銘柄レポート🔖 毎週土曜更新
三菱重工業(7011)株価分析 機械
年間受注高7兆6,536億円・受注残13兆2,376億円(年間売上の約2.7年分)——防衛・エナジーを両輪に、コロナ期の安値から約24倍の高値5,208円まで買われた「防衛の本丸」。いまは高値から▼24%の3,945円、それでも予想PERは約35倍と、同業IHI(19倍前後)のほぼ2倍の評価が残る。
この高い物差しを、受注・採算・防衛予算の可視性はどこまで支えるのか——好決算でも売られた5月を含めて、この1ページで整理する。
三菱重工業の今と見どころ📊 株価データ:2026-07-24終値
✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
- 防衛(戦闘機・ミサイル・艦艇)・エナジー(ガスタービン・原子力)・宇宙を担う日本最大の総合重工。前期は受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)・受注残13兆2,376億円(+3兆13億円)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円と拡大が続き、今期は事業利益5,400億円(+25%)・EPS+14%(113.09円)を会社が予想。株価はコロナ期の安値218円(調整後)から3月の高値5,208円まで約24倍になった。
- いまの予想PERは約35倍——同業IHI(19倍前後)のほぼ2倍という高い物差し。5/12の本決算は受注・利益とも大幅増だったのに当日▼1.9%→2日後▼5.5%と売られた=「良い決算」より「期待の高さ」が勝った実例。高値から6/11の3,404円まで▼35%の調整を経て、いまは底値圏からの戻りを試している。
- 焦点は8/5ごろの1Q決算=通期受注計画6.8兆円への進捗と、受注残の売上化が35倍の物差しを支えられるかの確認。株価の物差しは25日線(3,806円)・押し安値3,626円(7/17)・戻り高値4,110円(7/6)。
いまの状態
業績受注高7兆6,536億・受注残13兆2,376億・売上4兆9,741億・事業利益4,322億(率8.7%)。今期計画=受注6.8兆(▼11%)・売上5.4兆(+8.6%)・事業利益5,400億(+25%・率10%)=受注残を売上化して利益率を上げる年度設計
株価の流れ3/2高値5,208円→6/11安値3,404円(▼35%)→7月は3,600〜4,100円の往来。7/6+8.4%・7/17▼3.7%と出入りの荒い攻防
需給信用買い残2,502万株(終値換算約987億円・7/17公表)は規模として小さくないが、出来高(約2,000万株/日)の1.3日分=単独で相場を決める需給ではない
割安度予想PER 34.9倍(3月の高値では67倍)。IHIの約2倍=「防衛の本丸プレミアム」の妥当性が最大の論点
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)
📌 今週の要点:このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に3,626円まで売られたが、週後半に3日で+7%と切り返し、3,945円で週を終えた。3月高値からの調整(▼35%が最大)は6/11の3,404円でいったん底を打った形。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。
① 新しく分かったこと
➡️ 防衛セクターへの資金の出入りが激しい月だった
7/6に+8.4%(出来高3,600万株)で防衛セクター全体が反発したかと思えば、7/8▼4.7%・7/17▼3.7%。評価の高い銘柄ほど、資金の出入りで振れる。
→ 解釈:PER35倍という物差しの正当性を市場がまだ議論している最中。答えは四半期の数字(8/5ごろ)で出る。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし(開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。
③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)
(a) 8/5ごろの1Q決算(過去2年は8/5-6・13:30場中開示)で、通期受注計画6.8兆円(会社は前年比▼11%の計画=単純な前年比減は織り込み済み)への進捗と、受注残13.2兆円の売上化・採算
(b) 押し安値3,626円(7/17)を終値で維持できるか
(c) 4,110円(7/6の戻り高値)を出来高を伴って回復できるか
④ 📅 次に見るもの——8/5ごろ 1Q決算(13:30場中→当日午後に反応)・7/30 FOMC/日銀・防衛省概算要求(8月末)。
📅 これからの予定 — 三菱重工業(7011)に関連するもの
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30-31★日銀 金融政策決定会合(結果は7/31)市場全体
7/30-31開催・結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8/5(水)ごろ三菱重工業(7011) 1Q決算発表(予測日)自社・予測過去2年は8/5・8/6の13:30(場中)開示=反応は当日午後から。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
8月上旬IHI(7013)・川崎重工(7012)の1Q決算(予測)同業・予測重工3社の決算が同じ週に集中。互いの防衛・エナジーの受注コメントが読み合わせ材料になる
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8月末ごろ防衛省 概算要求(2027年度予算)防衛シグナル防衛予算の要求額と重点項目。この銘柄の物差し(PER35倍)を支える前提の定点
速報直近の動き — 三菱重工業(7011)に関連するかもしれないニュース
終値(調整後)
3,945円
2026-07-24(前日比+0.4%・TOPIX騰落率との差+1.4pt)
上場来高値からの下落
▼24.3%
高値5,208円(2026/03/02・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23+1.0%7/24+0.4%
直近2営業日の前日比
信用倍率
34倍
買い残2,502万株/売り残73万株(7/17公表・週次)
3つの視点で見る(2026-07-24時点)
ファンダメンタルズ
受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円と、防衛・エナジーの両輪で拡大が続く。来期はEPS113.09円(+14%)予想。注意点は「業績の伸び」より「評価(PER35倍)の高さ」が先行していること——5/12の好決算で売られたのは、数字が悪かったからではなく、株価が要求する水準がもっと上にあったから。受注残13.2兆円(年間売上の約2.7年分)という将来売上の厚みが、この評価の最大の支え。
需給
信用買い残2,502万株(終値換算で約987億円・7/17公表)は規模として小さくないが、1日の出来高(約2,000万株)の1.3日分=この流動性の中では単独で相場を決める需給ではない。実際、7/6+8.4%→7/8▼4.7%はIHIも同方向に動いた日で、値段を動かしたのは防衛テーマへの資金の出入りだった(個別需給では説明がつかない)。
テクニカル
3/2高値5,208円→6/11安値3,404円(▼35%)の調整を経て、3,600〜4,100円の往来。いまの3,945円は25日線(3,806円)の+3.7%上。確認は ①押し安値3,626円(7/17)を守るか ②戻り高値4,110円(7/6)超え ③8/5ごろの1Q決算 で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
1
なぜ、「防衛の本丸」はIHIの2倍の物差しで買われているのか
株価24倍の道のりはIHIと同じ「防衛予算の拡大」が起点ですが、三菱重工にはさらに3つのプレミアムの源泉が重なっています。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
土台防衛の中核企業
戦闘機・ミサイル・艦艇——国内防衛の主契約の中心 構造的な地位
- 次期戦闘機(GCAP)の機体・護衛艦・潜水艦・各種ミサイルと、国内防衛装備の主契約(プライム)の多くを担う。防衛予算がGDP比2%へ拡大する流れの、最大の受け皿
- コロナ期の2020年には218円(調整後)まで売られていた——当時は火力発電やMRJ(国産ジェット)撤退などの逆風の時代
- 2022年の安保3文書以降、「防衛=成長事業」への再評価が始まり、株価の土台が変わった
きっかけエナジーの復活
防衛だけではない——ガスタービン・原子力の「第二の柱」 受注+1.2兆円の主役
- 前期の受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円)の増加を牽引したのは、実はエナジーセグメント(会社が短信で明記)——データセンター電力需要のガスタービン、原子力の再稼働・新設機運
- 防衛が「国の予算」で伸びる事業なら、エナジーは「世界の電力需要」で伸びる事業。2つの異なるエンジンを持つことが、IHIとの評価差の第一の源泉
- 事業利益4,322億円(率8.7%)はエナジーと航空・防衛・宇宙の両セグメントが増益(短信明記)
二の矢個人の資金流入
2024年3月の1:10分割——「買える株」になった 流動性の変化
- 2024年3月末に1:10の株式分割。最低投資金額が下がり、防衛テーマの代表格として個人資金の受け皿になった
- 2024〜2025年、防衛関連の報道のたびに「まず三菱重工が買われる」構図が定着——テーマの入口銘柄としての地位がプレミアムの第二の源泉
- 2026年3月2日に高値5,208円。コロナ安値から約24倍、この時点の予想PERは67倍まで拡大していた
増幅期待の反動
好決算でも売られた——5/12の教訓 ▼35%の調整
- 5/12(13:30・場中)の本決算は受注・売上・利益とも大幅増、来期EPS+14%予想。出来高5,800万株と注目を集めたが当日▼1.9%・2日後▼5.5%
- 数字が悪かったのではない。PER50倍超の期待には「+14%」では足りなかった——評価が先行した銘柄の宿命がそのまま出た
- 6/1のテーマ株一斉安(宇宙・AI・防衛の高値銘柄が同時に崩れた日)も直撃し、6/11に年初来安値3,404円(高値比▼35%)
たしかめ固有か地合いか
動かすのは「テーマの温度」——個別材料より資金フロー IHIと比較
- 7/6の+8.4%はIHIも同日+7%=防衛セクター全体への資金回帰。逆に6/1の▼4.5%はテーマ全体の剥落。個別ニュースより「防衛テーマへの資金の出入り」で動く
- 7/17(TOPIX▼2.7%)に▼3.7%=指数中核銘柄として全体安にも連動する
- IHI(▼52%調整・PER19倍)との比較で言えば、三菱重工は下げが浅く、物差しが高い——「本丸プレミアム」が守られている間はこの差が続き、剥がれる時は差が縮む方向に動く
いまの位置
この評価の高さは①防衛+エナジーの二本柱 ②受注残13.2兆円という将来売上の厚み ③テーマの入口銘柄という地位の複合です。ただし5月の実例が示す通り、PER35倍は「良い決算」だけでは維持できない物差し——次の答えは8/5ごろの1Q決算、通期受注計画6.8兆円への進捗と受注残の売上化が試されます。
順番に注意 — この銘柄は「決算は昼・評価は期待との勝負」
① 開示は13:30、反応は当日の午後から
決算は13:30(場中)が定例です。5/12の▼1.9%は当日の午後に出た反応で、本音の売りは2日後の▼5.5%に出ました。IHI(13:00)と同じく、当日と翌日以降の2段構えで読む銘柄です。
② 「良い決算=上がる」が通用しない評価水準
株価が反応するのは「実績と会社計画の差」ではなく「実績と、株価が既に織り込んでいる期待の差」です。会社計画どおりでも株価の要求水準を上回れば上がり、計画超えでも要求に届かなければ売られる——5/12は後者だった、というのがこの銘柄の読み方です。
③ IHIとセットで見る
同じ防衛テーマで物差しが2倍違う2社です。三菱重工が下がってIHIが下がらない日は「本丸プレミアムの剥落」、両方下がる日は「テーマ全体の資金流出」——2枚並べると、下げの原因が読み分けられます(IHIのページもあります)。
2
会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。三菱重工業はエナジー(ガスタービン・原子力・蒸気)・プラント/インフラ・物流/冷熱/ドライブ・航空/防衛/宇宙の4セグメント。日本最大の総合重工で、防衛装備の国内主契約の中心。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信の実数です。
受注高/受注残
7.7兆/13.2兆
受注残は+3兆13億
2026年3月期。受注残13兆2,376億円は年間売上の約2.7年分(機械的な目安)
売上収益
4兆9,741億
+6,130億
航空・防衛・宇宙とエナジーが増収の柱
事業利益
4,322億
率8.7%・+772億
エナジー・航空防衛宇宙の増益(短信明記)
EPS(1株利益)
98.86円
→ 予想 113.09円
来期+14%予想・配当29円予想
評価(PER)の変遷と、その意味
- 2024年前半PER20倍前後 ── 分割前後。防衛テーマは点火していたが、物差しはまだ「重工の延長」だった
- 2025〜2026年3月最大67倍へ ── 防衛予算×エナジー復活×個人資金の三重奏で、物差しそのものが切り上がった。2025年9月末には業績予想の下方修正(EPS77.43→68.49円)があったが、株価の勢いは止まらなかった——この時期は「数字よりテーマ」で動いていた証拠
- いま34.9倍 ── 高値から▼24%調整してなお、IHI(19倍前後)の約2倍。「防衛の本丸プレミアム」の妥当性を、市場が四半期ごとに採点している段階
受注残13.2兆円の意味 ── 年間売上約5兆円に対して約2.7年分(受注残÷売上の機械的な目安で、全てが同じ採算で売上化する保証はない)。今期の会社計画は受注6.8兆円(▼11%)と減る一方、売上5.4兆円(+8.6%)・事業利益5,400億円(+25%・利益率10%)=「受注残を売上化して利益率を上げる年度」として設計されている。だから1Qで見るべきは受注の前年比ではなく、通期6.8兆円への進捗と、受注残から売上・利益への転換の質。財務も厚い——前期FCF 8,934億円(ただし大型受注の前受金の寄与が大きく、会社の今期FCF予想は3,000億円)・現金1兆3,348億円に対し有利子負債5,157億円(各数値は決算短信・説明資料より。下の出典参照)。
知っておきたい3つのこと
- 1防衛とエナジー、2つのエンジンの性質は別物
防衛は「国の予算」で伸びる=可視性が高いが利益率は管理される。エナジーは「世界の電力・データセンター需要」で伸びる=市場競争だが上振れ余地がある。決算ではこの2つを分けて見るのがこの会社の読み方。
- 2過去には大きな谷もあった
国産ジェット(スペースジェット)撤退・大型客船の損失・火力逆風と、2010年代は挑戦と損失の歴史。いまの高評価は「選択と集中後の姿」への評価であり、大型プロジェクトの損失リスクという体質が消えたわけではない。
- 3注意点
①期待先行の評価——PER35倍は良い決算でも下がり得る(5/12の実例) ②防衛政策の変化——停戦・予算縮小はテーマごと剥落させる ③2025年9月に下方修正の前歴(為替・一過性要因)——夜開示(23:00)だった点も含め、修正リスクは常にある ④エナジーの受注は大型案件の期ズレで振れる。
この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)
防衛予算+世界の電力需要→
受注残13.2兆円の売上化(四半期で確認)→
事業利益率の維持・改善(8.7%→)→
EPS 113.09円(+14%)の達成→
PER 34.9倍という物差しの正当化
この鎖のいちばん最後(物差しの正当化)が他の銘柄より重いのがこの会社の特徴です。数字がすべて計画通りでも、期待がそれ以上なら株価は下がる——確認の場は四半期決算(13:30開示)と防衛・エネルギー政策。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります。
成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1防衛予算の拡大
GDP比2%路線と装備調達の主契約の地位が続く
- GCAP・ミサイル量産・艦艇と、国内主契約の中心であり続けることが物差しの土台。8月末の概算要求が毎年の定点
- 崩れるサイン:防衛予算の削減・執行遅れ/大規模な停戦・緊張緩和(業績より先に評価に来る)/主要装備の調達計画変更
前提 2エナジーの需要
ガスタービン・原子力の受注の勢いが続く
- 前期の受注増+1.2兆円の主役(大型ガスタービン35台受注・GT受注残は5兆円超)。今期の受注計画6.8兆円は前年比▼11%=単純な前年比減は計画の内で、見るべきは計画に対する進捗
- 崩れるサイン:通期受注計画6.8兆円に対する進捗の遅れ/大型案件の失注・期ズレ/電力投資サイクルの転換
前提 3実行力(採算)
大型プロジェクトで損失を出さず、利益率8.7%を守る
- 客船・国産ジェットの歴史が示す通り、総合重工の最大の内部リスクは大型案件の損失。事業利益率の推移が体温計
- 崩れるサイン:特定案件の損失計上/事業利益率の低下傾向/2025年9月型の業績下方修正の再発
遠い脅威評価の重力
PER35倍という物差しそのものの持続性
- 業績がすべて順調でも、市場の物差しが「普通の重工」(15〜20倍)へ戻るだけで株価は大きく下がる。この銘柄の最大のリスクは業績でなく評価——IHIとの倍率差の推移が、プレミアムの体温計になる
- 逆に、防衛×エナジーの成長が数年続けば、いまの物差しが「新しい普通」になる可能性もある——それを決めるのは四半期ごとの受注と利益の実額
3
いまの株価は割高か、割安か(本丸プレミアムの値段)
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2024年3月の1:10分割は調整済み)。
PERの推移(直近2年・日次)
2024-05 → 2026-07-24
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。決算開示は13:30(場中)のため当日から、2025/9/30の下方修正(23:00)のみ翌営業日から分母に反映。
いま
PER 34.9倍
2026-07-24(終値ベース・会社予想EPS 113.09円)
直近2年の中央値
35.8倍
およそ18〜71倍のレンジで推移
参考:IHI
19倍前後
ただしIHIの予想益には計画的な資産売却等の一過性が乗る=実力ベースでは倍率差は2倍より縮む可能性(IHIページ参照)
読み方 ── この2年のPERは19.4倍→最大67倍→いま34.9倍。特徴的なのは、2025年9月の業績下方修正のあとも物差しが下がらなかったこと——この銘柄は「数字」ではなく「防衛×エナジーというテーマの確度」で値付けされてきた証拠です。いまの34.9倍は、高値の67倍からは大きく冷えたものの、年間受注高7.7兆円・受注残13.2兆円(年間売上の約2.7年分)という将来売上の厚みまで織り込んだ水準。5/12に好決算で売られた実例が示す通り、この物差しの維持には会社計画の達成だけでなく、株価が要求しているように見える成長軌道を上回り続けることが要る——そこがIHIとの最大の違いです。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの3,945円(予想PER 34.9倍)は、「防衛予算の拡大とエナジーの受注の勢いが数年続き、EPS+14%を上回るペースの成長が見えてくる」という前提を織り込んだ値段です。IHIとの評価差2倍は、その確度への上乗せ分。
崩れる合図──8/5ごろの1Q決算で通期受注計画6.8兆円への進捗が弱い・受注残の売上化の採算が崩れる/防衛政策の後退/大型案件の損失。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
4
テクニカルと需給の現在地
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
下値の目安とサイン(日足75本)
〜2026-07-24
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
━ 青い線=25日線(3,806円)6月の底打ち後、線を挟んだ攻防が続く。いまの3,945円は線の+3.7%上
━ 赤い点線=押し安値(3,626円・7/17)市場全体の急落日の安値。ここを終値で割ると7月の戻りの形が崩れる
━ 灰色の点線=年初来安値(3,404円・6/11)▼35%調整の底。ここを割ると調整の第2段階入り(強い警戒)
上の節① 4,110円(7/6)防衛セクター資金回帰の日の戻り高値。ここを出来高を伴って超えると底打ちの形が固まる
上の節② 5,208円(3/2・上場来高値・取引時間中)PER67倍の頂点。ここまでの間には4,300〜4,600円(4-5月の滞留帯)など節が階段状に残る
200日線は4,275円長期トレンドの物差し(フル指標版で確認できます)
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
信用残(週次)と売買代金
2025-07 → 2026-07-17
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま2,502万株(7/17公表)=出来高の1.3日分。大型株として重くはないが、下落局面で増えてきた場合は難平の積み上がりに注意
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)73万株・倍率34倍。需給の主役は機関・海外勢の資金フロー
棒グラフ=売買代金1日平均約905億円(直近60日)と国内最大級。時価総額 約13.3兆円
まとめ ── 6/11の3,404円で底を打ち、3,600〜4,100円の往来で方向待ち。信用買い残は約987億円分あるが流動性の中では主因ではなく、値段を決めるのは防衛テーマへの資金の出入り。8/5ごろの1Q決算が次の方向を決める公算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。
5
総合判断と、今後の注目点
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:受注残13.2兆円と防衛×エナジーの両輪は健在。ただしPER35倍は市場期待超えを要求する物差し/需給:信用買い残は主因ではなくテーマ資金が主導/テクニカル:▼35%調整から往来で方向待ち。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。
✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)
- 8/5ごろの1Q決算で、通期受注計画6.8兆円への進捗が順調で、利益の進捗が市場の期待を上回る
- 戻り高値4,110円(7/6)を出来高を伴って超える——底打ちの形の完成
- 防衛省の概算要求(8月末)で装備調達の拡大が確認される
- IHIとの評価差が保たれたまま両銘柄が堅調(テーマ全体の健全さ)
⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)
- 押し安値3,626円(7/17)を終値で割り込む
- 年初来安値3,404円(6/11)割れ=調整の第2段階(強い警戒)
- 1Q決算が市場の期待に届かない——会社計画どおりでも、株価が織り込む軌道を下回れば失望になり得る(5/12の実例)
- 通期受注計画6.8兆円への進捗の遅れ・大型案件の損失計上・下方修正の再発(2025年9月の前歴・前年比の受注減だけなら計画の内)
- 大規模な停戦・防衛予算の縮小観測——業績より先に物差し(PER)に来る
📅 次に見るカレンダー
- 8/5ごろ:第1四半期決算──PER35倍の物差しの初回点検(過去2年は8/5-6・13:30場中開示→当日午後に反応。確定日は会社発表で更新)
- 8月上旬:IHI・川崎重工の1Q決算——重工3社の受注コメントの読み合わせ
- 8月末ごろ:防衛省 概算要求——物差しを支える前提の年次定点
- 随時:防衛政策・エネルギー政策の報道/ドル円
- 11月上旬:第2四半期決算(前年は11/7)
🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 三菱重工業(7011)
6
出典・参考資料
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
出典をすべて見る(タップで開く)
三菱重工業の適時開示(一次情報)
- 2024/5/8 2024年3月期 決算短信〔IFRS〕──2025年3月期予想(分割調整後EPS 68.43円)の出典
- 2025/5/9 2025年3月期 決算短信──2026年3月期予想(EPS 77.43円)の出典
- 2025/9/30 業績予想の修正に関するお知らせ(23:00開示)──EPS 68.49円への下方修正の出典
- 2026/2/4 2026年3月期 第3四半期決算短信──通期予想の再上方修正(EPS 77.38円)
- 2026/5/12 2026年3月期 決算短信──受注高7兆6,536億円(+1兆2,484億円・エナジー牽引)・売上4兆9,741億円・事業利益4,322億円(率8.7%)・EPS 98.86円・FCF 8,934億円(契約負債の増加が寄与)・現金1兆3,348億円/有利子負債5,157億円・2027年3月期計画(受注6兆8,000億・売上5兆4,000億・事業利益5,400億・EPS 113.09円・配当29円)の出典
- 2026/5/12 2025年度決算説明資料──受注残高13兆2,376億円(前年度末比+3兆13億円)・大型ガスタービン35台受注/GT受注残5兆円超・今期FCF予想3,000億円の出典
- 三菱重工業 公式サイト(決算短信・説明資料の原本は公式サイトIRページから)
データの出典
- 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価は2024/3の1:10分割・2017/10の併合を調整済み)
- PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
- IHIとの比較PER:当サイトのIHI(7013)ページと同一基準日・同一方法で算出
- 開示の時刻(13:30等):適時開示の公表時刻の実データ
決算数値は適時開示の実数。「防衛の主契約の中心」等の事業上の位置づけは公知の事実に基づく記述です。