銘柄レポート🔖 毎週土曜更新
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)株価分析 銀行業
コロナ期の安値380円から、いま上場来高値3,778円——約10倍。マイナス金利の時代に「稼げない業種」の代表だった銀行が、「金利ある世界」への回帰で純利益2兆4,272億円の過去最高、来期の目標は2.7兆円。
この10倍は利益の成長と、物差し(PER)の切り上がりの合わせ技——その中身と、金利が逆回転したとき何が起きるかを、この1ページで整理する。
三菱UFJの今と見どころ📊 株価データ:2026-07-24終値(毎日夜更新)
✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
- 国内最大の金融グループ(銀行・信託・証券・カード・米Morgan Stanleyへの出資)。マイナス金利の時代に「稼げない」と評価され2020年に380円まで売られた株が、金利の復活とともに利益も評価も切り上がり、いま上場来高値3,778円(7/23・取引時間中)=約10倍。銀行セクターは直近3ヶ月+33%と33業種で最強、その先頭にいる。
- 前期は純利益2兆4,272億円で過去最高(期中目標2.1兆円を大幅上振れ)。来期の目標は2.7兆円で、配当は74円→96円へ+22円の大幅増配予想+自社株買い(直近1,000億円)と還元も厚い。ただし銀行は業績「予想」でなく「目標」形式で開示する点は知っておきたい。
- 焦点は7/30〜31の日銀会合=この株の物語の心臓部と、8月上旬の1Q決算。株価の物差しは25日線(3,427円)と押し安値3,411円(7/17)。金利が上がる限り追い風、逆回転が最大のリスク——シンプルにそういう銘柄。
いまの状態
業績純利益 1.86兆円→2.43兆円(過去最高)→目標2.7兆円。国内金利の上昇で貸出の利ざやが構造的に改善し、Morgan Stanley持分法益も追い風
株価の流れ年初来安値2,517円(1/5)→5月の決算で一段高→7月に加速し、7/23・24と連日で上場来高値圏。7月単月+17%
需給信用買い残2,725万株は1日の出来高(約4,300万株)の0.7日分=無視できる規模。時価総額約42兆円の超大型株で、需給より金利がすべて
割安度目標純利2.7兆円ベースでPER 15.8倍。マイナス金利の時代は7〜9倍が定位置だった——物差しそのものが切り上がった(リレーティング)のがこの3年
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)
📌 今週の要点:このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に▼4.3%まで売られたが、3日で取り返して7/23・24と連日で上場来高値圏(取引時間中3,778円)。7月だけで+17%と、銀行セクター(1ヶ月+13.7%)の先頭を走っている。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。
① 新しく分かったこと
➡️ 急落しても3日で戻る「押し目の浅さ」が確認された週
7/17の安値3,411円は25日線のわずか下。そこから7/21〜23で+8%と、押し目を待つ資金の厚さが数字に出た。
→ 解釈:金利上昇の物語が生きている間は、下げが「買い場」として処理される地合い。物語自体の点検は7/30の日銀会合で。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし(開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。
③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)
(a) 7/30〜31の日銀会合——利上げ(または利上げ示唆)の有無と、その翌日の値動き
(b) 8月上旬の1Q決算(過去2年は8/4〜8/7・引け後開示)で、目標2.7兆円に対する進捗率が25%前後に乗っているか
(c) 押し安値3,411円(7/17)を終値で維持できるか
④ 📅 次に見るもの——7/30〜31 日銀会合(この銘柄の物語の心臓部)・8月上旬 1Q決算・毎週の信用残。
📅 これからの予定 — 三菱UFJ(8306)に関連するもの
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木)★日銀 金融政策決定会合(この銘柄の最重要イベント)市場全体
結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8月上旬三菱UFJ(8306) 1Q決算発表(予測日)自社・予測過去2年は8/4・8/7の引け後開示(=反応は翌営業日)。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
8/12(水)★米CPI(消費者物価・7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/13(木)
速報直近の動き — 三菱UFJ(8306)に関連するかもしれないニュース
終値(調整後)
3,754円
2026-07-24(前日比+0.1%・TOPIX騰落率との差+1.2pt)
上場来高値からの下落
▼0.6%
高値3,778円(2026/07/23・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23+2.2%7/24+0.1%
直近2営業日の前日比
信用倍率
8.4倍
買い残2,725万株/売り残323万株(7/17公表・週次)
3つの視点で見る(2026-07-24時点)
ファンダメンタルズ
純利益 1.86兆円→2.43兆円(過去最高)→来期目標2.7兆円。源泉は国内金利の上昇=貸出と預金の利ざやの構造的な改善で、顧客部門の業務純益と米Morgan Stanleyの持分法益が両輪。配当は74円→96円へ+22円の大幅増配予想・自社株買い(取得→消却)も毎期継続。注意点は、銀行は業績「予想」でなく「目標」形式で開示すること——2.7兆円は約束ではなく目標値。
需給
信用買い残2,725万株は1日の出来高(約4,300万株)の0.7日分=無視できる水準。時価総額約42兆円・1日の売買代金1,000億円超の超大型株で、個人の信用需給が値段を動かす余地はほぼない。動かすのは金利(日銀・長期金利)と海外投資家の資金フロー。指数の中核銘柄なので、市場全体の急落日(7/17など)は一緒に下げる。
テクニカル
7/23・24と連日で上場来高値圏。いまの3,754円は25日線(3,427円)の+9.5%上と過熱気味の位置。確認は ①7/30〜31の日銀会合の結果と翌日の反応 ②押し安値3,411円(7/17)を守るか ③8月上旬の1Q決算 で。高値圏だけに、materialが出た時の振れは大きい。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
1
なぜ、「稼げない」と言われた銀行株が10倍になったのか
一つの好材料で上がったのではありません。マイナス金利という長い冬を土台に、金利の復活(2024年3月)、利益の過去最高更新(2025〜2026年)、還元の大幅強化が順に重なりました。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
土台マイナス金利の冬
金利ゼロの世界で、銀行は「構造不況業種」だった 〜2022年
- 2016年からのマイナス金利政策で、銀行の本業(お金を集めて貸し、利ざやを取る)は利ざやそのものが消滅。「銀行株は買ってはいけない」が市場の常識になり、コロナ期の2020年には380円まで売られた
- 当時の評価は解散価値の半分以下(PBR 0.4倍前後)・PER 7倍前後——「この会社の未来に期待しない」という値段が長く続いた
- ただしこの間も、海外事業の拡大と米Morgan Stanleyへの出資(リーマン危機時の2008年に実行)が静かに利益を積んでいた。冬の間に蓄えた体力が、後の反転の燃料になる
きっかけ金利の復活
2024年3月、17年ぶりの利上げ——物語が反転する 2023〜24年に株価3倍
- 2022年12月の日銀の長期金利上限引き上げを皮切りに、2024年3月にマイナス金利解除(17年ぶりの利上げ)。銀行の利ざやが「戻ってくる」ことが確定した
- 株価は2022年の630円から2024年の1,869円へ——利益が本格的に増える前に、まず「物差し」が変わった(この構造は防衛株が予算決定で先に動いたのと同じ)
- 以後、日銀の利上げが進むたびに「貸出金利は上がり、預金金利の上昇はそれより遅い」という利ざや拡大の方程式が効き続けている
二の矢利益が追いつく
2026年3月期、純利益2兆4,272億円——目標を3,000億円超上回る 期中に2回上振れ
- 期初目標2.0兆円→11/14に2.1兆円へ上方修正(顧客部門の業務純益+500億円・Morgan Stanley持分法益の増加で経常+1,500億円と会社が説明)→着地は2兆4,272億円とさらに上回った
- 「期待が先行しただけ」ではなく、利益の実体が期待を追い越してくるパターンが2期続いた——これが高値圏でも買いが続く最大の理由
- EPSは160円→213円へ+33%。自社株買い(取得→消却)で分母の株数も毎期減っており、1株あたりの取り分が両側から増える構造
三の矢還元の宣言
2026年5月、目標2.7兆円+配当96円+自社株買い1,000億円 2日で+6.2%
- 5/15(16:15・引け後)の本決算で、来期目標2.7兆円(前期比+11%)、年間配当96円予想(前期74円から+22円)、自社株買い上限1,000億円(発行済の0.40%・5/18〜6/30)を同時発表。中期経営計画の財務目標の修正も同日に出した
- 翌営業日から5/18 +2.3%→5/19 +3.8%と2日で+6.2%。「増益・増配・自社株買い」の3点セットが素直に買われた
- 配当96円はいまの株価でも利回り2.6%。「金利が上がっても銀行預金より株の配当」という個人の資金も下値を支える
増幅7月の加速
金利上昇の観測で、7月だけで+17%——上場来高値へ セクターごと最強
- 7月に入り金利上昇・日銀の利上げ観測が強まると、銀行セクター全体(1ヶ月+13.7%・3ヶ月+33%で33業種トップ)に資金が集中。三菱UFJは7/13〜15の3日で+6.9%と先頭を走った
- 7/17の市場全体の急落(TOPIX▼2.7%)で▼4.3%と押されたが、3日で取り返して7/23に上場来高値3,778円(取引時間中)
- 半導体・AI関連が調整する中で受け皿になったのが金融——市場全体の資金の流れ(セクターローテーション)の主役になっている
たしかめ固有か地合いか
この株を動かしているのは「金利」——個別材料より政策 日銀が主役
- 決算日(5/15→5/18-19で+6.2%)を除くと、大きく動いた日の背景はほぼ金利・日銀・米金利のニュース。個別の新製品や受注で動く銘柄ではない
- 7/17(TOPIX▼2.7%の急落日)に▼4.3%=指数との連動も強い。時価総額約42兆円の指数中核銘柄なので、市場全体を動かすイベント(FOMC・日銀・雇用統計)がそのまま自分のイベントになる
- つまりこの銘柄の分析は「会社を見る」より「金利を見る」比重が大きい。会社の実行力(目標達成・還元)は確認事項、金利の方向が主戦場——見るべき場所が明確なのが特徴
いまの位置
この10倍は「金利ある世界」への回帰という構造変化を、利益(1.86→2.43→目標2.7兆円)と物差し(PER 7倍→15.8倍)の両方が織り込んできた結果です。いまの3,754円は上場来高値圏——期待が実績に追い越された過去2期のパターンが続くかどうか、次の答えは7/30〜31の日銀会合と、8月上旬の1Q決算です。
順番に注意 — この銘柄は「会社より金利・予想でなく目標」
① 開示は引け後16時台、反応は翌営業日
決算・目標修正は16:15〜16:30(引け後)が定例です。5/15の本決算の反応は翌営業日5/18から始まりました。決算当日の値動きだけ見ると読み違えます。
② 銀行は「予想」でなく「目標」を出す
相場環境の不確実性を理由に、業績予想の代わりに純利益の目標値を開示する形式です(短信に明記)。目標2.7兆円は約束ではない——ただし過去2期は目標を上回って着地しており、目標の「保守度」も込みで評価されているのが現在地です。
③ 最大の変数は日銀——個別分析より金利観測
利ざやの拡大が物語の心臓部なので、日銀会合(次回7/30〜31)と長期金利の水準がこの株の一級材料です。逆に言えば、利下げ・金融緩和への転換が示唆された瞬間に、物語の前提が反転します。
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会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。三菱UFJフィナンシャル・グループは銀行(三菱UFJ銀行)・信託(三菱UFJ信託銀行)・証券(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)・カード(三菱UFJニコス)・消費者金融(アコム)などを束ねる国内最大の金融グループ。米Morgan Stanleyの大株主(持分法適用)でもある。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信・適時開示の実数です。
純利益
2兆4,272億
→ 目標 2兆7,000億
2026年3月期実績(過去最高) → 2027年3月期会社目標(+11%)
EPS(1株利益)
213.17円
→ 約237円
実績 → 目標2.7兆円÷期中平均株数での単純計算(アルミナ算出)
配当
74円
→ 予想 96円
+22円の大幅増配予想=いまの株価で利回り約2.6%
自社株買い
継続中
直近 1,000億円
取得→消却のサイクルを毎期実施(5/15決定・発行済の0.40%)
直近3年の歩みと、その中身(純利益)
- 2025年3月期1兆8,629億円 ── 邦銀として初めて「純利益1.5兆円超え」を定着させた期。マイナス金利解除(2024年3月)後、最初の通期
- 2026年3月期2兆4,272億円(過去最高) ── 期初目標2.0兆円→11月に2.1兆円へ修正→着地はさらに上。会社の説明は「顧客部門の堅調な業績+Morgan Stanleyに関わる持分法投資損益の増加」。2期連続で目標を大きく上回る着地
- 2027年3月期・目標2兆7,000億円(+11%) ── 国内金利の上昇が続く前提での目標。中期経営計画の財務目標も同日(5/15)に上方修正した
「目標」形式の読み方 ── 銀行業は経済情勢・相場環境の不確実性が大きいため、業績予想の代わりに純利益の目標値を開示する(短信に明記)。過去2期は目標比+1,000億〜+3,000億円上振れており、市場は「目標=保守的な下限」として扱い始めている——この「上振れ前提」が株価に入り始めていること自体が、逆に振れた時のリスクでもある。
知っておきたい3つのこと
- 1利益のエンジンは「利ざや」——金利と一心同体
貸出金利は市場金利に連動して上がり、預金金利の引き上げはそれより遅い。この差(利ざや)が国内の膨大な貸出・預金残高に掛かるため、利上げ1回ごとに利益の土台が持ち上がる。逆に利下げ局面では同じ理屈で利益が削られる——この対称性がこの銘柄の本質。
- 2Morgan Stanleyという「第二のエンジン」
リーマン危機の2008年に出資した米Morgan Stanleyの持分法投資損益が利益の重要な柱(11月の上方修正の主因のひとつ)。米国の市況・金利にも利益が連動するということであり、分散でもあり、米国発のショックの受け口でもある。
- 3注意点
①金利の逆回転——日銀が緩和方向に転じれば物語の前提ごと崩れる(最大リスク) ②景気後退時の与信費用——不況になれば貸倒引当金が利益を削る(銀行の宿命) ③目標形式——2.7兆円は予想でなく目標。市況次第で上にも下にも振れる ④株価は既に上場来高値圏・PER 15.8倍と、マイナス金利時代の物差し(7〜9倍)から大きく切り上がった水準にある。
この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)
日銀の利上げ路線が続く→
利ざやの拡大(四半期の業務純益)→
目標2.7兆円への進捗(8月上旬〜)→
配当96円+自社株買いの実行→
EPS約237円=PER 15.8倍の妥当性
この鎖のいちばん上(金利)が切れると、全部が連鎖的に崩れます。確認の場は日銀会合(次回7/30〜31)と四半期決算(引け後開示)。会社の実行力より政策の方向が上流にある——それがこの銘柄の構造です。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります。
成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1金利のある世界
日銀の利上げ路線(少なくとも現状維持)が続く
- 利ざや拡大が利益の第一エンジン。日銀会合・長期金利の水準・総裁発言がこの銘柄の一級材料
- 崩れるサイン:日銀が利下げ・緩和方向へ転換/長期金利の急低下/「利上げ打ち止め」が市場コンセンサスになる(業績より先に、株価のPERに来る)
前提 2信用コストの平穏
景気が急悪化せず、貸倒れ(与信費用)が暴れない
- 金利上昇は借り手の負担増でもある。倒産の増加は貸倒引当金として利益を直撃する——利上げの果実と副作用は同じ根から生える
- 崩れるサイン:四半期決算で与信関係費用の急増/国内外の景気後退入り/不動産など特定セクターの信用不安
前提 3米国とMorgan Stanley
米国市況が崩れず、持分法益が柱であり続ける
- Morgan Stanleyの業績(投資銀行・トレーディング)は米国の市況と金利に連動する。11月の上方修正の主因になったように、寄与は大きい
- 崩れるサイン:米国発の金融ショック・市況急悪化/持分法投資損益の急減/急激な円高(海外利益の目減り)
遠い脅威構造変化
「銀行という業態」への長期の問い
- フィンテック・ステーブルコインなど決済・送金の構造変化は、長期では銀行の手数料・預金基盤への問い。すぐ数字に出る話ではないが、預金の流出速度が変わる時代(スマホで即日移動)のリスク管理は新しいテーマ
- 国内人口の減少=国内貸出の長期的な伸びの天井。海外・アジア事業とグループの非銀行事業(証券・カード・リース)がその答えになれるかが、10年単位の勝負どころ
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いまの株価は割高か、割安か(物差しが切り上がった話)
PER=株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている状態です(銀行は業績「目標」形式のため、その時点の目標純利益を直近本決算の期中平均株数で割った換算EPSで計算)。
PERの推移(2025年5月の目標公表以降・日次)
2025-05 → 2026-07-24
計算:その日の終値 ÷(その時点で公表済みの目標純利益 ÷ 直近本決算の期中平均株式数)。目標2.0兆円(2025/5/15)→2.1兆円(11/14修正)→2.7兆円(2026/5/15)。開示はいずれも引け後のため翌営業日から分母に反映。
いま
PER 15.8倍
2026-07-24(終値ベース・目標2.7兆円の換算EPS約237円)
この1年強の中央値
13.6倍
およそ11〜17倍のレンジで推移
マイナス金利の時代
11.3〜17倍
「稼げない業種」としての定位置だった水準(参考・2010年代)
読み方 ── いまのPER 15.8倍は、マイナス金利時代の定位置(7〜9倍)から見れば大幅に切り上がった水準です。これは「金利ある世界では銀行の利益は構造的に増え続ける」という新しい前提を市場が受け入れた証拠——つまりこの株の割高・割安は、PERの数字そのものより「前提が生きているか」で決まります。過去2期は利益が目標を上回り続けたため、切り上がったPERが正当化されてきました。金利の方向が変わればこの物差しごと巻き戻る——それがこの銘柄の割安に見えない理由であり、リスクの形です。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの3,754円(PER 15.8倍)は、「日銀の利上げ路線が続き、目標2.7兆円を(例年どおり)上回って達成し、増配・自社株買いも実行される」という前提を織り込んだ値段です。上場来高値圏だけに、前提の揺らぎには敏感になっています。
崩れる合図──日銀の緩和転換・利上げ打ち止め観測/1Q決算(8月上旬)で目標への進捗が明確に弱い/与信費用の急増。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
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テクニカルと需給の現在地
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
下値の目安とサイン(日足75本)
〜2026-07-24
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
━ 青い線=25日線(3,427円)5月の決算以降ずっと上をキープ。いまの3,754円は線の+9.5%上=やや過熱気味の位置
━ 赤い点線=押し安値(3,411円・7/17)市場全体の急落日につけた直近の押し。ここを終値で割ると7月の急伸が「行き過ぎ」だったことになる
━ 灰色の点線=年初来安値(2,517円・1/5)今年の出発点。ここまでの下げは「金利の物語の崩壊」を意味する(現値から▼33%・強い警戒)
上値の節=なし(上場来高値圏)7/23の3,778円の上に過去の売り物(しこり)は存在しない。上値の節がない代わりに、materialが崩れた時の下値も節が薄いのが高値圏の性質
200日線は2,788円長期トレンドの物差し。大きく上に離れており、長期の上昇トレンドは明確(フル指標版で確認できます)
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
信用残(週次)と売買代金
2025-07 → 2026-07-24
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま2,725万株(7/17公表)——大きく見えるが、1日の出来高約4,300万株の0.7日分にすぎない。個人の信用取引がこの株の値段を動かす余地はほぼない
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)323万株・倍率8.4倍。これも規模として中立。この銘柄の需給の主役は海外投資家と機関の資金フローで、信用残は参考程度
棒グラフ=売買代金1日1,000億円超(直近60日平均・約1,332億円)と国内最大級の流動性。時価総額 約42兆円——どれだけ大きな注文でも吸収する板の厚さが、機関投資家の「銀行セクターの入り口」であり続ける理由
まとめ ── トレンドは上場来高値圏で明確に上向き。ただし25日線からの乖離はやや過熱気味で、需給よりも7/30〜31の日銀会合という「材料」が次の方向を決める局面。全体の結論は最終章「総合判断」へ。
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総合判断と、今後の注目点
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:純利益過去最高・目標2.7兆円・増配96円と、金利上昇の果実が実績で出続けている/需給:信用残は無視できる規模・主役は金利と海外資金/テクニカル:上場来高値圏・25日線からやや過熱。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。
✅ 続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)
- 7/30〜31の日銀会合で利上げ路線の継続が確認され、翌営業日に崩れない
- 8月上旬の1Q決算で目標2.7兆円への進捗が25%前後に乗っている(過去2期は上振れ着地が続いた)
- 与信関係費用が平穏のまま(貸倒れの急増がない)
- 押し安値3,411円(7/17)を保ったまま高値を更新し続ける
⚠ 調整・警戒のサイン(下向き)
- 日銀の緩和転換・利上げ打ち止め観測——この銘柄の物語の心臓部が止まる(最大リスク・業績より先に株価に来る)
- 押し安値3,411円(7/17)を終値で割り込む——7月の急伸の巻き戻し入り
- 1Q決算で進捗の弱さ・与信費用の増加が見える
- 米国市況の急悪化(Morgan Stanley経由で利益直撃)・急激な円高
- 年初来安値2,517円(1/5)方向への深押しは「物語の崩壊」シグナル(強い警戒)
📅 次に見るカレンダー
- 7/30〜31:日銀金融政策決定会合──この銘柄の最重要イベント。結果は31日昼ごろ・総裁会見15:30
- 8月上旬:第1四半期決算──目標2.7兆円への初回進捗(過去2年は8/4・8/7の引け後開示→反応は翌営業日。確定日は会社発表で更新)
- 随時:長期金利の水準・日銀関係者の発言・米金利(FOMC 7/30)
- 11月中旬:第2四半期決算(前年は11/14)——過去2年はこのタイミングで目標上方修正・増配が出た「本命の中間決算」
- 毎営業日:自社株買いの進捗(月初に取得状況を開示)
🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 三菱UFJ(8306)
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出典・参考資料
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
出典をすべて見る(タップで開く)
三菱UFJ FGの適時開示(一次情報)
- 2025/5/15 2025年3月期 決算短信──純利益1兆8,629億円・2026年3月期目標2.0兆円(「業績予想に代えて目標値を記載」の形式説明含む)の出典
- 2025/11/14 通期業績目標の修正および期末配当予想の修正──目標2.0兆→2.1兆円・修正理由(顧客部門の業務純益+500億円・Morgan Stanley持分法投資損益の増加等で経常+1,500億円)・増配74円の出典
- 2025/11/14 自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ
- 2026/5/15 2026年3月期 決算短信──純利益2兆4,272億円(過去最高)・EPS 213.17円・2027年3月期目標2.7兆円の出典
- 2026/5/15 中期経営計画における財務目標の修正について/剰余金の配当に関するお知らせ(96円予想)/自己株式取得に係る事項の決定(上限4,500万株・1,000億円・発行済の0.40%・2026/5/18〜6/30)
- 毎月初 自己株式の取得状況に関するお知らせ──取得→消却サイクルの進捗の出典
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 公式サイト(決算短信・開示資料の原本は公式サイトIRページから)
データの出典
- 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX・銀行業種指数:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース
- PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(銀行の「目標」形式に伴うEPS換算方法は第3章に記載)
- マイナス金利時代のPER・PBR水準:当時の市場データに基づく参考値
- 開示の時刻(16:15等):適時開示の公表時刻の実データ(「翌営業日に反応」の判定に使用)
決算数値は適時開示の実数。目標値は会社公表の目標であり、業績予想ではありません。