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東海旅客鉄道(9022)株価分析 陸運業
東海道新幹線という「世界屈指の収益インフラ」(営業利益率41%)を持ちながら、株価はコロナ前の高値をまだ▼26%下回る。 万博の年に過去最高益を出した直後、来期▼19%減益予想 で1日▼8%——そして背中には総工事費11兆円のリニア 。 「最高益なのに安い」の理由と、PER8倍の意味を、この1ページで整理する。
東海旅客鉄道の今と見どころ 📊 株価データ:2026-07-24終値 ✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新) 次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
東海道新幹線(東京〜新大阪)を運行する鉄道会社。この路線1本の収益力が突出しており、営業利益率41% は世界の鉄道でも屈指。前期は万博輸送と「のぞみ」最大13本ダイヤで売上2兆62億円・営業8,302億円・純利5,529億円と全項目過去最高 だった。
ところが株価はコロナ前の高値5,251円(2019年)をまだ▼26%下回る 。理由は2つ——①来期は万博効果の剥落と労務費上昇で▼19%減益予想 (4/30に1日▼8%で反応済み) ②背中にリニア中央新幹線・総工事費11兆円 (2025年10月に7.04兆→11.0兆円へ増額)という巨大な将来負担を背負っていること。
いまのPERは8.3倍 と大型優良株として際立って低い。焦点は7月末の1Q決算=減益予想の初回答え合わせ 。株価の物差しは4/30の急落起点4,069円と、年初来安値3,202円(6/22)。
いまの状態
業績 FY26実績=全項目過去最高(万博の追い風込み)。FY27予想=売上▼0.7%・営業▼15.4%・純利▼19.1%——万博剥落+労務費上昇と会社が説明
株価の流れ 2/19高値4,830円→4/30決算ショック▼8%→6/22年初来安値3,202円(▼34%)→7月に3,892円まで回復中
需給 信用買い残88万株=出来高の0.3日分と極めて軽い。自社株買い(取得→消却)を毎期継続し、株数は減り続けている
割安度 予想PER 8.3倍・配当32円(利回り0.8%)。安さの正体はリニア11兆円の不確実性の値段 ——ここの評価がこの銘柄の核心
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)
📌 今週の要点: このページは今回が開設。7/7の静岡県知事によるリニア静岡工区の着工容認 を起点に月間+12%ペースの回復が続き、7/24の3,892円で4月末に開けた窓(4,069円)の窓埋めまであと4.5% に迫った。7/22には自社株買いの取得終了・消却も発表。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。
① 新しく分かったこと
➡️ 7/29ごろの1Q決算が目前——「減益予想の初回答え合わせ」の週になる
過去2年の1Qは7/29・7/30の15:30開示。会社予想(通期▼19%減益)に対して、万博剥落後の実際の輸送需要がどう出るかの初回データ。
→ 解釈:4/30の急落は「予想の数字」への反応だった。今度は「実績の数字」で、織り込みの過不足が判定される。
② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし (開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。
③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)
(a) 7月末の1Q決算 (過去2年は7/29-30・15:30開示)で、運輸収入の前年比が「万博剥落」の想定内に収まっているか
(b) 4/30の急落起点4,069円を出来高を伴って回復できるか
(c) 年初来安値3,202円(6/22)を終値で維持(下値の目安)
④ 📅 次に見るもの ——7月末 1Q決算(引け後開示→反応は翌営業日) ・7/30 FOMC/日銀・月次の輸送実績。
📅 これからの予定 — 東海旅客鉄道(9022)に関連するもの
未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。
7月末ごろ 東海旅客鉄道(9022) 1Q決算発表(予測日) 自社・予測 過去2年は7/29・7/30の15:30(引け後)開示=反応は翌営業日。会社が正式発表したら確定日に置き換えます
7/30(木) ★FOMC(米金融政策) 結果発表 市場全体 日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見 東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木) ★日銀 金融政策決定会合 市場全体 結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30。長期債務4.8兆円を抱えるこの会社には金利も重要材料 東京が反応する日: 7/31(金)
8/7(金) ★米雇用統計(7月分) 市場全体 日本時間 21:30 東京が反応する日: 8/10(月)
8/12(水) ★米CPI(消費者物価・7月分) 市場全体 日本時間 21:30 東京が反応する日: 8/13(木)
速報 直近の動き — 東海旅客鉄道(9022)に関連するかもしれないニュース
終値(調整後)
3,892円
2026-07-24(前日比+1.6%・TOPIX騰落率との差+2.7pt)
コロナ前高値からの下落
▼25.9%
高値5,251円(2019/04/01・取引時間中・分割調整後)から7年
直近2日の値動き
7/23+0.9% 7/24+1.6%
直近2営業日の前日比
信用倍率
2.4倍
買い残88万株/売り残36万株(7/17公表・週次)
3つの視点で見る(2026-07-24時点)
ファンダメンタルズ
前期は売上2兆62億円・営業8,302億円(率41%)・純利5,529億円と全項目過去最高。 ただし万博輸送の追い風込みで、来期は営業▼15%・純利▼19%の減益予想 (万博剥落+労務費上昇と会社が説明)。実力の水準は「万博前のFY25(営業7,028億円)と予想(7,020億円)の間」=減益といっても万博前の実力に戻るだけ 、という読み方が数字上は成り立つ。リニアは総工事費11.0兆円(10月に+4兆円増額)だが、会社は「健全経営と安定配当を堅持できることを確認」と明記。
需給
信用買い残88万株=1日の出来高(約300万株)の0.3日分と極めて軽い。 自社株買い(取得→消却)を毎期回しており、7/22にも直近枠の取得終了・消却を発表。時価総額約3.9兆円の大型株として、需給の重しは見当たらない——動かすのは業績と金利(長期債務4.8兆円のコスト)。
テクニカル
4/30の決算ショック(▼8%)→6/22の年初来安値3,202円で底→7月は月間+12%ペースの回復。 いまの3,892円は25日線(3,576円)の+8.8%上。確認は ①4/30の急落起点4,069円の回復 ②7月末の1Q決算 ③3,202円を守るか で。
※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。
1
なぜ、世界最強クラスの鉄道会社が「コロナ前より26%安い」のか
業績はコロナ前を超えたのに、株価は超えていません。コロナの傷 、リニア11兆円という将来負担 、万博の山と谷 ——3つの重なりを順に見ると、いまの値段の理由が分かります 。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。
土台 最強の路線
東海道新幹線——1本の路線が生む営業利益率41% 構造的な強さ
東京・名古屋・大阪という日本の三大都市圏を結ぶ東海道新幹線は、人口・経済が集中する区間を独占的に走る、世界でも例のない収益インフラ 。運輸業の営業利益率41%は世界の鉄道会社でも突出している
2019年には株価5,251円(分割調整後・2008年以降の最高値)まで買われ、「日本で最も安定した優良株」の一角だった
この「圧倒的な本業」がすべての土台。以下の重石は、この土台の上に乗っている
きっかけ コロナの傷
2020年、乗客が消えた——2,476円まで▼53% 6年経っても未回復
出張・旅行の蒸発で新幹線の乗客が激減。2020年に2,476円 まで売られ、以後6年間、株価は2,700〜4,800円のレンジを往復してきた
業績は回復した(FY26は過去最高)が、株価がコロナ前を超えられない——「リモート会議で出張は構造的に減った」という懸念 が長く上値を抑えた
実際には「のぞみ」最大13本ダイヤ・EXサービス・インバウンドで輸送需要は回復。懸念と実績のギャップ がこの銘柄の割安の一因になっている
二の矢 リニア11兆円
2025年10月、総工事費が7.04兆円→11.0兆円へ +4兆円の増額
品川・名古屋間で建設中のリニア中央新幹線について、物価高騰・難工事への対応で総工事費を7.04兆円から11.0兆円へ増額 すると2025年10月に発表——株価の上値が重い最大の構造要因
会社は「一定の前提で試算した結果、工事資金を確保し、健全経営と安定配当を堅持できることを確認 」と明記。長期債務は4兆7,684億円(前期末から微減)と、増やさずに耐えている
工事は進んでいる——山梨県駅の着工で品川・名古屋間の全駅が工事入り 、大深度地下のシールド掘進、伊那山地トンネルの本坑貫通など。そして2026年7月7日、最難関だった静岡工区について静岡県知事が着工を容認 (県議会で表明・年内着工を目指すと報道)——全線着工へ最大の関門が開いた。開業は2036年以降の見通しで、約10年の難工事という時間の不確実性は残る
三の矢 万博の山
2026年3月期、万博輸送で全項目過去最高 営業8,302億円
大阪・関西万博(2025年)への輸送を「のぞみ」最大13本/時ダイヤで完遂。売上2兆62億円・営業8,302億円・純利5,529億円と全項目で過去最高
株価も2/19に4,830円 (取引時間中)と2020年以降の高値を更新。「コロナ前超え」まであと8%に迫った
ただしこの最高益は万博という一回きりの追い風込み ——山が高いほど、翌年の谷が数字として大きく見える構図が、次の急落の伏線になった
増幅 減益予想ショック
4/30、▼8%——「▼19%減益予想」の数字が独り歩き 6/22の3,202円まで▼34%
4/28(15:30・引け後)の本決算で、来期予想として売上▼0.7%・営業▼15.4%・純利▼19.1% を提示。翌営業日4/30は▼8.0% (TOPIXは▼1.2%)と、決算翌日として近年最大級の下げになった
減益の説明は「万博の増収効果がなくなること+労務費の上昇 」(短信明記)。つまり実力の悪化ではなく一回きりの追い風の剥落が主因 ——だが市場は数字で反応した
売りは6/22の3,202円(▼34%) まで続いた。この水準は予想PER6.8倍・配当と自社株買いを考えると、大型優良株として異例の安さだった
たしかめ 固有か地合いか
下げは固有、戻りは地合いとの合わせ技 TOPIXと比較
4/30の▼8.0%は固有 (TOPIX▼1.2%)——自社の減益予想への反応。イベントの因果がはっきりしている
7月の回復は「静岡容認」と地合いの合わせ技 ——7/7の+4.0%(TOPIX▼1.0%の日の逆行高・出来高2.5倍)は静岡県知事のリニア静岡工区着工容認 への固有の反応。加えて半導体・AI関連の調整で出遅れ大型株に資金が回るローテーション も月間+12%を後押しした
この銘柄は普段の値動きが小さく(6年間レンジ)、動く時は「決算」「リニア」「金利」のどれか 。原因の候補が3つに絞れているのは、分析する側には都合がいい
いまの位置
「最高益なのに安い」の正体は、万博の山と谷の読み違い恐怖+リニア11兆円の不確実性 です。6/22の3,202円で売りが枯れ、7月は出遅れ大型株への資金ローテーション も追い風に3,892円まで回復——4/30の急落起点4,069円まであと4.5%。次の答えは7月末の1Q決算——「減益予想の初回答え合わせ」です 。
順番に注意 — この銘柄は「山と谷の読み違いが値段を作る」
① 開示は15:30、反応は翌営業日 決算は15:30(引け後)が定例です。4/28の本決算の▼8%は翌営業日4/30に出ました。当日の終値だけ見ると読み違えます。
② 「▼19%減益」の中身は万博の剥落 FY27予想の営業7,020億円は、万博前のFY25実績(7,028億円)とほぼ同じ 。つまり「実力が2割落ちる」のではなく「一回きりの追い風が消えて、元の(高い)実力に戻る」予想です。減益率の数字だけで判断すると、この会社の実力を読み違えます。
③ リニアは「毎年の費用」ではなく「長期の資金繰り」の話 総工事費11兆円は今後10年以上かけて投じる建設投資で、当期利益を直接▼11兆円するものではありません。見るべきは長期債務残高(現在4.8兆円・前期末から微減)と、会社の「健全経営と安定配当を堅持」の約束が守られているか 。増額の再発表が出た時が、このページの見立ての見直し時です。
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会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)
短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。東海旅客鉄道(東海旅客鉄道)は東海道新幹線 を中核に、在来線(東海エリア)、流通(ジェイアール名古屋タカシマヤ)、不動産(駅ビル・高架下)、ホテル・旅行などを展開。リニア中央新幹線(品川・名古屋間)を自己負担で建設中 。東証プライム上場・3月決算。数字の出どころは決算短信の実数です。
売上高
2兆62億
→ 予想 1兆9,930億
2026年3月期実績(過去最高) → 2027年3月期会社予想(▼0.7%)
営業利益
8,302億
→ 予想 7,020億
実績・率41% → 予想▼15.4%(万博前のFY25実績7,028億とほぼ同水準)
純利益
5,529億
→ 予想 4,470億
実績EPS 570.84円 → 予想EPS 467.98円(▼19.1%)
配当
32円
→ 予想 32円
利回り約0.8%+自社株買い(取得→消却)を毎期継続
直近3年の歩みと、その中身(営業利益)
2025年3月期 7,028億円 ── コロナからの回復が完成した期。出張・インバウンド・EXサービスで輸送需要が戻り、「万博前の実力値」がここ
2026年3月期 8,302億円(+18%・過去最高) ── 大阪・関西万博への輸送を「のぞみ」最大13本/時で完遂。流通・不動産・ホテルも増益で全セグメント好調
2027年3月期・予想 7,020億円(▼15.4%) ── 万博効果の剥落+労務費上昇。数字の水準は万博前の実力値とほぼ同じ ——「実力が落ちる」予想ではない
リニアの資金繰りの読み方 ── 総工事費11.0兆円(2025年10月に7.04兆円から増額)は10年超の建設投資。財源は営業キャッシュフロー(前期7,481億円)と借入で、長期債務残高は4兆7,684億円と前期末から微減 =「稼ぎながら建てる」が成立している。会社は増額発表と同時に「工事資金を確保し、健全経営と安定配当を堅持できることを確認」と明記した(各数値は決算短信より。下の出典参照)。
知っておきたい3つのこと
1 収益の心臓は東海道新幹線——「1本足」の強さと脆さ 運輸業が売上の約7割・利益の大半を稼ぐ。人口集中区間の独占という参入障壁は世界最強クラス だが、裏返せば大地震・パンデミック・出張構造の変化などこの1本に効くリスクがそのまま全社に効く 。リニアは「第二の足」を作る投資でもある。
2 「安定配当・自社株買い」を約束として明言している リニア増額の発表文でも「安定配当を堅持」を確認。自社株買いは取得→枠拡大→消却を毎期回しており(7/22に直近枠の取得終了・消却)、株数は静かに減り続けている 。派手さはないが、還元の約束と実行が一致し続けているのは大型株として重要な事実。
3 注意点 ①リニアの再増額・工期遅延リスク ——静岡工区など未着工区間が残る ②金利上昇 ——長期債務4.8兆円の調達コストに直結(日銀の利上げはこの会社には向かい風の面もある) ③南海トラフ地震等の災害リスク ——東海道新幹線の地震対策・大規模改修は継続投資中 ④出張需要の構造変化——現状は杞憂に終わっているが、長期の監視項目。
この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)
東海道新幹線の輸送需要 →
四半期の運輸収入(7月末〜) →
営業7,020億円の達成 →
リニア資金と配当の両立 →
EPS 467.98円=PER 8.3倍の妥当性
この鎖のどこかが切れると、下の「前提」が崩れます 。確認の場は四半期決算 (15:30開示)とリニア関連の発表 。輸送需要は月次でも追える——鎖の弱点は「リニアの追加負担」と「金利」に集中している のがこの銘柄の特徴です。
その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く
短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります 。
成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1 輸送需要の維持
東海道新幹線の需要が「万博前の水準」を保つ
FY27予想(営業7,020億円)は万博前の実力値とほぼ同じ=需要が平常運転なら達成できる設計 。出張・インバウンド・EXサービスの伸びが上振れ余地
崩れるサイン :1Q・2Qの運輸収入が万博剥落の想定を超えて弱い/出張需要の再縮小/インバウンドの急減(地政学・為替)
前提 2 リニアの資金規律
「稼ぎながら建てる」が崩れない——再増額なし・債務規律の維持
総工事費11兆円・長期債務4.8兆円(微減)・営業CF7,481億円のバランスが現在の均衡。「健全経営と安定配当の堅持」が会社の約束
崩れるサイン :総工事費の再増額発表/長期債務の増加トレンド入り/配当・自社株買いの縮小(約束の後退=最も重いシグナル)
前提 3 金利と災害
金利の急騰と大規模災害が起きない
長期債務4.8兆円の会社にとって金利上昇は調達コスト増。日銀の利上げ局面では銀行株と逆向きの風を受ける。地震対策・大規模改修は継続投資で備えている
崩れるサイン :長期金利の急騰/南海トラフ等の大規模災害・長期運休/大規模改修費の想定超過
遠い脅威 構造変化
「移動」そのものの構造変化と、リニア開業後の世界
リモートワーク・バーチャル会議は現状「杞憂」だが、10年単位では出張需要の天井を決める変数。人口減少も国内輸送の長期の重し
リニア開業(品川・名古屋)が実現すれば、所要40分・大動脈の二重化という他社が絶対に複製できない資産 が完成する——遠い脅威の裏側に、遠い果実もある
3
いまの株価は割高か、割安か(PER8倍の意味)
PER =株価が「1年分の利益」の何倍まで買われているか。数字が大きいほど、期待が多く乗っている 状態です(その時点で公表されていた会社予想の1株利益で計算・2023年10月の1:5分割は調整済み)。
PERの推移(直近2年・日次)
2024-05 → 2026-07-24
計算:その日の終値 ÷ その時点で公表済みの会社予想1株利益。開示はいずれも15:30(引け後)のため翌営業日から分母に反映。2026/4/28の本決算でEPS予想が517.98円→467.98円に切り替わった(減益予想)。
いま
PER 8.3倍
2026-07-24(終値ベース・会社予想EPS 467.98円)
直近2年の中央値
8.1倍
およそ7〜10倍のレンジで推移
6/22の安値時
6.8倍
3,202円・予想EPS 467.98円ベース——大型優良株として異例の水準だった
読み方 ── 東海旅客鉄道のPERは恒常的に一桁 で、これは同じ営業利益率の会社としては世界的に見ても低い水準です。理由は明確で、①リニア11兆円という将来負担の不確実性 ②万博の山谷で利益がブレて見えること ③配当利回り0.8%と、いま受け取れる還元が薄いこと 。裏を返せば、リニアの不確実性が晴れる材料(工事進捗・資金計画の確認)が出るたびに、この低いPERは「安すぎた」と再評価される余地を持っています。いまの8.3倍は6月の6.8倍からは戻した位置——「不確実性の値段」がいくらが適正か、市場がまだ答えを出せていない銘柄 です。
いまの株価に織り込まれている前提
いまの3,892円(予想PER 8.3倍)は、「減益予想(万博剥落)は想定内で、リニアの資金繰りと配当は守られる」という前提を、かなり慎重に織り込んだ値段 です。強気の期待はほぼ乗っていません。
崩れる合図 ──7月末の1Q決算で運輸収入が想定を超えて弱い/リニア総工事費の再増額/配当・自社株買い方針の後退。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。
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テクニカルと需給の現在地
下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。
下値の目安とサイン(日足75本)
〜2026-07-24
↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。
━ 青い線 =25日線(3,576円)6月末に上抜けて以降、線の上をキープ。いまの3,892円は線の+8.8%上
━ 赤い点線 =年初来安値(3,202円・6/22)減益予想ショックの売りが枯れた場所=当面の下値の目安。ここを割ると想定シナリオの見直し
上の節① 4,069円(4/28終値)=窓埋めの目標 4/30に開けた下の窓(4,069→3,744円)を埋めにいく動き。急落で開いた窓は売買の空白帯=戻りの通り道になりやすく、信用残の軽さも追い風。埋め切れば「減益予想の織り込み完了」が確定に近づく——いまあと4.5%
上の節② 4,830円(2/19・2026年高値・取引時間中) 万博決算への期待で買われた高値。その上は2019年のコロナ前高値5,251円(分割調整後)まで節が薄い
200日線は4,072円 長期トレンドの物差し。いまは線を回復した直後で、6年レンジの中段(フル指標版 で確認できます)
信用残の1年
信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移
信用残(週次)と売買代金
2025-07 → 2026-07-17
左目盛:万株(線)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。
━ 赤い線 =信用買い残(あとで売る予約)いま88万株 (7/17公表)=1日の出来高の0.3日分。個人の信用需給がこの株を動かす余地はほぼない
━ 青い線 =信用売り残(あとで買い戻す予約)36万株・倍率2.4倍=中立。需給の主役は機関投資家と、会社自身の自社株買い(毎月の取得状況開示で確認できる)
棒グラフ=売買代金 1日平均約117億円 (直近60日)。時価総額 約3.9兆円の大型株として流動性は十分
まとめ ── 6/22の3,202円で底を打ち、25日線の上を回復して戻り足。上には4,069円(決算ショック起点)→4,830円(2月高値)→5,251円(コロナ前高値)と節が階段状に並ぶ。需給は軽く、動くとすれば材料(1Q決算・リニア・金利)から 。全体の結論は最終章「総合判断」 へ。
5
総合判断と、今後の注目点
ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ :営業利益率41%の本業は健在。減益予想の中身は万博剥落で、実力は万博前の水準に戻るだけ。重石はリニア11兆円の不確実性/需給 :信用は無視できる規模・自社株買い継続/テクニカル :6/22の底から戻り足・4,069円の節が目前。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」 を置いておきます。
✅ 回復が「本物」と確認できるサイン(上向き)
7月末の1Q決算 で、運輸収入の前年比が「万博剥落の想定内」に収まっている(実力悪化ではないことの確認)
4/30の急落起点4,069円を出来高を伴って回復 ——減益予想の織り込み完了の確定
リニア関連で資金計画どおりの進捗 (再増額なし・債務規律の維持)
インバウンド・出張需要の月次データが堅調
⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)
年初来安値3,202円(6/22)を終値で割り込む ——減益の織り込みでは説明できない下げ=新しい悪材料を疑う
1Q決算で運輸収入が想定を超えて弱い(万博剥落+αの需要減)
リニア総工事費の再増額・工期の大幅遅延の発表
長期金利の急騰 ——債務4.8兆円の調達コストと、株式市場でのディフェンシブ株の相対的な魅力低下の両面
配当・自社株買い方針の後退(「安定配当堅持」の約束が揺らぐ=最も重いシグナル)
📅 次に見るカレンダー
7月末 :第1四半期決算──減益予想の初回答え合わせ(過去2年は7/29・30の15:30開示→反応は翌営業日。確定日は会社発表で更新)
7/30〜31 :日銀会合——長期債務4.8兆円の会社にとって金利は重要材料(銀行株とは逆向きの感応度)
随時 :リニア中央新幹線の進捗・静岡工区関連の報道・総工事費に関する発表
10月末 :第2四半期決算(前年は10/29)——前年はこのタイミングで通期上方修正が出た
毎月初 :自社株買いの取得状況
🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — 東海旅客鉄道(9022)
6
出典・参考資料
このページの「なぜ」は、以下の適時開示と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。
出典をすべて見る(タップで開く)
東海旅客鉄道の適時開示(一次情報)
2025/4/30 2025年3月期 決算短信──営業7,028億円(万博前の実力値)・2026年3月期予想の出典
2025/10/29 2026年3月期 第2四半期決算短信──通期予想の上方修正(EPS 493.58円)/自己株式の取得枠拡大および消却に関するお知らせ
2026/4/28 2026年3月期 決算短信──全項目過去最高(売上2兆62億・営業8,302億・純利5,529億)・FY27予想(営業7,020億・純利4,470億・▼19.1%)・減益理由(万博の増収効果の剥落+労務費上昇)・リニア総工事費7.04兆→11.0兆円と「工事資金を確保し健全経営と安定配当を堅持できることを確認」の記載・長期債務4兆7,684億円の出典
2026/4/28 自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ
2026/7/22 自己株式の取得状況および取得終了ならびに自己株式の消却に関するお知らせ
東海旅客鉄道(JR東海) 公式サイト(決算短信・開示資料の原本は公式サイトIRページから)
データの出典
株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価は2023/10の1:5分割を調整済み)
PER・移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
開示の時刻(15:30等):適時開示の公表時刻の実データ(「翌営業日に反応」の判定に使用)
決算数値は適時開示の実数。リニア関連の記載は会社開示の記述に基づきます。