銘柄レポート🔖 毎週土曜更新

ソフトバンクグループ(9984)株価分析 情報・通信業

純利益5兆円——ただしその中身は事業の稼ぎではなく、アーム・OpenAIなど投資先の「評価益」。だからこの会社はPERでは測れない。物差しはNAV(保有資産の時価から負債を引いた価値)=1株あたり7,029円。6/2の高値9,074円は3月末公表NAVとの単純比較で約3割上回る例外的な「プレミアム」で、いまの5,500円は▼22%の割引——例外的なプレミアムは解消したが、歴史的な常態(3〜6割引)と比べればまだ割引の浅い、楽観寄りの位置にある。
AI相場の感情がそのまま値段になる株を、どの物差しで読むか——この1ページで整理する。

ソフトバンクグループの今と見どころ📊 株価データ:2026-07-24終値
✍ 見立て・本文:2026-07-24執筆(週1+イベント時更新)
次回の本文更新:8/1(土)ごろ
30秒だけの人へ
  • 孫正義氏率いる世界最大級のAI投資会社。半導体設計のアーム(約87%保有)を中核に、OpenAI(追加出資完了後は累計646億ドル・持分約13%の見込み)、ビジョン・ファンドの投資群を抱える。前期の純利益は5兆22億円(過去最高・前期の4.3倍)——ただしその大半は投資先の評価益で、毎期大きく振れる(2年前は赤字だった)。
  • だからこの株の物差しはPERでなくNAV=1株あたり7,029円(2026年3月末・会社公表)。株価は年初来安値3,365円(3/23)→OpenAIのIPO報道でストップ高(5/21+19.8%)→6/2高値9,074円で時価総額トヨタ超え——この頂点は3月末公表NAVを約3割上回るプレミアムだった。いまは▼39%の5,500円=NAV比▼22%の割引(歴史的にはこちらが常態)。
  • 焦点は8/6(木)の1Q決算(NAV・LTVの更新)と、OpenAI IPOの帰趨=未上場最大の評価に市場の値段がつくか。株価の物差しは25日線(6,169円)・直近安値5,191円(7/17)・1株NAV 7,029円。
いまの状態
業績純利益5兆22億(過去最高)=主にアーム・OpenAI関連の評価益。売上7.8兆。会社は業績予想を公表しない方針(投資会社のため) 株価の流れ3/23安値3,365円→6/2高値9,074円(2.5ヶ月で2.7倍・時価総額トヨタ超え)→7/17安値5,191円(▼43%)→±7%級の乱高下 需給信用買い残3,735万株(分割換算)=出来高の0.7日分。売買代金は連日国内トップ級で、日本のAI相場の感情がそのまま流れ込む 割安度NAV 7,029円比▼22%の割引。LTV(純負債÷保有資産)17%と財務規律は保たれている(方針:平時25%未満)
読みたいところへ
📝 今週なにが変わったか (初回・毎週土曜に追記)

📌 今週の要点:このページは今回が開設。市場全体が急落した7/17(TOPIX▼2.7%)に▼9.0%の5,191円まで売られ、高値からの下げは▼43%に。翌週も7/23+3.8%→7/24▼7.1%と±7%級の日が交互に来る乱高下のまま、5,500円で週を終えた。この欄には毎週土曜、変化と答え合わせを追記していく。

① 新しく分かったこと

➡️ 「プレミアム」が剥げ、歴史的な常態(NAV割引)へ戻った
6/2の高値9,074円は3月末公表の1株NAV(7,029円)との単純比較で約3割上回る、過去レンジから外れた例外的な値段だった。いまの5,500円はNAVに対して▼22%の割引で、この会社の長い歴史では「割引がある状態」がむしろ普通。
→ 解釈:ここから先の争点は株価でなくNAVの中身——アームの株価とOpenAIの評価額が動けば、物差し(7,029円)そのものが動く。OpenAIのIPOが実現すれば、未上場ゆえに議論の余地があった評価に市場の値段がつく。

② 見立ては変わったか → 🟢 変更なし(開設初回のため、見立ての起点はページ本文の通り)。

③ 🔒 確認条件(きょうから凍結・次回更新で答え合わせ)

(a) 8/6(木)の1Q決算(会社発表の確定日・15:30開示=反応は翌営業日8/7から)で、NAV・LTVの最新値と投資損益の方向
(b) 直近安値5,191円(7/17)を終値で維持できるか
(c) 6,500円台(7/10戻り高値6,556円)を出来高を伴って回復できるか

④ 📅 次に見るもの——8/6(木) 1Q決算・OpenAIのIPO続報・米アーム株価・8月下旬 NVIDIA決算。

📅 これからの予定 — ソフトバンクグループ(9984)に関連するもの

未来のことで確定している数少ない事実=「いつ・何が出るか」。自社の予定だけでなく、市場全体の経済イベントもここに出ます。日付はすべて日本時間・日をタップすると詳細が表示されます。

7/30(木)★FOMC(米金融政策) 結果発表市場全体
日本時間 3:00 結果発表・3:30 議長会見。金利はAI資産の評価と借入コストの両方に効く
東京が反応する日: 7/30(木)
7/30(木)★日銀 金融政策決定会合市場全体
結果は7/31昼ごろ・総裁会見15:30
東京が反応する日: 7/31(金)
8/6(木)ソフトバンクグループ(9984) 1Q決算発表自社・確定
会社発表の確定日。15:30開示・16:30から説明会=株価の反応は翌営業日8/7から。NAV・LTVの最新値が更新される定点
8/7(金)★米雇用統計(7月分)市場全体
日本時間 21:30
東京が反応する日: 8/10(月)
随時OpenAIのIPO続報・米アーム(ARM)株価関連シグナル
NAVの中身を動かす2大変数。5/21のストップ高はOpenAI IPO報道が作った。アームは約87%保有の最大資産
8月下旬米NVIDIA 決算(予測)関連・予測
AI相場全体の温度を決める本尊。この株は「日本のAI感情指数」としてその写し絵になる
速報直近の動き — ソフトバンクグループ(9984)に関連するかもしれないニュース
読み込み中…
株価と出来事(過去75営業日・調整後終値) 2026-04-06 → 07-24

丸い番号をタップすると、その出来事の「なぜ」に飛びます。

IR(会社発表) 業界・市場ニュース 思惑・材料ニュース 時系列の補足
出来事のくわしい一覧(9件・タップで開く)

出典:株価・信用データはマーケットデータ、市場のできごとは適時開示ほか公開情報。金額は調整後終値。チャート:TradingView Lightweight Charts™

終値(調整後)
5,500円
2026-07-24(前日比▼7.1%・TOPIX騰落率との差▼6.0pt)
上場来高値からの下落
▼39.4%
高値9,074円(2026/06/02・取引時間中)から
直近2日の値動き
7/23+3.8%7/24▼7.1%
直近2営業日の前日比
NAVに対する割引
▼22%
1株NAV 7,029円(2026年3月末・会社公表)に対して

3つの視点で見る(2026-07-24時点)

ファンダメンタルズ

純利益5兆22億円は過去最高。ただし中身は投資の評価益で、2年前は赤字——利益の絶対額でこの株は読めない。物差しはNAV 40.1兆円(1株7,029円)とLTV 17%。保有資産48.26兆円の中核はアーム(約87%保有・上場株として毎日値段がつく)と、OpenAI(追加出資完了後は約13%・未上場で四半期ごとの評価)。財務規律(LTV平時25%未満)は守られている。ただし危うさの起点は「資産の評価」——資産価格の下落はLTV上昇・調達条件の悪化と連鎖する(借金と資産は同じ循環の表裏)

需給

売買代金は連日国内トップ級・信用買い残3,735万株(分割換算)。2025年末の1:4分割で個人が入りやすくなり、日本のAI相場の感情がこの1銘柄に集約される構造。ストップ高(5/21)と▼12.5%(6/26)が同じ月に起きる乱高下は、その裏返し。

テクニカル

3/23安値3,365円→6/2高値9,074円(2.7倍)→7/17安値5,191円(▼43%)という、日本の大型株では際立つ振れ幅。いまの5,500円は25日線(6,169円)の-10.8%下。確認は ①直近安値5,191円(7/17)を守るか ②6,500円台の回復 ③8/6(木)の1Q決算 で。

※「上がる/下がる」の断定はしません。いまの状態の要約と、確認すべき条件です。詳しくは以下の各章で。

1

なぜ、2.5ヶ月で2.7倍になり、▼43%沈んだのか

3,365円→9,074円→5,191円。日本最大級の企業とは思えない値動きの正体は、「AI への期待」を値段に変換する装置としてのこの会社の構造にあります。層ごとに分解します。表はいちばん上が根っこ(土台)で、下へ行くほど新しい話になります。

土台投資会社という構造

事業でなく「資産」の会社——利益もPERも当てにならない 構造的な性質

  • ソフトバンクグループの実体は巨大な投資ポートフォリオ。通信のソフトバンク(子会社)より、アーム・OpenAI・ビジョン・ファンドの投資群が価値の大半を占める
  • 純利益は投資先の評価次第で赤字2,277億円(2024年3月期)→5兆円(2026年3月期)まで振れる。だから会社自身も業績予想を出さない
  • 読むべき数字は2つだけ——NAV(保有資産の時価−負債)とLTV(負債÷保有資産)。株価はNAVからの割引・上乗せ幅で測る
きっかけAI総本山の名乗り

アーム87%+OpenAI 13%(追加出資完了後)——AIの中枢を両取りするポートフォリオ 評価益5兆円の源泉

  • 最大資産のアーム(約87%保有)はAI半導体設計の中核企業として米国上場。OpenAIへは2026年2月に総額300億ドルの追加出資を契約——4/1・7/1に各100億ドルを実行済み、第3弾100億ドルは10/1予定で、完了後の累計投資額は646億ドル・持分は約13%となる見込みの筆頭級の株主
  • OpenAIの企業価値は2024年の約1,500億ドル→2026年に約7,300億ドル規模へ拡大したとされ、この未実現の評価益が純利益5兆円の主部分(ビジョン・ファンド経由)
  • 「AIが伸びるなら、その中枢の株主であるSBGが伸びる」——この三段論法が2026年前半の買いの論理だった
二の矢IPOという着火剤

5/21ストップ高——OpenAIのIPO申請準備が報じられた日 +19.8%

  • 5/21、米紙がOpenAIが数週間以内にIPO申請の準備と報道。時価総額1兆ドル超の観測とともに、この株はストップ高+19.8%(2020年3月以来の日中上昇率)
  • 5/22+11.9%・5/26+10.9%と買いが連鎖。「未上場ゆえに評価に議論の余地があったOpenAIに、市場の値段がつく」という期待が割引の解消を一気に進めた
  • 5/13の決算(純利益5兆円)当日より、IPO報道の方がはるかに大きく動いた——この株の主材料は決算でなくニュースという実例
増幅プレミアムの例外

時価総額トヨタ超え——NAVを3割上回った頂点と、その反動 ▼43%の調整

  • 6/1+14.0%→6/2に上場来高値9,074円・時価総額で日本首位(トヨタ超え)。この値段は3月末公表の1株NAV(7,029円)との単純比較で約29%上回るプレミアム——長年「NAVから3〜6割引」が常態だったこの株には、過去レンジから大きく外れた高さだった
  • 直後からAI相場の冷え込みとともに急落——6/4▼11.3%・6/26▼12.5%・7/17▼9.0%と二桁前後の下げが続発し、7/17に5,191円(高値比▼43%)
  • プレミアムは完全に剥げ、いまはNAV比▼22%の割引=歴史的な常態への回帰。上げも下げも「割引・プレミアムの振り子」だったことが事後的にはっきり見える
たしかめ固有か地合いか

この株は「日本のAI感情指数」——固有材料と相場全体の区別がつきにくい 読み方の型

  • 大きく動いた日を並べると、固有材料(5/21 OpenAI報道)と、AI相場全体の日(6/26「AI相場終わりか」の急落・7/17全体安▼9.0%)が混ざる——どちらか判別してから解釈するのがこの株の読み方
  • 米国のアーム株価・NVIDIA決算・OpenAI関連報道は、自社開示と同格以上の材料として扱う必要がある
  • 時価総額31兆円でこの振れ幅——インデックス経由の資金も巻き込み、この株の急落は日経平均の急落そのものになる(市場全体との相互作用)
いまの位置
2.7倍の上げは①AI中枢のポートフォリオ ②OpenAI IPOという着火剤 ③割引→プレミアムへの振り子が作り、▼43%の下げはその巻き戻しでした。いまの5,500円はNAV比▼22%の割引で、争点は株価でなくNAVの中身(アームの株価とOpenAIの評価)に移っている——次の答えは8/6(木)の1Q決算のNAV更新と、OpenAI IPOの帰趨です
順番に注意 — この銘柄は「決算は引け後・主材料はニュース・物差しはNAV」

① 開示は15:30、反応は翌朝から——ただし決算で動くとは限らない
決算は引け後開示ですが、純利益5兆円の決算翌日に▼4.0%、OpenAI報道の日にストップ高——この株を動かすのは決算の数字より「NAVの中身を変えるニュース」です。

② PER・増益率で判断しない
利益の大半が評価益なので、「PER6倍で割安」「増益4.3倍で絶好調」という読み方は両方とも間違いやすい。NAV 7,029円との距離(割引・プレミアム)と、LTV(17%)が物差しの中心です——ただしNAV自体も動く点は第3章で。

③ 保有資産の「上場・未上場」を分けて見る
アーム(上場)は毎日値段がつくのでNAVへの反映が速い。OpenAI(未上場)は四半期評価で、IPOが実現すれば「議論の余地のある評価」が「市場の値段」に変わる——上にも下にも、このイベントがNAVの最大の変数です。

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会社は大丈夫なのか(決算と、その土台)

短期の値動きから離れて、会社そのものを見ます。ソフトバンクグループは持株会社投資事業・ビジョン・ファンド・ソフトバンク(国内通信)・アームなどで構成される投資会社。東証プライム上場・3月決算(IFRS)。数字の出どころは決算短信と会社公表の決算説明資料です。

純利益
5兆22億
前期の4.3倍
2026年3月期実績。主に投資先の評価益(過去最高)
NAV(時価純資産)
約40.1兆
1株 7,029円
2026年3月末・会社公表。保有株式価値48.26兆−純負債8.21兆
LTV(負債比率)
約17%
方針:平時25%未満
純負債÷保有株式価値。財務規律の範囲内
EPS(参考値)
873.51円
会社予想なし
評価益で毎期大きく振れるため物差しには不向き

NAVの中身——何を持っている会社か

  • アーム約87%保有・最大資産 ── AI半導体設計の中核企業(米国上場)。上場株なので毎日値段がつき、NAVへの反映が速い。アーム株の下落はNAVの下落に直結する
  • OpenAI追加出資完了後は約13%・累計646億ドル(第3弾100億ドルは10/1実行予定) ── ChatGPTの運営会社。企業価値は2024年の約1,500億ドル→2026年2月の追加出資契約ではプレマネー評価額7,300億ドルへ拡大し、前期の利益5兆円の主部分はこの評価益。未上場のため評価は四半期ごと
  • その他国内通信のソフトバンク・ビジョン・ファンド投資群・Tモバイル関連など ── 通信は安定収益源として配当をグループに供給

読み方 ── 5兆円の利益に「使えるお金が5兆円増えた」実感はない——大半は保有資産の値札の書き換えで、市場が逆回転すれば同じ理屈で巨額の損失も出る(実際に2022〜24年は赤字続きだった)。会社の健全性は利益でなくLTV 17%(借金が資産の2割以下)で確認するのが正しい。この規律が守られている限り、資産価格の急落でも会社そのものは倒れにくい構造。なお、OpenAI追加出資の資金は大型のつなぎ借入(ブリッジローン)で先行調達しており、長期資金への借り換え・資産売却の進み方と第3弾実行(10/1)次第で、LTVは3月末の17%から動き得る。

知っておきたい3つのこと

  • 1「割引」はこの株の宿命であり武器
    投資会社の株価は保有資産の合計より安く放置されがち(コングロマリット・ディスカウント)。SBGは長年3〜6割引が常態で、割引の縮小・拡大こそがこの株の値動きの本体。6月の「プレミアム」は歴史的な例外だった。
  • 2自社株買いが割引を埋めてきた歴史
    割引が大きい局面で大型の自社株買いを繰り返してきた会社。割引拡大→自社株買い観測→下支えというパターンは過去に何度も実現している(今後の実施は未定)。
  • 3注意点
    AI資産への一極集中——アームとOpenAI関連でNAVの大半。AI相場の逆回転はNAV・割引の両方を直撃 ②OpenAIのIPO延期・評価切り下げ——期待が値段に入っている分、逆材料になる ③評価益は消え得る——未上場資産の評価は市場環境で大きく動く ④信用買い残の多さ——急落時に投げが連鎖しやすい。

この強さを1本の鎖にすると(成立を確認する順番)

AI投資の温度(外部環境) アーム株価・OpenAI評価の維持 NAV(1株7,029円)の維持・成長 割引▼22%の縮小(IPO・自社株買いが触媒) 株価の回復

この鎖はすべての輪が「市場の評価」でできているのが特徴——アーム(半導体設計)や国内通信という実事業は持つが、株主が受け取る価値はそれらに市場が付ける値段を経由して形成される。だから強気相場では誰より速く上がり、弱気相場では誰より速く下がる。確認の場は四半期決算のNAV更新と、アーム株価・OpenAI関連報道です。

その数字の土台にある「前提」──これが生きている限り強さは続く

短期の上げ下げの土台にある「前提」です。この前提が生きている限り会社の強さは続き、崩れたら話が変わります

成立条件と崩壊条件
この会社の強さが続くために必要な前提と、崩れる合図
前提 1AI資産の評価

アーム株価とOpenAIの評価が保たれる

  • NAV 40.1兆円の中核。アームは毎日、OpenAIは四半期+IPO報道で動く
  • 崩れるサイン:米アーム株の急落/OpenAIの評価切り下げ・IPO延期/AI投資全体の資金流出(NVIDIA決算の失速など)
前提 2財務規律

LTV 25%未満(平時)の規律が守られ続ける

  • いま17%と余裕がある。この規律が「資産が急落しても会社は倒れない」の根拠
  • 崩れるサイン:大型投資でLTVが方針上限に接近/格付けの悪化/資産売却を迫られる局面
前提 3出口の存在

投資に「市場の値段がつく出口」(IPO・売却)が開いている

  • OpenAIのIPOはその最大の試金石。出口が開けば評価は市場価格で検証される——ただしIPO=即現金化ではない(ロックアップ・売却制約・公開後の変動が残る)
  • 崩れるサイン:IPO市場の閉塞/OpenAI・主要投資先の上場延期/未実現益の縮小が続く四半期
遠い脅威感情の逆回転

「AIの中枢」という物語そのものの持続性

  • この株の評価は最終的に「AIは世界を変える」という合意の上に立つ。合意が揺らぐ局面(2022年の前例)では、NAVと割引が同時に悪化する二重苦になる
  • 逆に物語が続く限り、割引の縮小・NAV成長の両輪で上値余地が語られ続ける——どちらに転んでも、この株は「AI相場の増幅器」であることは変わらない
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いまの株価は割高か、割安か(NAVという物差し)

普通の会社はPER(利益の何倍か)で測りますが、この会社の利益は投資の評価益で毎期大きく振れるため、PERは物差しになりません。代わりに使うのがNAV=保有資産の時価から負債を引いた価値。厳密な「解散価値」ではなく会社定義の税引前の時価純資産で、実際に売却する際の税金・コスト・流動性は反映しません(会社自身も「NAVは株価を示唆するものではない」と注記する指標です)。株価がNAVより安ければ割引、高ければプレミアムです。

1株あたりNAV
7,029円
2026年3月末・会社公表の決算説明資料より
いまの株価
5,500円
NAVに対して▼22%の割引(2026-07-24終値)
NAVの内訳
48.26兆−8.21兆
保有株式価値−純有利子負債=約40.1兆円
LTV(負債規律)
約17%
方針は平時25%未満・有事でも35%未満

読み方 ── この株の歴史では「NAVから3〜6割引」が長年の常態でした。それが2026年前半のAI相場で割引が急速に縮み、6/2の高値9,074円では3月末公表NAVを約29%上回る「プレミアム」に達した——投資会社の株が保有資産より高く買われるのは、「これから資産がもっと増える」という将来への前払いで、歴史的には例外的な状態です。そこから▼43%調整したいまの5,500円は、割引▼22%=歴史の中ではまだ割引が小さい方。つまり「安くなった」ように見えて、長期の物差しではまだ楽観側の値段です。

また、この割引は市場の気分だけで生じるものでもない——資産を売却する際の税負担、未上場資産の評価の不確実性、資本が割引解消(自社株買い)より新規投資へ向かい得る構造(経営が孫氏個人に大きく依存する点を含む)へのリスクプレミアムでもあり、割引がゼロへ収束する保証はない。
ただしNAVそのものが動く点がこの物差しの注意点——7,029円は3月末の値で、その後のアーム株価・為替・OpenAI追加出資と借入を反映していない。アーム株価とOpenAIの評価次第で上下します。株価とNAVの両方が動く「二重の振り子」を見るのがこの株の割高・割安の読み方です。

いまの株価に織り込まれている前提

いまの5,500円(NAV比▼22%)は、「AI資産の評価はおおむね維持されるが、6月のような熱狂はいったん終わった」という前提の値段です。OpenAIのIPO期待は一部残り、割引が歴史的常態(3〜6割引)まで開き切ってもいない中間地点。

崩れる合図──米アーム株の急落/OpenAIのIPO延期・評価切り下げ報道/8/6(木)の1Q決算でNAVの減少・LTVの上昇が示される。どれかが出たら、このページの見立ては見直しです。

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テクニカルと需給の現在地

下値の目安・窓・移動平均線をチャートに示しました。

下値の目安とサイン(日足75本) 〜2026-07-24

↓印=窓開け(前日から飛んで下げた日)。縦軸=株価(円・分割調整後)・横軸=日付。線の意味は下の説明と色で対応。

━ 青い線=25日線(6,169円)乱高下の中心線。いまの5,500円は線の-10.8%下
━ 赤い点線=直近安値(5,191円・7/17)7月の急落の底。ここを終値で明確に割ると7月の反発が否定され、安値更新局面入り(強い警戒)
上の節① 6,556円(7/10戻り高値)7月の反発の頂点。終値で超えて維持し、25日線が横ばいへ変われば下降の流れが変わる
上の節② 7,000円台=1株NAV(7,029円)の攻防物差しそのものが節になる珍しい構図。ここより上は「プレミアム」の領域
下の節 5,000円前後→4,400円(2025年末終値)5,191円の下は心理的節目5,000円、その下の実測の節は年末水準まで薄い
200日線は5,112円急騰相場の名残でまだ株価の下。長期の物差しはフル指標版

信用残の1年

信用買い残(あとで売る予約)/信用売り残(あとで買い戻す予約)の推移

信用残(週次)と売買代金 2025-07 → 2026-07-17

左目盛:万株(線・2025年末の1:4分割前は4倍換算で連続表示)。下の棒:1日の売買代金(億円)。信用残は週1回の公表。

━ 赤い線=信用買い残(あとで売る予約)いま3,735万株(7/17公表・分割換算)=出来高の0.7日分。急落時にはこの在庫の投げが下げを増幅する
━ 青い線=信用売り残(あとで買い戻す予約)314万株・倍率12倍。買い方に大きく偏った需給
棒グラフ=売買代金1日平均約4,451億円(直近60日)と連日国内トップ級。時価総額 約31兆円

まとめ ── 7/17の5,191円でいったん下げ止まったが、±7%級の乱高下が続き方向は未確定。上値には1株NAV(7,029円)という「物差しの壁」が控える。8/6(木)の1Q決算とOpenAI続報が次の方向を決める公算。全体の結論は最終章「総合判断」へ。

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総合判断と、今後の注目点

ここまでの整理 ── ファンダメンタルズ:利益5兆円はPERで読まずNAV(7,029円)とLTV(17%)で読む。財務規律は健全/需給:日本のAI感情がこの1銘柄に集約・信用買いの在庫が下げを増幅/テクニカル:▼43%調整・NAVが上値の壁。そのうえで、上と下、両方の「確認のサイン」を置いておきます。

✅ 反転・続伸が「本物」と確認できるサイン(上向き)

  • OpenAIのIPOが、直近の評価額を維持・上回る条件で前進する——評価割れ・大幅な希薄化・厳しいロックアップを伴う前進なら、逆に下向きの材料になり得る
  • 8/6(木)の1Q決算でNAVの増加・LTVの低位維持が確認できる
  • 戻り高値6,556円(7/10)を終値で超えて維持する(25日線の傾きの変化とセットで)
  • 米アーム株・NVIDIA決算(8月下旬)でAI投資の強さが再確認される
  • 大型の自社株買いの発表(割引局面での過去のパターン)

⚠ 調整継続・警戒のサイン(下向き)

  • 直近安値5,191円(7/17)を終値で割り込む——下の実測の節は薄い
  • OpenAIのIPO延期・評価切り下げの報道——期待の分だけ逆回転が大きい
  • 米アーム株の急落・AI相場全体の資金流出(この株は増幅器として下げも大きい)
  • 1Q決算でNAVの減少・投資損失が示される
  • 信用買い残の増勢が続いたまま急落が来る(投げの連鎖リスク)

📅 次に見るカレンダー

  • 8/6(木):第1四半期決算——NAV・LTVの更新が最重要(会社発表の確定日・15:30開示→反応は翌営業日8/7から)
  • 随時:OpenAIのIPO続報——この株の最大の単独材料(5/21ストップ高の実績)
  • 毎日:米アーム(ARM)株価——最大資産の値段=NAVの日次変動
  • 8月下旬:米NVIDIA決算——AI相場全体の温度
  • 11月中旬:第2四半期決算(前年は11/11)

🧾 ニュースの見立てと答え合わせ — ソフトバンクグループ(9984)

読み込み中…
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出典・参考資料

このページの「なぜ」は、以下の適時開示・会社公表資料と市場データをもとに、アルミナが整理・解釈したものです。

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ソフトバンクグループの開示・公表資料(一次情報)

  • 2026/5/13 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕——売上収益7兆7,987億円・純利益5兆22億円(過去最高・前期1兆1,533億円の4.3倍)・EPS 873.51円の出典。会社は業績予想を公表していない
  • 2026/5/13 2026年3月期 決算説明資料(会社公表)——NAV約40.1兆円・1株あたりNAV 7,029円・保有株式価値48.26兆円・純有利子負債8.21兆円・LTV約17%(2026年3月末時点)の出典
  • 2025/11/11 中間期決算短信——上期純利益2兆9,241億円(OpenAI関連評価益が主因)の出典
  • 2025/12月 株式分割(1:4・2025年末権利落ち)関連開示——分割調整の根拠
  • ソフトバンクグループ 公式サイト(決算短信・決算説明資料の原本はIRページから)

データ・報道の出典

  • 株価・出来高・売買代金・信用残・TOPIX:証券取引所が公表する市場データ・各社の決算資料をもとにアルミナが整備したデータベース(株価・出来高・信用残は2025年末の1:4分割・2019年の1:2分割を調整済み)
  • 移動平均・RSI等の指標:上記データからアルミナが算出(計算方法は各章に記載)
  • 5/21のOpenAI IPO申請準備報道:米ウォール・ストリート・ジャーナルほか(2026/5/21)。OpenAIの企業価値(約8,520億ドル→IPOで1兆ドル超観測)・SBG保有約11%も同報道に基づく(報道時点の値。約8,520億ドルは報道ベースで、追加出資契約上のプレマネー評価額7,300億ドルとは別基準)
  • アーム約87%保有・OpenAIへの追加出資(2026/2/27契約・総額300億ドル・プレマネー評価額7,300億ドル・完了後累計646億ドル/持分約13%・第3弾は2026/10/1予定):会社の公表・発表に基づく
  • 時価総額のトヨタ超え(6月上旬):市場データからの算出・複数報道

決算数値は適時開示の実数。NAV・LTVは会社が決算説明資料で公表する定義・数値に基づく記述です(時点は2026年3月末)。

このページの約束:①嘘を書かない ②煽らない ③外れる条件(見直しのサイン)を必ず書く ④どこにも誘導しない。「上がる/下がる」は言い切らず、しくみ・事実・見直しの条件・見ておく場所だけをお伝えします。