動きうる決算です
順番に注意 — この銘柄は「利益の中身を分けて読む」

① 純利益とEPSは「評価益込み」の数字
通期予想の純利益18.35億円・EPS 205.89円には、Addvalue株の評価益(4月末時点・税引後)が入っています。この評価益は四半期ごとに時価で洗い替え——株価が下がれば利益も減る、と会社自身が開示に明記しています。

② 開示は引け後16時台、反応は翌営業日
決算・修正は16:00前後(引け後)が定例です(2/19の14:40だけ例外的にザラバ中)。3/17・6/16のストップ高はいずれも前日引け後の開示への反応でした。

③ EPSの分母は増え続けた
新株予約権の行使で発行済株式は658万→918万株(+39%)。通期予想EPS 205.89円の分母は「4月末時点」の株数で、5月にさらに27万株増えています。1株あたりの数字は、分子(利益)だけでなく分母(株数)も動く——この銘柄では両方を見る必要があります。

2

会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。多摩川ホールディングスは電子・通信用機器(子会社・多摩川電子=官公庁・防衛関連の無線通信/高周波機器、売上の約9割)再生可能エネルギー(太陽光・小形風力・系統用蓄電所)の2セグメント。東証スタンダード上場・10月期決算。2026年10月期からIFRS(国際会計基準)を任意適用。数字の出どころは決算短信・適時開示・半期報告書の実数です。

売上収益
55.9億
→ 予想 69.5億
2025年10月期実績 → 2026年10月期会社予想(+24%)
事業利益(実力)
2.8億
→ 予想 8.2億
前期(営業利益)→今期予想で約3倍。中計2028年目標7.6億円を前倒し超過へ
純利益(評価益込み)
2.7億
→ 予想 18.35億
うち約7割はAddvalue株評価益(アルミナ試算)=洗い替えで変動する
配当
5円
→ 予想 10円
6/15に期末配当予想を5円→10円へ増額修正

実力の柱——電子・通信用機器(上期実績)

  • 売上34.5億円(前年同期比+53%)セグメント利益9.0億円(+187%)——受注高38.8億円と、売上を上回る受注が続く
  • 背景売上の半分以上を占める官公庁向け製品の国家予算が増額(会社が短信に明記)。主力製品が量産フェーズに移行し、利益率が上伸
  • 生産2025年10月にベトナム新工場が稼働(モバイル向けの低コスト量産)。国内は本社近隣に第二工場用地を取得済み(2029年10月期稼働を計画)——調達資金12.7億円のうち3.2億円が工場増設に充当予定
  • 再エネ上期は売上2.9億円・利益0.8億円と小規模だが、7月に福岡・みやま市の系統用蓄電所が系統連系を完了。会社はIRR(内部収益率)10%以上を見込むと説明——収益化はこれから

中計との距離 ── 2025年12月の中期経営計画は「2030年に売上111億円・経常13億円」。今期の事業利益予想8.2億円は計画上の2028年目標(7.61億円)を2年前倒しで上回る水準で、実力の進捗は計画より速い——ここは評価益とは無関係の、事業側の数字。

見かけの柱——Addvalue株の評価益とは何か

  • 正体海外子会社が保有するシンガポール上場 Addvalue Technologies社の株式125,802,352株。衛星通信端末の会社で、同社株自体がこの1年で急騰した(52週レンジ0.013〜0.205SGD)
  • 会計IFRS移行に伴い「純損益を通じて公正価値で測定する金融資産」に分類——四半期ごとに時価評価し、差額がそのまま金融収益(利益)になる。評価額は1月末10.8億円相当→4月末22.5億円(+11.8億円)。上期の金融収益16.0億円の実体はこの評価益
  • 感応度Addvalue株が0.01SGD動くと約1.4億円の評価損益(4月末レート換算・アルミナ試算)。同社株は7月末時点で0.16SGD前後=4月末とほぼ同水準で推移しており、現時点の洗い替えは中立圏
  • 前例この会社には「海外企業に出資→上場→売却益」の実績がある(台湾TMY社:約0.36億円出資→2025年上場→85%売却で1.24億円の特別利益)。Addvalueも将来売却すれば実現益になるが、売るまでは毎四半期、時価に振らされる

利益18.35億円の中身を1本の式にすると(アルミナ試算)

事業利益 8.2億円(実力) 税引後 約5.7億円 Addvalue評価益 税引後 約12.6億円(見かけ) 純利益予想 18.35億円

実効税率を仮に30%として単純換算したものです(アルミナ試算・会社開示の内訳ではありません)。純利益の約7割が「他社の株価」で決まる——だから見かけのEPS 205.89円・PER 6.6倍をそのまま「割安」と読むことはできません。事業だけならEPSは約63円・PERは約22倍(同試算)です。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1官公庁需要の持続

防衛・官公庁向けの国家予算の増額基調が続く

  • 売上の半分以上が官公庁向け。量産フェーズ入りした主力製品と受注残が実力成長のエンジン
  • 崩れるサイン:受注高が売上を下回り始める(上期は受注38.8億>売上34.5億)/防衛予算の伸びの鈍化/四半期のセグメント利益率の反落
前提 2Addvalue株の水準

評価益が「洗い替え」で消えない(=Addvalue株が崩れない)

  • 純利益の約7割がこの1銘柄の時価で決まる。会社は「開示基準に抵触する変動があれば都度修正する」と明記——下方修正の条件も既に開示されている
  • 崩れるサイン:Addvalue株(SGX:A31)の明確な下落トレンド入り/3Q(9月中旬)で評価益の減額修正/急激な円高(SGD建て資産の目減り)
前提 3資本政策の平穏

新たな大型の希薄化(新株予約権の追加発行)が当面出ない

  • 今回の第15〜17回で13〜17回と番号が示すとおり、この会社は新株予約権による調達を繰り返してきた。蓄電所は資本集約的で、成長投資には追加資金が要る構造
  • 崩れるサイン:新たな行使価額修正型(MSワラント型)の発行決議/大株主の売却/立会外分売・売出し
遠い脅威テーマの潮目

防衛・蓄電池という「国策テーマ」の資金の潮が引くとき

  • 2014年・2019-20年と、この株はテーマの潮が引いたあと長い調整に入った前歴が二度ある。テーマ物色の巡りは会社にはコントロールできない
  • 時価総額約125億円・1日の売買代金数億円の小型株——資金の出入りに対して値幅が大きく出ることは、上げでも下げでも変わらない
3

いまの株価は割高か、割安か(PER 6.6倍の解体)

PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が小さいほど割安に見えます——が、この銘柄では分母のEPS(1株利益)に評価益が入っているため、そのまま読むと間違えます。

PERの推移(2025年12月の来期予想公表以降・日次) 2025-12 → 2026-07-27

計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想EPS。予想EPSは36.14円(2025/12/15)→106.03円(2026/2/19修正)→205.89円(6/15修正)と3ヶ月ごとに切り上がった。12/15と6/15は引け後開示のため翌営業日から、2/19は14:40(取引時間中)開示のため当日から分母に反映。

見かけのPER
6.6倍
2026-07-27終値 ÷ 予想EPS 205.89円(評価益込み)
事業だけのPER(試算)
約22倍
評価益を除く事業利益ベースの換算EPS約63円で計算(アルミナ試算)
予想EPSの変遷
36→106→206円
3ヶ月ごとの上方修正で分母が8ヶ月で5.7倍になった

読み方 ── チャートのPERが6月に急低下したのは、株価が下がったからではなく、分母のEPSが106円→206円に倍増したからです。そしてそのEPS急増の主因は事業でなくAddvalue株の評価益——つまりいまの「PER 6.6倍」は、他社の株価が高いままである限りにおいて成立する数字です。評価益を外した事業ベースの約22倍で見ると、小型の官公庁関連機器メーカーとしてすでに成長期待をある程度織り込んだ水準——「6.6倍だから割安」という単純な読みは、この銘柄では成立しません。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの1,365円は、「官公庁向けの受注成長が続き(事業利益8.2億円の達成)、Addvalue株が現水準を保ち、追加の大型希薄化が出ない」という前提を織り込んだ値段です。高値2,496円が織り込んでいた「評価益も事業もテーマも全部うまくいく」前提からは、すでに▼45%分だけ剥がれています。

崩れる合図──Addvalue株の下落トレンド入り(→3Qでの評価益減額)/受注の鈍化/新たな新株予約権の発行決議。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

4

テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-07-27

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(1,632円)6月下旬に割れてから戻せていない。いまの1,365円は線の16.3%下=下降トレンドの中の横ばい
━ 赤い点線=押し安値(1,300円・7/17)▼45%調整の現時点の底。ここを終値で割ると、12月安値からの上げ幅の6割超を吐き出す計算になる
━ 灰色の点線=年初来安値(696円・1/5)2月の発火前の水準。ここへの接近は「評価益もテーマも剥がれ落ちた」ことを意味する(現値から▼49%・強い警戒)
上値の節=1,900〜2,200円5〜6月に出来高を伴って売買された価格帯。戻りではこの帯で捕まっている買い方の売り(しこり)が出やすい
200日線は1,208円急騰で大きく上に離れたあと、調整でも現値は200日線の上=長期の上昇トレンド自体はまだ壊れていないフル指標版で確認できます)

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)の推移——この銘柄は売り残がほぼゼロ(非貸借)です

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-07-17

左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま97万株(7/17公表)=発行済の10.5%・1日の出来高の3.5日分。急騰前(1月末28万株)の3.5倍に膨らんだままで、戻り売り圧力として上値に効き続ける。ピークは4月の136万株——そこからの減り方が整理の進み具合の物差し
━ 青い線=信用売り残ほぼゼロ。貸借銘柄でないため空売りが基本できない——急落時に「売り方の買い戻し」という自動的な下支えが働かないことは、この銘柄の下げ足の速さの一因
棒グラフ=売買代金6月ピークは1日30億円超→直近は約8.5億円(60日平均)。時価総額約125億円の小型株で、資金の潮の満ち引きがそのまま値幅になる

まとめ ── 天井(6/3の2,496円と、6/17に2,490円まで戻して届かなかった二番天井・出来高170万株)の形は明確で、いまは重い信用買い残を時間で消化する局面。押し安値1,300円と、上値のしこり帯1,900〜2,200円に挟まれたレンジを、9月中旬の3Qがどちらに破るか——全体の結論は最終章「総合判断」へ。

5

総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:事業(官公庁向け機器)は本物の成長・ただし純利益の約7割は評価益という二層構造/需給:株数+39%と信用買い残97万株の消化局面・売り残ゼロで下支えなし/テクニカル:6月の二番天井から▼45%・25日線の下。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反転が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • 押し安値1,300円(7/17)を守ったまま、25日線(1,632円)を終値で回復する
  • 9月中旬の3Qで ①事業利益の進捗が通期8.2億円ペースを維持 ②評価益の洗い替えが中立以上 ③蓄電所の売電収益が計上開始——の複数が揃う
  • 信用買い残の減少が続く(毎週公表・90万株割れが最初の目安)
  • 受注高がセグメント売上を上回り続ける(上期は38.8億>34.5億)

⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)

  • 押し安値1,300円を終値で割り込む——需給整理がもう一段深くなる
  • Addvalue株(SGX:A31)の下落トレンド入り——3Qでの評価益減額=純利益予想の下方修正に直結(会社が「都度修正する」と明記済み)
  • 新たな新株予約権(行使価額修正型)の発行決議——第18回の登場は希薄化の再開を意味する
  • 戻りが1,900〜2,200円のしこり帯で毎回止まる(上値の重さの確認)
  • 年初来安値696円方向への深押しは「物語の全面崩壊」シグナル(強い警戒)

📅 次に見るカレンダー

  • 毎週火曜ごろ:信用残の公表──買い残97万株の消化ペースがこの銘柄の当面の主戦場
  • 9月中旬:第3四半期決算──前年は9/16の16:00引け後(=反応は翌営業日)。評価益の洗い替え・事業の進捗・蓄電所の収益化が一度に答え合わせになる本命日(確定日は会社発表で更新)
  • 随時:Addvalue Technologies(SGX:A31)の株価──0.01SGDの変動≒約1.4億円の評価損益(アルミナ試算)
  • 随時:蓄電所・太陽光の開発/売却の開示──再エネ事業の収益化の進み具合
  • 12月中旬:本決算(前年は12/15)──通期着地と、2027年10月期の「評価益抜き」の予想が出る日

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 多摩川HD(6838)

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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

出典をすべて見る(タップで開く)

多摩川ホールディングスの適時開示・法定開示(一次情報)

  • 2025/12/4 中期経営計画の策定に関するお知らせ──2030年10月期 売上111億円・経常13億円・第二工場2029年稼働の出典
  • 2025/12/4 第三者割当による第15回〜第17回新株予約権(行使価額修正選択権付)の発行に関するお知らせ──割当先Cantor Fitzgerald Europe・潜在1,626,700株(当時の発行済比24.70%)・資金使途(工場増設3.2億/再エネ7.0億ほか・のちに計12.65億円へ変更)の出典
  • 2025/12/15 2025年10月期 決算短信・IFRS任意適用に関するお知らせ──前期実績と来期予想(EPS 36.14円)の出典
  • 2026/2/19 時価評価差額の計上を含む2026年10月期通期連結業績予想の修正──純利益2.38億→7.3億円・Addvalue株評価益4.95億円(1月末時点)の計上方針・「四半期ごとに洗い替え、都度修正」の明記の出典
  • 2026/3/16 2026年10月期 第1四半期決算短信──1Q純利益7.41億円の出典
  • 2026/6/15 2026年10月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕・時価評価差額の計上を含む通期業績予想および配当予想の修正──中間純利益18.32億円・金融収益16.0億円・Addvalue株125,802,352株/評価額22.54億円(4月末)・通期予想(純利18.35億/EPS 205.89円/配当10円)・セグメント実績・受注高の出典
  • 2026/6/15 半期報告書(EDINET)──発行済株式総数の推移(6,584,900→8,912,700株・5月に+270,000株)・第13〜17回新株予約権の行使・大株主の状況の出典
  • 2026/5/25・7/8 系統用蓄電所(福岡県みやま市)の取得・系統連系完了に関する開示
  • 2025/3/21 保有株式(台湾TMY社)の一部売却に伴う特別利益の計上──「出資→上場→売却」の前例の出典
  • 多摩川ホールディングス 公式サイト(決算短信・開示資料の原本は公式サイトIRページから)

データの出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX・電気機器業種指数:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株式分割・併合は調整後系列で表示)
  • PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出
  • Addvalue Technologies(SGX:A31)の株価水準・52週レンジ:シンガポール取引所の公開市場データ(2026年7月時点)
  • 「事業だけのPER約22倍」「評価益 税引後約12.6億円」「0.01SGD≒約1.4億円」:会社開示の数字からアルミナが単純換算した試算値(実効税率30%仮置き・会社開示の内訳ではありません)
  • 開示の時刻(16:00・14:40等):適時開示の公表時刻の実データ(「翌営業日に反応」の判定に使用)

決算数値は適時開示・法定開示の実数。業績予想は会社公表値であり、達成を保証するものではありません。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。